更新日: 2018.02.17 00:00
ホンダF1総責任者、新井PLに訊く(2)技術的課題
ホンダが2015年からF1への復帰を発表したのは、昨年の5月16日。早いものであれから1年が経った。発表当時は、まだ2年も先のことと感じていたが、その時間はもう1年を切った。今、ホンダのF1プロジェクトはどんな状況にあるのか? 成功を収めるために重要なことは何なのか? これまでの3度のF1参戦と今度の参戦の違うところはどこなのか? F1の総責任者である新井康久(本田技術研究所取締役専務執行役員四輪レース担当)に訊いた。
トルクマネージメントについて
――中国GPの会見では「新しいパワーユニットはトルクマネジメントが重要な要素で、それはポジティブばかりでなく、ネガティブも大切だ」とおっしゃっていましたが、それはどういうことですか?
「加速側のトルク分配というのは、いわゆるターボが突然効き出してリヤが暴れないようにすることです。さらに新しいパワーユニットにはMGU-Kという運動エネルギー回生システムがありますから、減速時にもきちんとトルクマネージメントしないとクルマ(の挙動)がギクシャクするという意味です。トルクバンドはプラス側(加速)だけではなく、回生ブレーキのマイナス側(減速)も含めて、すべてをきちんとやらないとエネルギーマネジメントできないんです。むしろエネルギーマネジメントをやるっていうのはトルクマネージメントやるというのと同じこと」
――ポジティブとネガティブ、それぞれのトルクマネージメントで重要なことは?
「ポジティブ、つまり加速のときは、どうやって(パワーを)アシストしてくかです。エンジンだけでいくのか、もしくはエンジンの出力を出しながら回生も使うのか。あるいは、MGU-H(熱エネルギー回生システム)も使うのか。ネガティブ(減速)の方は、今はブレーキ・バイ・ワイヤを使用しているので、メクニカルなブレーキとのバランスをいかに取るかですね。このトルクマネージメントが最大の技術課題だと思っています」