ツインリンクもてぎはターニングポイント
今年も第3戦が新生フォーミュラ・ニッポン、シリーズの行方を左右する

これまでとは見た目も内容も大きく変わった今シーズンのフォーミュラ・ニッポン。トヨタ、ホンダの2社がエンジンを供給するのは変わらないが、それまでのV型8気筒3000ccから、同じV型8気筒ながら排気量は3400ccになり、パワーも550馬力から600馬力以上にアップ。さらには新シャーシFN09も、これまでに比べ一回り大きく、巨大なリアウィング、2重構造のフロントウィングが目を引く。空気の力で車体を下方に押しつけるダウンフォースはF1より優れているとさえ思わせる。これは同時にコーナリングスピードの向上を意味し、これまでにないスピードでレースが展開されるのは確実と言われているほどだ。どれほどのハイスピードで予選、決勝が展開されるか興味深いところだが、もうひとつ興味深いのが、ツインリンクもてぎがターニングポイントとなることだ。シリーズ第3戦は各ドライバーの本来のポテンシャルが判明する頃。昨年は松田次生(ローソン・インパル)が予選PP(ポール・ポジション)からそのまま優勝。シリーズを席巻して2年連続の王者に輝いた。一昨年はPIAAナカジマの小暮卓史が第3戦ツインリンクもてぎでその年初優勝を飾ると、その勢いでシリーズをリード。タイトルこそ松田に譲ったが、最多のPP4回、3回の優勝を飾り、最速男と呼ばれたほど。今季開幕戦は若手の台頭が光ったが、本当の戦いはこのツインリンクもてぎから。松田、小暮らの強豪勢が上位に食い込んでくることが予想される。はたしてシリーズチャンピオンに直結するとさえ言われる、ツインリンクもてぎバトルを誰が制するのだろうか。

驚異のルーキーたちが初めてのツインリンクもてぎラウンドに挑む!
上位進出に自信を見せるのは地元の塚越広大!!

今年は3人のルーキーが参戦してきた。昨年ともにユーロF3シリーズを戦った塚越広大(HFDP)と大嶋和也(トムス)。それに全日本F3に参戦した国本京佑(ルマン)。特に国本は昨年11月に行われた「F3世界一決定戦」マカオGPで、佐藤琢磨以来の日本人優勝を飾って世界を驚かせた。当然もてぎでも上位を狙ってくるが、ルーキーの中で最も注目したいのは塚越だ。ツインリンクもてぎのある栃木県出身の塚越にとって今回は、まさに凱旋レースと呼べるもの。それだけに気合も入る。開幕戦ではルーキー最上位の6位フィニッシュを飾ったが「ルーキートップは関係ない。開幕戦で課題がクリアできたし、自身はあります。自分の力を出し切れば上位を狙える」と語る。当然大嶋、国本も侮れない存在。ルーキー3人衆の走りに注目だ。

一気に5強を超えるか!?2年目の若手伊沢拓也、平手晃平に注目

驚異のルーキーたちが注目されるなか、開幕戦で並み居る強豪勢を蹴散らしたのが、今季参戦2年目の若手、平手晃平(インパル)と伊沢拓也(ダンディライアン)だ。開幕戦で平手が自身初の予選PPを獲得すると、伊沢が2番手タイム。決勝でも優勝こそレース巧者のB・トレルイエにさらわれたものの、伊沢が自身初表彰台となる2位。平手が3位に食い込んで見せたのだ。
「スタートを失敗してレースをだめにしてしまった。今度はPPから優勝する」と力を込める平手。伊沢も「開幕戦は勝てたレースだったのでチームに申し訳ない。課題も見つかったので今後のレースに生かして頑張る」と、完全に優勝をその視野にとらえたようだ。昨年からフォーミュラ・ニッポンは「5強」の時代と言われている。ローソン・インパルの松田次生、B・トレルイエ。PIAAナカジマの小暮卓史、L・デュバル。そしてペトロナス・トムスのA・ロッテラーだ。開幕戦ではトレルイエ以外は不本意な結果に終わったが、ツインリンクもてぎでは本来のパフォーマンスを発揮するはず。若手&ルーキー5人対5強の戦いが見ものとなってきた。

ドライバー後方のランプが点滅したら目を離すな!
豪快なパッシングシーンはもうすぐだ

新生フォーミュラ・ニッポンはよりF1に近いフォルム、600馬力オーバーのパワーが大きな見どころだが、もうひとつこれまでにない試みと言えるのが「オーバーテイクシステム」。ステアリングに取り付けられたオーバーテイクボタンを押すと、10,300回転に制限されていたエンジン回転数が10,700回転まで上昇し、そのパワーで前車を追い抜こうというものだ。ボタンを押すとドライバー後方のロールバーに内蔵されたランプが激しく点滅。ひと目で分かるほど明るく光ってファンに知らせてくれる。このオーバーテイクシステムは1レースで5回までしか使えない。5つあるライトがひとつずつ減って行くため、あと何回使えるか一目瞭然。いつ、どこでボタンを押すのか!?その結果は…?ハラハラ、ドキドキが最後まで続く。それが新生フォーミュラ・ニッポンだ。

フォーミュラチャレンジ・ジャパン(FCJ)第5戦、第6戦開催

フォーミュラ・ニッポンと同時に、将来のF1を目指す精鋭たちが競うFCJ(フォーミュラチャレンジ・ジャパン)第5戦(30日決勝)、第6戦(31日決勝)が開催される。今季フォーミュラ・ニッポン開幕戦で健闘した国本京佑は、2007年にFCJのチャンピオンを獲得すると昨年F3に参戦。今季フォーミュラ・ニッポンと一気に頂点まで上り詰めたのだ。国本の後に続くのは誰だ!? 今回注目したいのは地元茨城県出身の野尻智紀だ。昨年SRS-F(鈴鹿サーキット レーシングスクール フォーミュラ)を卒業し、スカラシップを獲得。今季FCJに参戦してきた精鋭だ。FCJは参戦2年目と1年目の選手で構成されており、序盤はやはり2年目の選手が有利となるが、このツインリンクもてぎからは1年目の選手も本来の力を発揮するはず。地元ホームコースのパワーを追い風にした野尻の快走に期待したい。

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