土曜日に第6戦、日曜日に第7戦とダブルヘッダーで行われるIZODインディカー・シリーズのデトロイト戦。1日に行われた第6戦の決勝レースは、マイク・コンウェイが2011年以来となる勝利を飾った。佐藤琢磨は、序盤のガス欠により後退。19位でフィニッシュし、ランキングは4位に下がった。

 デトロイトでのダブルヘッダー第1戦、今シーズンの第6戦はマイク・コンウェイが制した。前日予選3番手を獲得したコンウェイは、ポールシッターのダリオ・フランキッティがエンジン交換による10グリッド降格のペナルティを受けたため、フロントローからスタートすることになった。そのチャンスを活かして1周目でトップに立った彼はレースのイニシアチブを握る。

 ポールスタートだったEJ.ビソ(アンドレッティ・オートスポート)はスタート直後から大きく後退。代わって2番手に浮上してきたのはライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)で、コンウェイは昨年度のチャンピオンとのトップ争いを始め、ふたりは3番手以下を突き放していった。

 トップが入れ替わったのは1回目のピットストップ。1周早い24周でピットしたコンウェイは2番手に後退した。ハンター-レイはトップに立ち、レッドタイヤで逃げにかかる。ところが、スタート時に続いてブラックを装着したコンウェイの方がペースが安定している上、ラップタイムも速かった。44周目、コンウェイは長くなったストレートの先、ターン3への進入で悠々とハンター-レイをパスし、トップを取り戻した。

 誰も前を走っていない状況になると、コンウェイは一気にリードを広げた。その差は20秒にも広がる。これまでのロードレースではレッド優位が常識だったが、今日のデトロイトでのレースではブラックが完全なる優位にあった。それを見抜いていたコンウェイと彼のチームは、ブラックでの周回数をできる限り増やし、ユーズドレッドは最後の15周を走るだけでよい作戦で優勝へと逃げ切った。タイヤを労るために1ラップにつき2秒以上もスローダウンする余裕を見せても、まだ12秒の差をもってゴールを迎えた。

 この勝利はホンダにとって今季2回目。ロングビーチではAJフォイト・レーシング、デトロイトではデイル・コイン・レーシングと、小さなチームが大健闘している。

 スポット参戦で優勝してみせたコンウェイは、「ここまでうまく行くとは自分でも思わなかった」と笑顔を見せた。「チャンスをくれたデイル・コインに感謝する。マシンは素晴らしく、ピットストップも見事だった。エンジニアの考えたブラックタイヤを長く使うという作戦も完璧だった。明日も勝ちたいね」と語った。

ハンター-レイはセカンド・スティントを短くしてブラックタイヤへとスイッチし、元チームメイトを追ったが、フルコース・コーションも出されず、逆転のチャンスは掴めなかった。それどころか、コンウェイと同じブラックを連続使用する作戦で戦っていたウィルソンが背後に迫った。

 コンウェイ以上にセカンド・スティントを長くする事にも成功したウィルソンは2位フィニッシュのチャンスにまで手を届かせた。しかし、最後のピットストップで右フロント・タイヤ・チェンジャーがミスを冒した。レンチを落とし、その際に回転方向を変えるボタンも作動してしまったため、大きくタイムロス。このミスでハンター-レイの2位が安泰となった。

「今日のマイク(コンウェイ)にはまったく叶わなかった。強敵のレース出場は大歓迎。僕としては今日のところは2位でハッピーだ。シリーズポイントでも2位に上がることができたしね」とハンター-レイは語った。

 ウィルソンは3位の座さえ失うピンチに追い込まれた。スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)がすぐ背後まで迫り、激しくチャージしてきたのだ。ポジションを争う彼らの後ろにはエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)とダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ)まで追いついて来て、4台が連なってゴールを目指すこととなった。

 ウィルソンはどうにかディクソンの攻撃を退け、3位フィニッシュした。今年の第3戦ロング・ビーチで最後尾スタートから3位に到達した彼は、デトロイトでは16番手スタートから今年二度目の表彰台登壇を達成したのだ。

「今日もたくさん抜いたな」とウィルソンは笑っていた。「チームメイトと表彰台に上った。これはチームにとって大きな喜びだ。デトロイトのコースはタフだが、ストレートの長いレイアウトはとても素晴らしい。ファンも楽しんでくれたものと思う。明日も良いレースを戦えるものと確信している」とも彼は語った。

 佐藤琢磨は7番手スタートだったが、ゴールは21位まで後退していた。1回目のピットストップ目前でガス欠に陥ったためだった。6番手を走っていてのガス欠は非常に痛いミスだった。

 琢磨は、「ガス欠する前の周にピットインする予定でした。しかし、無線でもう1周と言われたんですが、そうしたらもうターン2を過ぎたあたりでガス欠症状が出てしまったんです。その後は、ソフトタイヤでの走りを経験しておきたかったし、明日の第7戦に向けての走りになっていました」

「終盤はそれなりのペースで走れていました。しかし、まだトップグループとの間には差があります。明日はその差を埋めて戦いたい。後方グリッドからのスタートですが、ピットタイミングを変えるなどの作戦も利用して戦います」と語った。琢磨のポイント・スタンディングは4位に下がっている。

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