フェラーリ会長ルカ・ディ・モンテゼモロは、マシン開発の大部分をシミュレーターで行わなければならない現在のF1規則は「ジョーク」のようだと語った。
現在F1ではシーズン中のテストが厳しく制限されており、チームはマシンの開発作業をシミュレーターに頼らざるを得ない状況となっている。
ディ・モンテゼモロは、シミュレーターでマシンを開発するよりも、実際に走行テストを行う方がチームにとって大きな意味があり、しかもコストもかからないと主張した。
今の状況は「ジョークだ」とディ・モンテゼモロはフィオラノで行ったメディアとの昼食会において語った。
「我々はここ(フィオラノ)やムジェロでテストを行う代わりに、この人工的などうしようもないマシンに巨額の投資を行うことを強いられてきた」
「テストをする金がない人間がもしいるなら、彼らはGP2でレースをしたり、ゴーカートやバスケットをした方がいい」
「私がテストを行いたいのは、なによりも、新しいドライバーたちにマシンを走らせて経験を積む機会を与えたいからだ」
「また、一般の人たちにも(F1に触れる)機会をもっと提供したい。F1ではレースウイークエンドの合間には何も行われないからね」
「ファンを呼ぶことができれば、スポンサーにとってもいいチャンスになる。それにこのどうしようもないシミュレーターを作り、毎月開発することに比べれば、テストを行った方が費用は安く済む。この問題については今後話し合う必要がある」
厳しいテスト制限がなければ、今年多発したタイヤのトラブルも防げたはずだと、ディ・モンテゼモロは述べている。
「サッカーのチャンピオンズリーグで戦いたければ、優れた選手を雇い、時には1日に5回ものトレーニングを行う必要がある。それが競争というものだ」
「F1ではテストをすることが許されない。しかし一方では風洞に多額の予算をつぎ込まなければならない。これはばかげたことだ。我々は風洞で空力の開発を行っているが、それは私のどのロードカーにも活用することができないのだ」
「保守的な古いF1ファンと思われたくはない。だが、もっとテストをすることが許されていれば、(2013年の)タイヤスキャンダルは起こらなかっただろう。ピレリですらあまりテストをすることができず、非常に難しい状況にいるのだ」
2014年にはテスト禁止の規則が緩和され、シーズン中、グランプリの直後に何度かテストが行われる見込みとなっている。
フェラーリは、マクラーレンやレッドブルと比べて、ドライバー・イン・ザ・ループ・シミュレーターの分野で立ち遅れており、今年優秀な開発ドライバーであるペドロ・デ・ラ・ロサを起用してシミュレーターに関する向上を目指している。