「キミはいま飛行機でアブダビに向かっている途中だ」(ロータス広報)

 インドGPのレース終盤に、ロータスのトラックサイド・オペレーション・ディレクター(他チームでいうところのチーフエンジニア的な存在の)アラン・パーマンと、放送禁止用語でののしり合ったキミ・ライコネン。インドGPから2週連続開催となったアブダビで、メディアの注目を集めたのは、やはりライコネンだった。

 ところが、記者会見が行われる木曜日になっても、ロータスの広報からドライバーの記者会見の時間が発表されない。通常は午後2時15分ごろに開かれるのだが、アブダビGPはトワイライトレースということで、ほかのグランプリとは異なるスケジュールを組む可能性もあるため、多くのメディアが時間がわからずに右往左往していた。

 しばらくして、広報が「午後2時20分に開く」とアナウンスするものの、予定の時刻を過ぎても会見が開かれる雰囲気はない。集まった報道陣の中には、木曜日にだれもライコネンの姿をパドックで見ていないため、「そもそも、ライコネンは来ていないのでは?」という思いがたまっていたところだった。そのため、報道陣たちが再びロータスの広報のドアと叩くと、中から困り果てた顔をした広報が出てきて、こう言ったのである。
「キミはいま飛行機でアブダビに向かっているところ。ただ、いつ到着するかは把握していないので、会見は中止します」

 太陽が沈んだ午後6時を過ぎてもライコネンの姿はヤス・マリーナ・サーキットにはなく、再び広報に尋ねると「今夜の10時ごろにアブダビの空港に到着する予定」だという。つまり、会見が予定されていた時点でライコネンの消息はロータスですら、つかんでいなかった可能性がある。

 木曜日にライコネンがサーキットを訪れなかったために影響を受けたのはメディアたちだけではない。チーム、特にグランプリ前の確認を行うエンジニアと、毎回シートチェックを行うメカニックにとっても、いつもと違う週末を送ることになる。そして、ライコネンはそうなることを承知で、このような行動に出たのである。

 もちろん、現時点ではその原因が特定されていないので、ライコネンが故意にアブダビ到着を遅らせたと断定はできないが、それ以外の理由であれば、とっくに広報は伝えているはずで、そこに4日前のののしり合いが影響していたことは想像に難しくない。

 ライコネンとロータスの関係は、いままさに一触即発の状態にある。

■GPインサイド:
日本人F1ジャーナリストの尾張正博氏がグランプリの現場から、ドライバーやチーム首脳の生の声、パドックを賑わせているニュースの真相、レースのキーポイントやサイドストーリーなどを自身の取材情報からお届けする。
 

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