デトロイト市ベルアイルパークを舞台にダブルヘッダーで開催されているベライゾン・インディカー・シリーズのデトロイト戦。1日には第7戦となるレース2が行われ、午前中に行われた予選は、佐藤琢磨(AJフォイト)が、今季2度目となるポールポジションを獲得した。

 ダブルヘッダーのデトロイト。今年からの新ルールで予選は各レースの当日に開催されることとなった。レース2の予選は通常のロードコース用の3段階で争われるものではなく、2グループに分かれ12分間のグループセッションで最速タイムを競い合うものとされた。

 レース1用の予選とグループ分けは同じ。レース1ではどちらかというとグループ2(後に走るため路面コンディションが良く、同時に次に走る予選第2セグメントにも路面状況が近い)にアドバンテージが与えられていたが、レース2では逆にグループ1が後に走るため、ベストタイムを獲得するには有利な条件が揃う。

 先に走るグループ2の予選は、ジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポート)が1分16秒3739という驚異的タイムを出した。昨日のポールタイムより1秒以上も速く、ポールは決定とも見られていた。彼らは12分間赤旗なしで、ブラックタイヤで走り込んでセッティングを確認し、レッドタイヤに履き替えてのアタックを行っていた。タイムを出すための最低条件が整っていたのだ。

2番手はマイク・コンウェイ(エド・カーペンター・レーシング)の1分16秒8580。3番手は1分16秒9340を出したルーキーのカルロス・ムニョス(アンドレッティ・オートスポート)だった。

 後に走ったグループ1では、計測開始からすぐに赤旗が出された。ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)が昨日の予選に続いて壁にヒット。昨日以上にダメージは大きく、彼の予選はそこで終了となった。

 開始から2分ちょっとで赤旗が出され、中断は5分にも及んだ。グループ1の予選時間はもう5分弱しか残されていなかった。これでヒンチクリフのタイムを破るのは益々難しくなった。

 それでも昨日のポールシッター、エリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)が目覚しい速さを見せ、ヒンチクリフを僅かに0.0015秒上回って最速の座を奪い取った。2レース両方のポールポジション・スウィープがなったと思われた。

 しかしチェッカーフラッグが出された時、最後のアタックラップを走っていたマシンがまだあった。それが佐藤琢磨の14号車だった。彼のファイナルラップは、1分16秒1371と、カストロネベスのベストに明確な差をつけ、開幕戦セント・ピーターズバーグに続く今季2回目、キャリア5回目のポール・ポジション獲得を成し遂げた。もちろん、これはデトロイトの新しいコースレコードとなる。

「チームが最高のマシンを用意してくれました。昨日のレースをテストのように使っていろいろ勉強し、今日のセッティングをエンジニアたちと決めました。昨日の夜中、午前1時頃に気になる点が自分の中で見つかったので、エンジニアにメールをして、今朝電話をして変更をしてもらったりもしました」

「実際に走るまで、どれだけ良いマシンになるかはわからなかったし、赤旗で短縮されたのでブラックタイヤでの確認作業もできなかった。それでも、走り出すやグリップが高くなっているとわかった。ヒンチクリフの1分16秒台というタイムは自分としては全然見えてなかった。昨日の僕は1分17秒台にも入れていなかったぐらいだから」

「でも、チームが凄いマシンにしてくれたから、思いっきりアタックできました。最後のラップが勝負になるのはわかっていて、ラップの前半からミスなく良い走りができているとの確信がありました。でも、そこからも攻めの走りをコントロールラインまで続けました。やりましたよ。本当に嬉しいポールポジションです」と琢磨は喜びを爆発させていた。

 グループ2の2番手はカストロネベス。3番手はライアン・ブリスコ(チップ・ガナッシ)、4番手はサイモン・ペジナウ(シュミット・ピーターソン・ハミルトン)で、ここまでが1分16秒台にラップタイムを入れて来た。

 両グループで合計17人が昨日のポールタイムを破った。どのチームもマシンのセッティングを向上させた上、路面のコンディションも、気温などの条件も好タイムを出すのに適したものになっていたということだ。

 昨日はシボレーがPPだったが、今日はホンダ勢が予選1、2位でフロントロー独占を果たした。グリッド2列目はインがカストロネベス、アウトがコンウェイ。3列目はインがブリスコ、アウトがムニョスだ。

 今日の予選では、ハンター-レイが前述の通り1ラップ目のクラッシュで計測ラップなしとなり、予選順位は22台中の21位となったが、その隣り、グループ2での最下位で最後尾グリッドからスタートするのは、なんとスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)だ。サテライトチームのブリスコが中断もあったグループ1の予選で奮闘し、5番グリッドを確保したのとは対照的に、ディクソンは12分間フルに走れたグループ2で最下位のタイムしか出せなかった。

 ブリスコと同じガナッシのサテライトチームで走るチャーリー・キンボールも、予選20位と最後尾から2列目。ディクソンのチームメイトで、昨日のレース3位フィニッシュしているトニー・カナーンも予選17位と苦戦をしていた。

 昨日のレースで勝ったウィル・パワー(チーム・ペンスキー)はグループ1の4番手とパフォーマンスは今ひとつだった。昨日のレースでは優勝を争い、レース中のファステストラップを記録していたグラハム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン)も、グループ1の7番手で14番グリッドから今日のレースをスタートする。

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