午前中に行われた公式予選で2戦連続のポールポジションを決めたTSRPランサーEVO Ⅹは決勝スタートもクリーンに決め、トップで第1コーナーをクリア。

数周をトップで通過するが、前日の専有走行から好調なペースを維持していた#3号車が予想通り後方から猛プッシュをかけてきた為、5LAP目、無理にブロックをする事もなくトップの座を譲り2番手に後退する。理由は前回のレースでエンジンを壊し順位を大きく落とす結果となった為、今回は何としても上位入賞を目指す作戦としてチームは敢えてシフトタイミングの回転数を下げる手段を選択。しかしながら後半に長い登りを有するSUGOのコースレイアウトに予想以上の苦戦を強いられ、佐々木選手をもってしても毎ラップ0.5~0.8秒ずつ離される結果となり、1回目のルーティンピットを終えた50周時点で40秒の先行を許す結果となる。

更にその数周後、他車のクラッシュで導入されたセーフティーカーのコースインのタイミングが悪く、#3号車との差が一気に1周近くまで拡大し、チームとしては非常に厳しい状態になる。

ところが、2回目のルーティンピットまで残り10周となった90周目。再びクラッシュが発生しセーフティーカーがコースイン。この機にチームは急遽ピットタイミングを早め緊急ピットイン。残り周回分の燃料とドライバー交代のみでコースに送り出す。この作戦が今度はチームにとって優位に働き、#3号車の6秒後方までに接近。更にもう一度導入されたセーフティーカーのお陰で、2台の差は約10mに。そのセーフティーカーがコースから離れたのが、レースもゴールを迎える残り6周となる102周目、レースは正に「ガチンコ勝負」のトップ争いに。

そこで、アンカードライバーとなった佐々木選手に無線でエンジン回転抑制の解除を指示し、2台は一挙にテールツーノーズ状態に。そしてプレッシャーをかけながらゴールまで残り4周となったバックストレートエンドのブレーキングポイントで2台は並走。ギリギリまでブレーキングを遅らせた佐々木選手のプッシュに#3号車は堪らずシフトミス。更に#3号車のドライバーはブレーキングで姿勢を乱した社内でカットオフ(エンジン・メインスイッチ)に手が触れてしまい、エンジンストールまで起こし、コースオフ。再び復帰するも、その差は一挙に80秒まで拡大。

そして残り3周。果敢なドライビングで相手のミスを誘発させたTSRPランサーEVO Ⅹは労せずして独走状態を築き上げ、歓喜の中、劇的な勝利を手中に収める事に成功。チームとして約1年ぶりとなるポディウムの頂点に、スタッフ全員が満面の笑みを浮かべた最高の戦いであった。

また、前回のレースで拾い上げたポイントも功を奏し、シリーズランキングも1位に返り咲く事となる。

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