2015年、再び手を携えてF1に参戦した新生マクラーレン・ホンダ。この1年を振り返り、関連トピックスをピックアップする形で、チームの初シーズンを振り返ります。
伝説のパートナーシップだけあって大きな期待と注目を集めてのデビューとなりましたが、その船出は簡単なものではありませんでした。しかし、問題解決に追われるこの1年、チームメンバーは皆、前向きな気持ちを保って努力し続け、2年目となる2016年には必ずや大きな前進を果たすと断言しています。
マクラーレン・ホンダにとって、トップを目指すための長期プロジェクトの1年目だった2015年。この1年を大きく10のトピックスに分けて、過去の記事から振り返ってみましょう。
【目次】
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【1】初シーズンの、さまざまな“初まとめ”
【2】トラブルの連鎖止まらず
【3】アロンソ、クラッシュで開幕戦欠場
【4】“戦略的交換”による大量降格
【5】マクラーレン・ホンダがもたらした規則変更
【6】2チーム目へのパワーユニット供給
【7】引退?休養? ドライバーたちの去就
【8】「GP2エンジン!」ドライバーたちに募る苛立ち
【9】ライバルたちも復調を予想
【10】「素晴らしい日々が待ち受けている」。希望と展望
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【1】初シーズンの、さまざまな“初まとめ”
マクラーレンとホンダが再び手を組んでF1に挑んだ最初の年。苦戦しながらも、マクラーレンMP4-30・ホンダは完走、Q2進出、入賞、ダブル入賞など、さまざまな“初”を達成しました。残念ながら初Q3進出はならず。来年の目標として持ち越しになりました。
・新車発表:
ホンダ「妥協のない車目指した。性能確認が楽しみ」
・ヘレステストで初走行:
マクラーレン・ホンダ、初日はトラブルで切り上げ
・初戦オーストラリアで初完走:
ホンダ「完走は前進。一方で大きな課題も見えた」
・中国で初めて2台そろって完走:
ホンダ密着:完走では喜べない、見せつけられた差
・バーレーンGPで初めてQ2進出:
ホンダ密着:Q1突破に貢献したソフトウェアの進化
・モナコで初入賞:
ホンダ密着:低中速を改善して、計算を超えた喜び
・ハンガリーで初めてダブル入賞&トップ5達成:
ホンダ「セッティングが奏功。2台入賞に感謝」
【2】トラブルの連鎖止まらず
プレシーズンテストでの周回数では全チーム中最下位。開幕後も信頼性の問題が続出、クリーンな週末を過ごすことがなかなかできないまま、シーズンを終えることに。トラブルに足を引っ張られながらも、フェルナンド・アロンソとジェンソン・バトンは、今年をテストの年とみなして努力し続けました。
【3】アロンソ、クラッシュで開幕戦欠場
シーズンオフテストでアロンソがクラッシュ、ヘリで病院に搬送されるというショッキングな出来事が起こりました。脳震盪による重篤化のリスクを避けるために開幕戦は欠場。健康状態が心配されましたが、第2戦マレーシアで復帰すると、その後は何の影響も感じさせずシーズンを走り切りました。
【4】“戦略的交換”による大量降格
2015年のF1ではパワーユニットのエレメントはそれぞれ4つまでしか使用できず、5つ目以降を使用するとグリッド降格ペナルティを受けるという規定。しかしトラブルが続くマクラーレン・ホンダはシーズン中盤のオーストリアで早くも25グリッド降格を科されることに。当初の規則では降格で消化しきれない場合は決勝中にタイムペナルティも受けなければなりませんでしたが、ファンにとってこういった規則は分かりづらいとしてシーズン中に変更され、最大でも最後尾までの降格にとどめられることになりました。
その後、この規則を利用する形で、1回の週末の間にいくつか新しいPUをおろしてストックを作るという、“戦略的交換”がしばしば行われることになりました。
【5】マクラーレン・ホンダがもたらした規則変更
前述のPUエレメント交換によるペナルティ規則もそうですが、他にもホンダ(やルノー)を考慮して変更された規則が。優勢メルセデスとフェラーリに追いつく余地を与えるため、来年もシーズン中の開発を行えるよう、レギュレーションが変更されています。
【6】2チーム目へのパワーユニット供給
マクラーレンとワークスパートナー契約を結んでいるホンダですが、いずれは他のチームにも供給したいとの考えを示しています。今年ルノーとの関係に亀裂が入ったレッドブル陣営と契約する可能性も浮上しましたが、ホンダを独占したいCEOロン・デニスがこれをブロック。しかしバーニー・エクレストンは、ホンダが将来的には他のチームにも提供することを望んでいます。
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【7】引退?休養? ドライバーたちの去就
日本GP直前にバトンが引退するという報道がヨーロッパで盛り上がりました。鈴鹿で引退発表という説も流れましたが、結局10月に残留が発表。
その後、ロン・デニスの発言から、アロンソが来年休養するかもしれない、と騒がれる事態に。これはアロンソも発言したデニスも即座に否定しています。
来年もレースドライバーに変更なしということで、マクラーレン傘下のストフェル・バンドーンはF1昇格を諦め、スーパーフォーミュラ参戦を検討、テストに参加しました。
【8】ドライバーたちに募る苛立ち
きつい状況のなかで前向きに努力し続けているアロンソとバトンですが、後半戦になってくると、時々苛立ちを示すようになりました。一番大きく取り上げられたのはアロンソの「GP2エンジン」発言。そうはいってもふたりとも腐ることなく来年へのモチベーションを高く持ち続けています。
【9】ライバルたちも復調を予想
予選Q2に進出するのも入賞圏内に入るのも難しかった今年のマクラーレン・ホンダですが、いずれはトップ争いに加わってくるとライバルたちは考えています。
【10】「素晴らしい日々が待ち受けている」。2016年以降への希望と展望
いずれトップの位置に戻る、というのはマクラーレン・ホンダ自体も繰り返し述べていること。シーズン前半言及していた、多少楽観的すぎる目標を達成することはできませんでしたが、それでも向上しているのは確かであると、彼らは常に強調し、2016年は大きく進歩すると断言しています。最近、ロン・デニスはアロンソの今後に関して聞かれ、「素晴らしい年月が彼を待ち受けている」と答え、共に成功を収めると発言しました。
彼らのそういった自信がどこから来るのか、以下にまとめた記事をご覧いただければ多少は伝わってくるかもしれません。2年目の新生マクラーレン・ホンダがどのような活躍を見せてくれるのか、期待を持って見守っていきたいと思います。
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