29日、東京・池袋にあるトヨタの総合ショールーム「トヨタオートサロン アムラックス東京」にて、今週末のF1日本グランプリに出場するパナソニック・トヨタ・レーシングの記者会見が行われ、チームを率いる山科忠代表兼TMG会長が鈴鹿へ臨む今の心境を語った。
いよいよ今週末に迫った鈴鹿サーキットでの日本グランプリ。今シーズン唯一の日本チームであるトヨタはファンの期待を一身に背負い今年鈴鹿のグリッドに立つ。そのトヨタは先週末のシンガポールで2位表彰台を獲得するなどまさしく調子は上向き。チームが今シーズンの最重要グランプリに掲げる日本グランプリを前に、山科代表がチームの強い意気込みを示した。
「我々は、ヤルノ(・トゥルーリ)とティモ(・グロック)のふたりとともに、いつか表彰台の真ん中に立とうという思いでやってきました。日本グランプリではネバーギブアップの精神でチーム一丸となり優勝を狙っていきたいです」
「暖かく応援してくれたファンのためにも、その期待に応えるような成績を上げたいと思います」と山科代表。
マシンは日本グランプリに向けて大幅なアップデートを予定していることも明かし、このうちのいくつかを投入したシンガポールではティモ・グロックが2位と見事結果を残した。チームは鈴鹿に持ち込む最新仕様のマシンに大きな手応えを感じている。
しかし山科代表はトヨタが鈴鹿で勝利するためには、運も味方につけなければいけないとコメント。雨の予報が出ている週末の天気を不安要素にあげ、タイヤ選択やピットストップの時期を含めた読みがレースでは鍵になると語った。
「トヨタとしてはクルマの性能とドライバーの技量で戦いたいと思っていますが、どうしても雨が降ると運が良かったとか悪かったかというふうになってしまいます。そこがひとつの大きなターニングポイントになるんじゃないかと考えています」
ただ今回持ち込むマシンは、鈴鹿をターゲットにアップデートをしてきており、山科代表曰く“今年一番の自信作”と、天候を除けばこれまでで最も戦えるマシンとなった様子だ。アップデートの面では特に、鈴鹿で重要とされるダウンフォースの獲得に力を注いだことを明かしてくれた。
「鈴鹿は適度なダウンフォースと適度なドラッグが要求されるコースなので、我々は効率重視のサーキットと呼んでいます。ただ、ダウンフォースの獲得にはリヤウイングがメインとなってしまい、それではドラッグも増えてしまいます。そのためチームは今回リヤのフロア廻りを大きく改善しました。フロアだけでは限界があるので、リヤのサスペンションやホイール内側の小さなウイングなども改良しました」山科代表は総合的なダウンフォースを増やしつつドラッグは適度に抑えることが出来たと説明すると、「シルバーストンからの向上分としてはどこのチームにも負けていないと思います」とも述べた。
トヨタは2002年の参戦以来、鈴鹿ではポールポジション(2005)こそあるものの、レースでは6位(2006)が最高と表彰台は未だない状況。しかし、母国グランプリに懸ける熱い思いと今季一番のマシンを手に、今週末の鈴鹿では悲願の初優勝を狙っている。