カリフォルニア州フォンタナで開催されてたIZODインディカー・シリーズ最終戦。決勝は、500マイルのナイトレースで争われ、ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)が完走9台のサバイバルレースを制した。ラストスティントまでもつれた注目のチャンピオン争いは、エリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)がフロントウイングを壊しラップダウン。スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)もオーバーヒートに陥るも5位でフィニッシュし3度目のチャンピオンに輝いた。

 オーバルレースでは2ヒート制のテキサスで1回しか勝ったことのないウィル・パワーが、1年前のフォンタナでは66周でクラッシュしたパワーが、今年のMAV TV500ではダントツの速さを見せて優勝した。

 レース序盤にはトップ10圏外に後退したこともあったパワーだったが、ピットタイミングをずらす作戦も駆使してトップ争いへと復活。レース終盤には誰も太刀打ちできないスピードを見せ、悠々と優勝のゴールへと飛び込んだ。

「これまでで最も満足の行くレースだった」とパワーは興奮していた。しかし、彼の勝利は、即ちチームメイトのエリオ・カストロネベスがタイトルを取り逃すことを意味した。

 パワーと彼のピットは勝利だけを目指し、チームメイトのタイトル獲得をアシストするつもりはなかったかのような戦いぶりだった。カストロネベスは自力でタイトルを奪い取るしかなかった。しかし、ピットが閉鎖されている間にピットに呼び入れられて順位を4位から7位に落とすなど、彼の最終戦はなかなか思うようには進んでいかなかった。

カストロネベスにとって最も不運だったのは、もうゴールまで30周を切った226周目にピットストップを行った直後にフルコースコーションとなり、1周のラップダウンに陥ってしまったことだった。この時のセバスチャン・ブルデー(ドラゴン・レーシング)のクラッシュは、彼がパワーと接触したことで発生したものだった。

 ここまで土壇場になってからの周回遅れでは挽回は難しく、カストロネベスは6位でゴールした。そして、ギリギリで周回遅れにならずに済んだディクソンは、ゆっくり慎重に走ってもタイトルを獲得できる状況を手に入れた。エンジンにオーバーヒートの兆候が出ていたディクソンとすれば、本当に大きな助けとなるフルコースコーションとなった。

「序盤のマシンはハンドリングが悪かったが、主にタイヤの空気圧調整でそれを向上させていった。カー・ナンバー5との接触など、危ない場面もあった。最後にはエンジンがラジエターの目詰まりでオーバーヒートに陥りもした。しかし、エリオが不運なピットタイミングで周回遅れになり、楽になった。シーズン中盤には、もうタイトルの可能性はないと考えていた。それだけにチャンピオンになれたことは本当に嬉しい。まだ自分がタイトルを獲得したことを信じられないくらいだよ」とディクソンは語った。

 レースを完走できたのは9人だけ。リードラップでフィニッシュしたのはたったの5人だった。ここまでリタイアが多かったのは、今年のフォンタナが特殊なコンディションにあったためだったようだ。路面のバンプを無くすためにと、インディーカーのレースが来る前に舗装を削る作業を行ったのだが、その粉塵がレース中にコース上へと出て来て、飛び散ったタイヤかすと一緒になってラジエターの目詰まりを起こさせていたのだ。

 2位は昨年度フォンタナ・ウイナーのエド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング)で、今年のインディ500優勝者のトニー・カナーン(KVレーシング)が3位でゴールした。4位は1周のラップダウンから復活したジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポート)。シボレーが1位から4位までを独占し、2年連続マニュファクチャラー王者となった。

 ホンダ勢の最高位はディクソンの5位。昨年はシボレードライバーのライアン・ハンター-レイがチャンピオンとなったが、今年はホンダドライバーのディクソンが王座を手に入れた。

 ランキング3位はサイモン・ペジナウ(シュミット・ハミルトン・モータースポーツ)、4位はパワーで、5位はマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)となった。

 佐藤琢磨(AJフォイト)は、最後尾の25番手スタートから11位までレース中に順位を上げた。序盤は芳しくなかったハンドリングを、ピットストップを重ねる中で向上させていくことにも成功していた。しかし、ラジエターを覆った異物によってエンジンがオーバーヒートを起こして144周でリタイアし、最終結果は17位となった。初優勝も飾った今シーズンだったが、19戦でDNFが10回と多く、ポイントスタンディングは17位となった。

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