しかし両者ともに最終ステージで不運に見舞われ、すでに今季2勝を挙げているバイロンは、残り20周のリスタートでクリストファー・ベル(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)に追突され、優勝争いから脱落の24位。一方のハムリンも最終ストップでの高額な罰金を含むふたつのピットロード・ペナルティを受け、最終的に20位に沈む展開となってしまう。
「パック前方4番手からリスタートしたところだった。9番(ジョシュ・ベリー/HMS)にタイトに留まり、良いリスタートを得ようとしていたが、突然左後方からタグを付けられた」と不満を漏らしたバイロン。
「彼(ベル)の動きは急降下爆弾だ。それが現実さ。この日の僕らは素晴らしいレースカーを持っていた。だから今後もそうした速いレースカーを提供し続ける。コーションの前は3勝目が目前のように見えていたし、速いクルマを維持し続けることが(次の勝利を得る)唯一の方法さ」
これによりレース序盤のピットロードでダニエル・スアレス(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)と衝突するアクシデントに遭遇しながらも、トータルで93周をリードしたラーソンが快走。最後は負傷したチェイス・エリオットの代役を務めるベリーとのチームメイト対決も制し、リッチモンド2勝目、キャリア通算20勝目と、暫定クルーチーフを務めるケビン・メンダリングにカップ初勝利をプレゼントした。
「本当にクールだ! 僕らはここまで何度も勝利に近づいていたし、今回は物事がすべてうまくいき、ピットクルーは素晴らしい仕事をしてくれたんだ」と、今季初勝利を飾った2021年カップ王者のラーソン。
「この5号車は本当に素晴らしかった。セカンドステージのピットロードで99号車(スアレス)に突っ込んでしまったんだけど、その後はヒドかった。ダメージが原因だと思うが、それでも彼らは僕を落ち着かせ、ふたたび集中する必要があると言い聞かせてくれた。だからこそ、これを成し遂げることができたんだ!」
一方、残り55周弱で始まった最後のアンダーグリーン・ピットサイクルで、チームから「より長くトラックにステイするよう」求められた2位ベリーは、代役4戦目にして最後に勝利を争うポジションを与えられた。
「気に入った。本当に大好きだよ」とチームの戦略立案を讃えたベリー。「僕らはときどき良いペースを持っていると思っていたが、きれいな空気が必要だった。彼らは固定観念に捉われずに考えたし、それこそがレースで必要なことさ。彼らはいくつかの大胆なコールを掛けてくれたし、クルーは一日中素晴らしかったよ」
このオーバル戦でHMSの“精神的支柱の代打”という重積を担うベリーから称賛された、こちらも“暫定”クルーチーフを務めるトム・グレイは、ベリーのショートトラックでの能力と、オールドタイヤでのペース管理に自信を持っていたことを明かした。
「放送で彼のことを『Mr. Short Track(ミスター・ショートトラック)』と呼んでいるのが聞こえて、思わず笑ってしまったよ。じゃあ僕らは、その『Mr. Short Track』が何者であるかを彼らに見せよう、と言っていたんだ」
併催となったNASCARエクスフィニティ・シリーズ第7戦『トヨタケア250』は、最後のリスタートでトヨタ陣営のジョン-ハンター・ネメチェク(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタGRスープラ)を仕留めたチャンドラー・スミス(カウリグ・レーシング/シボレー・カマロ)が勝利を飾る結果に。
同じ週末にテキサス・モーター・スピードウェイで開催されたNASCARクラフツマン・トラック・シリーズ第5戦『スピードキャッシュドットコム250』は、ホワイトフラッグの攻防に散ったライバルを出し抜き、20歳のカーソン・ホセバー(ニース・モータースポーツ/シボレー・シルバラードRST)が初勝利を決め、服部茂章率いるハットリ・レーシング・エンタープライズ(HRE)の16号車タイラー・アンクラム(トヨタ・タンドラTRDプロ)は、荒れた展開でマシンダメージを抱え26位に終わっている。



