LEXUS TEAM SARD RACE REPORT
DENSO DUNLOP SARD SC430
アンドレが一時4位を走る魂の走りで10位、我慢の平手は8位
2010 SUPER GT 特別戦「JAF Grand Prix – FUJI SPRINT CUP 2010」(11/12-14)
富士スピードウェイ(1周4.563km)
観客動員:12日予選9,500名、13日決勝23,000名、14日決勝33,000名 合計65,500名
11月13日(土)・14日(日)、シリーズ戦を終え今季最終章となるSUPER GT特別戦「JAF Grand Prix – FUJI SPRINT CUP 2010」の決勝が行われ、13日(土)第1レース決勝11番グリッドからスタートしたアンドレ駆るDENSO DUNLOP SARD SC430は、スタートダッシュ決めオープニングラップから荒れたレースで一気に4位にジャンプアップ。愛息アフォンソへ走りでレクイエムを捧げるアンドレは、文字通りの魂の走りで表彰台を争う集団の中で果敢に攻めに攻めた。だが緊急ピットインでタイヤを4輪交換。結果、10位フィニッシュとなった。
14日(日)第2レース決勝は、13番グリッドからスタートした平手が良いスタートで2台を抜き去りジャプアップ。こちらも混戦となった戦いの中で途中ペースが上がらない我慢の走行ながら粘り強く走りきり、8位でフィニッシュした。
公式練習走行
今季のモータースポーツシーンを締めくくるエピローグといえるビックイベント、SUPER GT特別戦は富士スピードウェイが舞台。新たな試みとなるフォーミュラニッポンとSUPER GTのダブルレースには、20年ぶりにJAFグランプリのタイトルがかけられ、SUPER GTのGT500クラス優勝チームには国土交通大臣賞を授与。またドライバー東西対抗戦や往年の名ドライバーが参加するレジェンドカップも行われ、見所いっぱいの一大イベントである。スプリントカップのレースフォーマットは、12日(金)に練習走行50分間と予選20分間×2回が行われ、22周(約100km)で競う決勝は、13日(土)にアンドレ・クートがレースが大好きだった愛息アフォンソへ走りでレクイエムを捧げるべく出走。14日(日)には、平手晃平が同じくDENSO DUNLOP SARD SC430を駆って出走する。全車ノーウェイト、距離も短く燃料搭載量も少なく済むため、超接近戦の高速スプリントバトルが必至。また従来にない賞金等が設定され、各ドライバーは虎視眈々とその優勝カップを狙っている。DENSO DUNLOP SARD SC430は、今季の不振をこのレースで払拭し来季への復活の狼煙あげるべく、勇猛果敢に表彰台を狙っていく。
12日(金)の天候は澄み切った快晴。公式練習走行開始時は気温16度/路面温度25度となった。コースイン直前には、GTAの計らいにより全車ピット前に整列。全チームドライバーとチームメンバーが天国のアフォンソへの哀悼の意を込めて黙祷が捧げられた。またチームを始め有志らが喪章をつけ、今大会に臨んでいる。
10時30分からコースインが始まり、まずは平手がLGDAヘルメットカラーリングコンテストで選んだ小山菜々美さん(16才)デザインのヘルメットを被り6周を走行しクルマの確認。100Rコーナーでのハンドリング改善とクルマの全体的なバランスを調整し、再びコースイン。トータル9周を走ってアンドレと交代した。続いて第6戦以来の約3ヶ月ぶりのドライブとなるアンドレが、同じく安部由華さん(5才)デザインのヘルメットを被ってコースイン。まったくブランクを感じさせない走りで5周目には1分35秒296のベストタイムをマークした。公式練習走行はトータルで16周を走行し、1分35秒296の12番手で午後の予選への準備を終えた。
公式予選
12日(金)午後の公式予選は20分間×2回が行われ、14時35分から第1レースのアンドレ、15時35分から第2レースの平手が出走した。
■第1レース公式予選:気合いみなぎるアンドレが11位に
気温16度/路面温度22度のドライコンディションで第1レース公式予選が開始。アンドレは愛妻グラサ・2才の愛娘カトリーナの見守る中、天国のアフォンソへの想いを胸にコースイン。ウェービングしながらタイヤを適温にしたアンドレは、まずは1分34秒710の好タイムをマーク。続いて次のタイヤセット、集中力を高く保っているアンドレは入りのアウトラップから速いタイムで走行。3周目に1分34秒260をマークした。次の周も渾身のアタックを続けたが僅かにグリップが落ちてしまいタイム更新ならず。結果、約1秒以内に全車がひしめく僅差の戦いで、第1レース公式予選11位となった。
■第2レース公式予選:平手が低下した路温に苦戦し13位
セッション中、路面温度が19度から16度へと下がり、第1レース公式予選よりも6度以上も下がってしまった第2レース公式予選。中々タイヤが温まらない状況に思わずBコーナーのエスケープに入ってしまった平手ではあったが、落ち着いて4周目に1分35秒470のタイムをマーク。続いて別のタイヤセットを装着した平手はセクタータイムで自己ベストを更新しながら1分35秒562をマーク。路面状況とマッチせず苦しい展開となるも、次の周では更にセクタータイムを削っていく平手に期待がかかった。しかしその周の最終セクターで自己区間ベスト更新ならず、1分35秒216にとどまり、第2レース公式予選13位となった。
■第1レース決勝:アンドレ・クート
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13日(土)様々なイベントやレースが華やかな雰囲気の中で行われ、本日の取りを飾るGT500クラス第1レース決勝が始まった。15時15分フォーメーションラップ開始時点は、気温16度/路面温度17度の曇り空。今回は隊列を組んで走りながらのローリングスタートではなく、停止した状態からのスタンディングスタート。アンドレは、並々ならぬ闘志をもって11番グリッドにクルマをつけた。
まさに魂の走りで一時4位を激走
シグナルがブラックアウトされた瞬間に矢のように解き放たれたDENSO DUNLOP SARD SC430は一気に加速し、出遅れたクルマの間をボディをこすりながら4台を抜き去るロケットスタートを決めた。1コーナーではもつれ合うクルマをインからパスし、6位にジャンプアップ。更にダンロップコーナーでもつれ合った2台を抜いて、なんとオープニングラップから荒れたレースで7台を抜き去り、一気に4位に浮上した。愛息アフォンソへ走りでレクイエムを捧げるアンドレは、文字通りの魂の走りで表彰台を争う集団の中で果敢に攻めに攻めた。
10周を過ぎる頃から若干ペースが落ちるも巧みなドライビングでクリーンなバトルを繰り広げるアンドレ。愛息を看取り、つらい時期を過ごすアンドレがアフォンソに想いを届けようと、がむしゃらに、そして一心不乱にレースに打ち込み集中するその姿は場内に感動を呼び込んだ。レース前、ファンとの交流の場で温かい言葉をかけられたアンドレは感涙。またピットに訪れる仲間たちに激励を受けていたアンドレは、励ましてくれる皆のためにも強い自分を見せると気合いを入れ、ステアリングを握って臨んでいた。
闘志あふれる走りのアンドレであったが13周目からペースダウン。ポジションを失い始めたアンドレは、タイヤにダメージがある旨を無線で伝えた。その後ついに17周目にタイヤのダメージがひどくなってしまい、大きくペースダウン。20周目を終了し緊急ピットインで4輪タイヤ交換を余儀なくされた。序盤、鬼神をも拉ぐ活躍を見せたアンドレ。すばらしい闘争心を走りで見せるも10位フィニッシュとなった。
■第2レース決勝:平手晃平
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14日(日)出場全チームによる選手入場や航空自衛隊「飛行開発実験団」によるデモフライトなど盛大なセレモニーが行われ、気温15度/路面温度15度の曇り空の中、GT500クラス第2レース決勝のフォーメーションラップが15時10分に開始された。フォーミュラニッポンの第2レースを走り終え、合間のイベントも含めて分刻みのスケジュールをこなず平手は、気持ちを切り替えて13番グリッドにクルマをつけた。
我慢の走りで8位フィニッシュ
どんぴしゃりのタイミングでスタートしたDENSO DUNLOP SARD SC430を駆る平手は第1コーナーまでで2台を抜き去るダッシュを決めた。その第1コーナーでは接触スピンした上位2台のクルマを、間一髪うまく避けたが途中で2台に先行を許し、オープニングラップは11位で戻ってきた。硬めのタイヤで思うようにペースの上がらない平手は、グリップ感の少ない状態のクルマをなだめながら懸命にドライブを続けた。
我慢の走行を続ける平手は、ペナルティ車両もあって10周目には9位に浮上。その後、平手からバイブレーションがひどいと無線が入る。タイヤかすを拾った可能性があったが、ピットでは緊急ピットインに備えてタイヤが準備された。数周後、ペースは遅くなってしまったが安定したラップに。ひと安心と思った矢先の16周目に再び平手から同様のコメント。残りは6周となっており、何とか順位を保てればという状況となってきた。かなりペースダウンをして苦しい状況の平手は、フィニッシュに持ち込むべくステアリングと格闘を続けた。そして、何とか最後まで無事に走り切り、トップ差24秒905の9位でチェッカーを受けた。その後、ペナルティ車両があり最終的には8位となった。
アンドレ・クート
「非常にタフな時期をみんなが支えてくれ、今回サーキットに戻って来られたことを大変うれしく思う。ファンや仲間ら、そしてサードの絆と温かさを感じた中でのドライビングは、本当に集中することができたし、アフォンソへ想いを伝えられた。この恩義は一生忘れないものとなった。感謝の気持ちでいっぱいだ。本当にありがとう」
平手晃平
「スタートが決まって、アンドレ同様に僕からもアフォンソへ想いを届けようと頑張ったのですが、途中から振動が出てしまってペースを上げられず難しいドライビングとなってしまいました。今季は表彰台が獲れずに厳しいシーズンとなってしまいましたが、次につなげるべくこの経験を活かして頑張っていきたいと思います。ご声援ありがとうございました」
菅野純博監督
「二人のドライバーとも最後まで良いパフォーマンスを発揮してくれました。チームもまとまっており良い雰囲気ができていますが、結果に結びつけることができずに不徳の致すところです。来季に向けては、皆様のご期待に添えるべく鋭意準備を進めている最中です。引き続きご声援のほどよろしくお願い申し上げます」
