2011年F1第7戦カナダGPの決勝は、25周終了時点で激しい降雨に見舞われたため、赤旗による一時中断状態となった。
決勝スタート時の天候は雲りだったが事前に降った雨で路面はフルウエットとなり、レースはセーフティカースタートが宣告された。気温19度、路面温度は18度。タイヤはウエットレースのため、全車がエクストリームウエザータイヤを装着した。
予選で107パーセントルールをクリアできなかったヴァージンのジェローム・ダンブロジオはスチュワードから出走の許可が下りてグリッド最後尾に並んだが、予選18番手のハイミ・アルグエルスアリがピットスタートとなったため、そのアルグエルスアリが最後尾に回るかたちとなった。
午後1時ちょうどにレースはセーフティカー先導でスタートし、4周目の終わりにセーフティカーが退去。5周目から本格的なバトルの火ぶたが切って落とされた。
スタート直後の1コーナーは、トップ3が順位をキープする一方で、4番手のマーク・ウエーバーと5番手のルイス・ハミルトンが接触。これでハミルトンは6番手に順位を落とし、スピンしたウエーバーは13番手まで後退する。逆に小林可夢偉は10番手までポジションアップに成功した。
レース序盤は、先頭のベッテルが後続のフェラーリとの差を徐々に拡げていくなか、8周目のホームストレートで6番手走行のジェンソン・バトンにハミルトンが無謀にもオーバーテイクをしかけて接触。ウォールにヒットしたハミルトンはリタイアし、レースは再びセーフティカーが出動する。バトンは接触の翌周にピットインしたが、ここで思い切って浅溝用のインターミディエイトタイヤに履き替え12番手で無事レースに復帰した。
12周目にレースが再開すると、浅溝のタイヤで勝負に出たバトンにセーフティカー時のスピード違反が告げられ、バトンはドライブスルーペナルティを受ける。しかし、そこからバトンのラップタイムは向上を見せ、16周を過ぎると上位勢のラップタイムを逆転。すると、これに反応したフェルナンド・アロンソ、ニコ・ロズベルグ、ミハエル・シューマッハーといった上位勢がピットインしてタイヤをインターミディエイトに履き替える。
だがレースは、20周を目前に雨足が一気に強まり、レースは再びセーフティカーが出動。アロンソ、バトン、ロズベルグらは再度ピットインしてタイヤをエクストリームタイヤに戻すことになった。トップのベッテルと2番手のフェリペ・マッサ、4番手まで順位を回復していたウエーバーもこの間にピットインして新しいエクストリームタイヤに履き替える。
そんななか、10番手から堅実なレースを繰り広げていた可夢偉は、セーフティカー先導中もタイヤ交換のピットインを行わず、上位勢のピットストップの間に2番手までポジションを上げる。レースはその後も雨足が強まるばかりで、25周目を迎えたところでついに赤旗が出され、レースは一時中断となってしまった。
この赤旗でマシンはグリッドに再度整列。25周終了時点の順位はベッテル(P)、可夢偉、マッサ(P)、ニック・ハイドフェルド、ビタリー・ペトロフ、ポール・ディ・レスタ、ウエーバー(P)、アロンソ(P)、ペドロ・デ・ラ・ロサ、バトンが10番手。(※P:ピットインしたマシン)
レース中に接触したウエーバーとハミルトンの一件はハミルトンがリタイアしたためペナルティなしとなったが、マクラーレン2台の接触についてはレース後に審議されることになった。