セント・ピーターズバーグで開催されたベライゾン・インディカー・シリーズの開幕戦。30日に行われた決勝レースは、ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)が得意のコースで速さを見せ勝利を飾った。ポールポジションからスタートした佐藤琢磨(AJフォイト)は、序盤をリードするもペースカが上がらず、7位で開幕戦を終えた。

 昨日の雷雨が嘘のように決勝日のセント・ピーターズバーグには朝から快晴が広がっていた。シーズン開幕戦は大勢のファンの前で午後3時半過ぎにスタートが切られた。気温は20度強で今週末最高、そして、路面温度はウォームアップを含めたプラクティス、予選時に比べて明らかに高いコンディションとなっていた。

 ポールポジションは佐藤琢磨。彼は新品のレッドタイヤをスタートタイヤに選び、完璧なスタートでトップを守ると序盤の28周でトップを走った。ところが、第1スティントを終えてピットインし、ブラックタイヤを装着すると琢磨のペースは落ち、パワーにパスされた。

 トップに躍り出たパワーは完全にレースをコントロール。ライバル勢が近づくとペースを上げ、余裕の感じられる距離を保ってゴールを目指した。彼、そしてチームメイトのエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)のブラックタイヤでのペースには驚くべきものがあった。

 カストロネベスは、10番手スタートながらレース序盤で一挙に順位を上げ、チームメイトからトップを奪い取るべく全力で走っていた。ペンスキーのふたりの後ろのには、予選3番手のライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)が虎視眈々とポジションアップを狙う。

 その一方で、琢磨はハンドリングが良くない上にブレーキトラブルが発生。全力を投入して5番手をキープしていたが、ピット作業でのミスによって、最後のピットストップでガナッシ勢ふたりに先行を許してしまい順位は7番手に後退。

 琢磨はゴールを目前にしてジャスティン・ウィルソン(デイル・コイン)によるプレッシャーを感ずるようになり。ひとつのミスで順位がふたつ落ちる可能性を抱えることとなった。しかし、ミスのないドライビングで7番手をゴールまで守り抜いた。

 優勝は最後までレースをコントロールしたパワー。今季初勝利で、キャリア22勝目を挙げた。昨シーズン終盤のヒューストンでの2レース目、最終戦フォンタナでも勝っている彼は、2シーズンに跨がっての3連勝を飾ったのである。

 優勝したパワーは、「僕は思い切り激しいレースを戦いたい。そして、レースに勝ちたい。優勝することは大好きだからね。チャンピオンになりたいのは勿論だが、ポイントだけを考えて慎重過ぎるレースを戦いたくはないんだ。去年はそうやって、少々慎重に過ぎる戦いぶりになっていたと思う。その点で今年の自分たちは違う。全レースで思い切り戦い、勝利を目指す。その結果としてタイトルを獲得できたらいいね」とコメントした。

 2位でゴールしたのはハンター-レイは、「2012年の自分たちの強さを取り戻したい。それが僕らの目標だ。今週はプラクティスでセッティングに悩んだ時もあったが、レースでは速さをアピールできた。どのレースでも上位を走り、優勝争いに加わっていくことが今年の僕の目標。今日は開幕戦で、それができていたから、とても嬉しいし、安定した速さを見せられたことは大変重要だ」

「今年から一緒に戦っているホンダの力にも嬉しい驚きを感じている。彼らのエンジンは、開幕直前にバーバー・モータースポーツパークで行ったオープンテストの時から大きな進歩をしていた。短い期間だったのに大きな進歩があった。これからきっと、更なるパフォーマンス向上があると期待をしている」とも喜んでいた。

 3位はカストロネベス、4位はスコット・ディクソンだった。そして、5位はサイモン・ぺジナウ(シュミット-ハミルトン)。6位はトニー・カナーン(チップ・ガナッシ)で、琢磨は7位だった。

 レースを終えた琢磨は、「ポールポジションから良いスタートが切れた。序盤のマシンは良かった。大きなリードを築くこともできた。しかし、ブラックタイヤでの走りが良くなかった。3スティント目もブラックで行ったが、ニュー・レッドタイヤで走った序盤と同じペースで走れなかった。ピットでポジションを失うこともあった上、コース上でライバルたちをパスして失った順位を挽回することが今日は極めて困難だった」

「プラクティスでの僕らのマシンには、ブラックタイヤでも十分に高い競争力が備わっていた。しかし、決勝レースでは同じ力を発揮できなかった。予選がポールポジションという良い結果だっただけに、7位というレース結果は残念だ。今日の不振の原因がどこにあるのかを見つけないといけない。今週集めたデータを全部チェックし、ロングビーチでは今日の経験を基に力強い戦いを見せたい」と語った。

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