関谷正徳PETRONAS TOM'S監督が3年の歳月をかけて生み出したワンメイクレース、インタープロトシリーズの開幕戦が23日、富士スピードウェイで開催され、抜きつ抜かれつのサバイバルレースと、プロドライバーの高いドライビングスキルで観客を盛り上げた。
オリジナルのワンメイクスポーツカー『Kuruma』を使用し、プロドライバーとジェントルマンドライバーが組む形で行われるインタープロトシリーズ。土曜日にはジェントルマンクラスとプロフェッショナルクラス各々の予選と、ジェントルマンクラスの決勝レース1が行われた。
ジェントルマンクラスでは、#3 INGING MOTORSPORTの卜部治久がポールポジションを獲得。1分52秒708は、当然ながらこのクラスのレコードタイムとなった。プロフェッショナルクラスでは、参戦選手の中で最年少となる#4 RSSの平川亮が、ジェントルマンクラスのタイムに約6秒の差をつけて、プロドライバーのレベルの高さをみせた。
13時20分にスタートが切られたジェントルマンクラスの決勝レース1は、序盤から6台が激しいバトルをみせる。ポールシッターの卜部は、オープニングラップの1コーナーは守り切ったものの、ダンロップコーナーで#36 MYZ 三浦勝に逆転を許してしまう。その背後には、予選5番手から順位を上げてきた#19 YUSHIN TEAM A・Q・M F+の伊藤良男がファステストラップを刻む勢いで迫ってきていた。
4周目の1コーナーでトップの2台は並走し、300Rで卜部が若干前に出たが、並んでいた三浦が挙動を乱し、ダンロップコーナー手前でクラッシュ。その反動でコース上に戻ってくると、卜部と接触してしまう。2台はリタイアとなり、車両回収のためにセーフティカーが投入された。6周目に入るところでセーフティカーが解除となり、伊藤、#2 BENTの青木光秀、#16 ララパルーザの渡邊久和の順でレースが進んでいく。
渡邊はファイナルラップに入った1コーナーで青木を抜き去り2位に上がってチェッカーを受けたが、トップの伊藤と青木の2台に、リスタート後の追い越し違反による30秒加算のペナルティが課されることに。これで、記念すべきインタープロト初レースの勝者は渡邊。伊藤は2位に入り、3位には#37 J-Gear号COOLSHIRT 澤田透が入った。
翌23日には、ジェントルマンクラスの決勝レース2とプロフェッショナルクラスの決勝レースが行われた。ジェントルマンクラスのスターティンググリッドは、決勝レース1の結果で決定。その中で、三浦は前日のクラッシュの影響で欠場。さらに予選に出られなかった#4 RSS AKIRAが最後尾からスタートすることになった。
全車クリーンなスタートを切ったが、1コーナーで伊藤と澤田が接触。目の前でアクシデントが起こり若干スピードを緩めた青木をオーバーテイクし、卜部が予選5番手から一気に2番手まで浮上した。卜部は3周目の1コーナーでトップに躍り出ると、周回を重ねるにつれてペースアップ。予選で自身がたたき出したタイムをレース終盤で更新し、後続に23秒の大差をつけて優勝した。
卜部が独走を続けた後ろでは、2位争いがヒートアップ。渡邊と澤田が順位を入れ替えながらの接近戦を演じている間に、ひたひたと背後に迫っていたAKIRAが10周目に2位に浮上。最後尾から表彰台獲得を果たした。3位に入ったのは、レース1優勝者の渡邊。ファイナルラップの最終コーナーでスピンを喫し、伊藤にテール・トゥ・ノーズにまで迫られたが、順位を守り切った。
プロフェッショナルクラスの決勝レースでは、予選4番手の#19 平中克幸が抜群のスタートと加速をみせる。ポールスタートの#4 平川に迫る勢いで2番手に浮上。オープニングラップは、#4 平川、#19 平中、#3 横溝直輝の順でトップ3が形成された。
平中を追いかける横溝は、3周目の1コーナーでアウト側から仕掛けるも抜ききれず、この間に背後に近づいてきた4番手の#37 蒲生尚弥と3台での2位争いへ。ほぼ2周にわたって繰り広げられたデッドヒートは、横溝、蒲生、平中の順位で落ち着いたかに見えたが、7周目のダンロップコーナーで、横溝のマシンにトラブルが発生し単独スピン。横溝はピットまで戻ってきたが、そのままリタイアとなった。
横溝が後退したことでそれぞれ2位と3位に上がった蒲生と平中のギャップは、一時2秒以上まで開いていたが、レース終盤に平中がペースアップ。残り2周の時点で一気に1秒以内まで差を詰めたが、順位は逆転することなくチェッカー。後方のバトルを尻目に一人ハイペースで独走状態を続けていた平川が、プロフェッショナルクラスの初ウイナーとなった。