デイビッド・クルサードが、フェラーリに続き、今年の新規F1チームにまつわる騒動はF1の格を落とし、世間に悪いイメージを与えたとして批判的な発言を行った。
今季はF1のエントリー数が拡大され、4つの新規チームがエントリーしていたものの、USF1は結局参戦できなかった。カンポス・メタ1は、ヒスパニア・レーシングとして新体制でデビューする見込みだが、シーズンオフテストを一切行うことができず、ぶっつけ本番で開幕戦に臨む。合同テストに参加したヴァージンとロータスは、トラブルに苦しんだり、パフォーマンスが圧倒的に劣っている状態だ。
フェラーリは先月、公式サイト上にコラムを掲載、F1からマニュファクチャラーが去っていった代わりに新規チームが参入し、エントリー数は増えたものの、シーズンオフテストに参加した新チームは2チームに過ぎず、その2チームもパフォーマンスが低いと評し、さらにエントリー権を得ずに参戦準備を進めていたステファンGPを“ハゲタカ”と揶揄した。そしてこのような状況で新規チームがF1に参戦しようとしているのは、元FIA会長マックス・モズレーが無謀なバジェットキャップを導入しようとしたせいであり、彼が仕掛けた“聖戦が生んだ遺産”であると表現して批判した。
「私には大きな懸念がある。2010年のグリッドに並ぶ新規チームが標準を下まわっているという問題だ」とクルサードはデイリー・テレグラフの記事に記している。
「ここ数カ月、F1に“新しい血”を入れることがどれほど素晴らしいことか、再三にわたって聞かされてきた。だが、F1はフィニッシング・スクールではない。世界のモータースポーツの最高峰なのだ。4,000万ポンドのバジェットキャップが前提で参戦したのにその後で規則が変わったと泣き言を言っても意味がない」
「新しい血もけっこうだが、この数カ月の騒動はF1にマイナスイメージを与えてしまったと思う。最初は4つの新規チームが出場するはずだったものの、バーニー・エクレストンはふたつしか出ないのではないかと言い出し、その後、USF1が破綻して、ケン・アンダーソンとピーター・ウインザーの名声も地に落ちた」
「ヴァージン・レーシング、ロータス、ヒスパニア・レーシングの3チームが残されたものの、ヒスパニアはぎりぎりになってオーナーシップの変更を行い、先週ようやく体制発表を行った状態で、テストを全く行っていない」
「この世界はどうかしてしまったのか? F1は万全を尽くした状態でも危険なスポーツなのだ。レース前の金曜プラクティスで初めて走るようチームに要求するなど、極めて無責任だ」
「新規チームがバーレーンを無事に切り抜けたとしても――そうなることを願っているが――ペースは恐ろしく遅いだろう。これはF1の格をおとしめることになると思うし、ドライバーたちにとってもフェアではない」
「ヒスパニア・レーシングのブルーノ・セナとカルン・チャンドックはふたりとも才能ある若手ドライバーだが、大きなプレッシャーにさらされることになる。彼らへのアドバイスは、プラクティスの間中、できるだけ速く走れということだ。F1で最も危険なことのひとつは、レーシングラインで低速で走ることだからね」