2009年SUPER GT 最終戦
「KRAFT SC430最後尾から9位ポイントゲット!」
いよいよ迎えた2009年度のSUPER GT最終戦。11月に入り、めっきりと朝・晩の冷え込みが厳しくなって来た栃木県は茂木町の「ツインリンクもてぎ」今回この最終戦を迎えるにあたり、チームは心強いパートナーを獲得。
この最終戦のスポットスポンサーとして、自動車用品の企画・製造・販売を手掛ける株式会社ケースペック(愛知県碧南市代表取締役鈴木博明公式H・P http://www.kspec.co.jp/) 様を迎え、マシンデザインも一新! ケースペック社のコーポレートカラーであるブルーと白を基本にデザインされたマシンは、ボディサイドにブランドロゴである「DIGICAM(デジキャン)」ロゴを纏い、若い2人のドライバーにぴったりなフレッシュなイメージで今回の最終戦を戦う事となった。
ここもてぎはシェイクダウンテストの際に良い感触を得たサーキットでもあり、石浦、大嶋共に「得意なサーキット」というだけに非常に期待が高まる最終戦。チームはここ数戦の好調を維持したまま金曜日にサーキットへと到着。新カラーリングを施されたマシンが、他のチーム関係者やメディアの関心を集める中、「なんとかもう1勝!」という高い目標に向け、まずは土曜日の走行へ向け着々と準備を開始した。
公式練習
11月7日(土)9:55~11:40
週の前半はすっかり冬型の天候となっていたが、木曜日位から徐々に回復の兆しを見せ、11月としては比較的穏やかな中迎えた公式練習。ニューカラーリングのお披露目RUNとなるこのセッション。石浦はトップでコースイン!
本人が「得意」というだけあり、伸び伸びとしたドライピングでまずはトップタイムでストレートを通過! その後、周回を重ねては微調整にピットへ戻るという繰り返しで徐々にセッティングを進め、1時間程した所で大嶋へとドライバー交代。変わった大嶋も順調に周回を重ね、セッション残り10分程で再び石浦へと交替。特にアタックする訳でも無い走行で上位のタイムが出る程で、仕上がり具合は順調。午後の予選に向け明るい兆しの公式練習となった。
公式予選12:50~13:35
ノックダウン予選14:25~
迎えた午後の公式予選。朝から続く好天は相変わらずで、この季節としては比較的気温・路温共に高い中迎えた公式予選。今回はノックダウン方式の予選が採用され、Q1からQ3へと徐々に出走台数が少なくなるF1方式の予選。当然、Q3進出、ポール奪取を目標とする「KRAFT SC430」は今回、石浦⇒大嶋⇒石浦の順でアタックを行う作戦。まずは・・・Q1に先だって全ドライバーが基準タイムをクリアする為の予選が始まり、石浦からコースイン!
ユーズドタイヤを装着する石浦はまずは難なくトップタイムを刻み、更にタイムUPか?と思われた最終コーナー手前で突如のスローダウン! 石浦は無線からマシンの異常を伝えつつ、そのまま惰性で緊急ピットイン!
症状から駆動系のトラブルと判断したクルーは大急ぎでマシンをジャッキアップし修復作業へ!このセッション、まだ走行をしていない大嶋はこのまま走れなければ予選不通過となる最悪の状況の中、必死の修復作業が行われ、残り1分でなんとか大嶋がコースイン!
無情にも大嶋がストレートへ戻ってくるのを待つことなくチェッカーフラッグは振られ、大嶋の計測ラップはアウトラップの1周のみという厳しい状況の中、大嶋は冷えたタイヤ、ブレーキという状況とは思えぬ鬼神の走りでアタックを試み、コントロールラインに戻った所で、アウトラップとしては驚異の1'55.357というタイムを叩き出し走行を終了。
残念ながら基準タイムの1'54.333に僅か1秒届かず、無念の予選不通過となった。結果、タイム的には石浦の記録したタイムが総合3番手で残ったが、大嶋が基準クリアを満たせなかった為、決勝は嘆願書による最後尾スタート。決勝で何台抜けるか?記録へ向け挑戦をする試練のレースとなった。
ウォームアップ走行
11月8日(日)8:45~9:15
迎えた決勝日。朝から時折日も差す好天は続き、レース日和を予感させる日曜日。前日、基準タイムクリアとならなった大嶋はこのセッションの走りにより最後尾スタートが許可されるが、いつも通りまずは石浦がコースイン!
前日のトラブルの原因を探り、万全を期すために徹夜での作業となったメカニックだか、マシンは完璧に仕上げられ石浦は圧倒的な速さ見せトップタイム!残り10分で代わった大嶋も全く問題の無いタイムで走行を続け、結果、審査委員会は最後尾からのスタートを許可。怒涛の追い上げに期待をつなぐウォームアップ走行となった。
決勝レース(53Laps)14:00スタート
午後2時。もてぎの空はお昼を過ぎた頃から薄曇りとなり、期待されていた秋晴れからは少し外れてしまったが・・・さすがに最終戦。大勢のスーパーGTファンがスタンドを埋め尽くす中、決勝レースのスタートが切られた。
前日のトラブルによる予選不通過の影響で、不運にも「嘆願書」による決勝スタートとなってしまった「KRAFT SC430」は、今シーズン初となる最後尾からのスタート。前には13台ものGT500マシンが並んでおり、改めて最後尾スタートの厳しさを痛感するスターティンググリッドであったが、スタートドライバーを務める石浦は冷静かつポジティブにポジションアップを誓いスタート!
その誓い通りにまずは1周目、#12と#32をオーバーテイクし、コントロールライン上へと戻って来た所で石浦の順位は12位へとポジションアップ!続く5周目には#100を捉え11位、さらに6周目には#3を捉え、あっと言う間に10位へとポジションをアップ!明らかにペースの速い石浦は面白いように順位を上げ、その後もさらにシングル圏内を目指す走りで前車を追走する展開。レースも10周を過ぎるとGT300クラスの周回遅れが現れ、その影響でポジション争いも膠着状態となるが18周目、上位を走っていた#1がタイヤバーストにより順位を落とし、石浦はついに9位へ浮上!20周を過ぎる頃からは早めのピットストップを選択したチームのルーティンのストップが始まり26周目、順位を7位とした所で石浦もピットイン!大嶋へとドライバー交代をするが、大嶋のスタート時にエンジンが痛恨のストール!若干のタイムロスを伴いコースへと復帰した大嶋の順位は落ち着いた所で12位と後退してしまった。
トップと遜色のないタイムで走行を続ける大嶋は徐々に前車との距離を詰め、再び浮上のチャンスを狙う展開となるが、35周目、コース上にクラッシュの影響によるオイルが発生した事でSCが導入され、レースは振り出しに・・・38周目にSCが解除されレースは再スタート!再び好タイムで走行を続ける大嶋はついに45周目#24を捉え11位へと浮上!続く47周目からは#18とテールtoノーズの争いを展開しポジションアップを狙うが、49周目に上位を行く#38がコースアウトを喫し、大嶋は難なく10位へと浮上!そしてついに52周目には5周に渡るバトルを制し#18をオーバーテイク!ついにシングルの9位へと順位を戻した。残り1周、さらなるポジションアップの為、気迫の走りは続いたがトップが53Lapのチェッカーを受け、「KRAFT SC430」は9位でチェッカーを受けた。
最後尾スタートという不運を考えると9位ポイントゲットは喜べる結果であるが・・
ここまで状況が良かっただけに予選のトラブルが悔やまれる結果となった。
大澤尚輔監督
予選のトラブルが痛かったですね。今年はトラブルらしいトラブルも無いままこの最終戦を迎えましたが・・ここで来たか?という感じです。駆動系のトラブルだったのですが、このトラブルから流れが少し変わってしまったと思います。最後尾からポイントを取れたので良しとすべきなのかも知れませんが・もっと上に行けたという自信もあります。有終の美は飾れませんでしたが今年は非常に収穫の多いシーズンだったので、来季へ必ず繋がると思います。1年間ご声援ありがとうございました。
石浦宏明
予選はいい感じだったのですが、トラブルは痛かったです。徹夜でメカニックさん達がマシンを仕上げてくれたお陰で、マシンは完璧で、決勝は良いレースが出来たと思います。最後尾からのスタートでしたが、なんとかポイントも取る事が出来て良かったと思います。今年は色々と勉強をさせて頂き、自分の足りない部分が良く分かりました。この経験を生かし来年はもっと良いレースが出来るように頑張りたいと思います。皆さん、ご声援本当にありがとうございました。来年も宜しくお願い申し上げます。
大嶋和也
予選は悔しい思いをし、最後尾からのスタートだったのですが・・・石浦さんが頑張り、良いポジションで渡して貰ったのにスタートで少し失敗してしまいました。マシンの状況は良かったので走りだしてからはかなり良い走りが出来ましたが、もう少し上でレースを終えたかったと思います。
GT500デビューイヤーで初優勝する事が出来たのですが・・・反面、自分の力不足を感じる事も多く、色々と勉強する事が多い1年でした。来年もチャンスを頂ければこの経験を生かし、シリーズチャンピオンを目指して頑張って行きたいと思います。1年間、ご支援・ご声援本当にありがとうごさいました。
