18日、ツインリンクもてぎで今週末開催されるフォーミュラ・ニッポン第2戦に向けて、ケイ・コッツォリーノ(Team LeMans)がもてぎ戦に向けて、一風変わったメディアアピールを行った。
23日にツインリンクもてぎで決勝レースが行われるフォーミュラ・ニッポン第2戦。通常、ツインリンクもてぎでのイベントでは事前にドライバーともてぎエンジェルが各メディア媒体の編集部を訪問しレースのアピールを行う『メディアキャラバン』が行われていたが、今回はちょっと趣向を変えた『キャラバン』となった。
今回キャラバンの“主役”となったのは、今季チーム・ルマンからFニッポンデビューを果たしたケイ・コッツォリーノ。そのコッツォリーノの父、カルミネさんが東京・牛込神楽坂で30年以上に渡って経営するイタリアンレストラン『リストランテ・カルミネ』にメディアを集め、食事とともにケイにもてぎ戦への意気込みを聞こう、ともてぎ側が企画したものだ。
お昼のランチ時で賑わうリストランテ・カルミネに集まったメディアを前に、チーム・ルマンの黄色いシャツを着て現れたケイは、ふだんまかない食などを食べに来る慣れ親しんだ場所だけに、自分のチームウェア姿に「なんだか変な気分ですね(笑)。サーキットではなんともないのに……」と笑う。
そんなケイは、開幕近くなってもシートが決まらず「もうレストランで修行始めた方がいいかなと思っていた(苦笑)」と言うが、チーム・ルマンのオーディションのチャンスを得て見事シートを獲得。鈴鹿での開幕戦では、1周目に接触してしまいリタイアに終わったが、「僕は1周目から行きたいタイプですし、それが得意。でも、自分が計算していた以上に滑ってしまいましたね。もてぎでは絶対に無いようにしたいけど、それでも1周目から強く行きたいと思っています」と開幕戦を振り返る。
「石浦(宏明)さんは本当に優しいし、いろいろなアドバイスをしてくれる。今までのキャリアでチームメイトという存在にはあまり馴染みがなかったけど、こんな心強いチームに出会えるとは思わなかったです」と熱血指導の山田健二エンジニアとともに、ルーキーシーズンながらチーム・ルマン全体からの心強いサポートとともに戦っているケイ。
「ルーキーとしてはブレーキングの初期制動がうまいとチームから言われました。もてぎでは90度コーナーなど自信がありますが、FN09は最終コーナーなど低速コーナーであまりダウンフォースがかからないので、そこが課題になると思います」ともてぎ戦に向けて語る。
一方、メディアに向けて意気込みを語る息子を温かな視線で見ていたのは、シェフ姿の父カルミネさん。30年前に合気道に憧れて来日、その後シェフになりたいという夢をかなえたカルミネさんは、「イタリア人はみんなレースが好き。ジャン・アレジが店に来たときは本当に興奮した」というクルマへの憧れから、幼稚園の頃にケイをカートに連れて行き、その後本格的にカートを始めたケイと「ようやく家族みんなで熱中できるものができた」と二人三脚でレースの世界を戦っていったという。
「(ケイが)イタリアでレースに出ていた頃は、そのたびに自分もイタリアに帰っていたりしたので、すごく苦労はしました。日本でも、僕はモータースポーツの世界がすべて分かっている訳ではないので、ケイにもまわり道させたかもしれない。でも、普通の子どもさんが大学を卒業する年(23歳)で息子もフォーミュラ・ニッポンというプロの世界にデビューすることができたので、すごく良かったと思います」とカルミネさん。
今回のもてぎ戦、そして富士でのレースでは、なんとカルミネさんがスタッフを連れて、チーム向けにパドックでケータリングを行うという。ケイは「もてぎはF3初優勝を挙げたし、得意なコース。関東だから応援してくれる人も沢山来ると思うし、イタリアンのケータリングもあるので(笑)、いいレースができると思います」と改めてもてぎ戦に向け闘志を燃やす。
「僕はメーカーのサポートを受けているドライバーではないので、不安な要素がたくさんある。今年はなんとかスポンサーを集めてレースができているけど、やはりGTも乗れていないし。でも今年結果を残せば、メーカーがサポートしてくれると思う」とケイ。
「ウチはいつも夢に向かってやってきた。夢を持つことはすごく大事」と語るカルミネさんとの二人三脚で、日本最高峰のフォーミュラ・ニッポンまで上り詰めたケイ。「今回が本当の開幕戦」というもてぎ戦での走りに注目したいところだ。