元F1ドライバーのデイビッド・クルサードは、F1のスーパーライセンス発給条件となっているポイントシステムについて、DTMドイツツーリングカー選手権もその枠組みの中に採り入れられるべきだと主張している。
FIAは、2016年からのスーパーライセンス発給条件について新たなポイントシステムを採用。FIAが定めた選手権でのランキングごとにポイントがドライバーに与えられ、スーパーライセンスを獲得するためにはそれらの選手権で過去3シーズンの間に最低40ポイントを獲得することが必要になった。
その選手権としては、F1への“登竜門”として知られるGP2やフォーミュラ・ルノー3.5をはじめ、スーパーフォーミュラやインディカー、WEC世界耐久選手権のLMP1クラス、そしてF3などがラインナップ。そんな中で、今後設置が予定されているFIA F2というシリーズには名前を連ねる11選手権の中で最高のポイントが割り当てられている(タイトル獲得で60ポイント、2位は50ポイント、3位でも40ポイント)。
一方、DTMは現在のところその選手権の中には含まれておらず、シリーズを戦うBMW、アウディ、メルセデスの3社はFIAに再考を促している。DTMでは、2010年にタイトルを獲得したポール・ディ・レスタがその後F1へとステップアップしているほか、パスカル・ウェーレインは現在メルセデスからシリーズに参戦しつつ、メルセデスF1のリザーブドライバーも務めている。また、BMWのマルコ・ウィットマンも、昨年のDTMタイトル獲得の“ご褒美”として、インシーズンテストでトロロッソのマシンをドライブした。
F1引退後、メルセデスからDTMに参戦していたクルサードは、DTMのプロフェッショナリズムはドライバーの育成に役立つと語る。
「DTMはF1と同様に非常にプロフェッショナルな体制だと思うよ。セットアップやメディアの注目度、スポンサーという点でも、その他すべてのフォーミュラシリーズの一段上をいっている」
「もちろん、これはツーリングカーだから、一部の人たちは『シングルシーターとの関連性は何なのか』と思うかもしれない。ただ、簡単にドライブできるツーリングカーではないんだ。F3並みのスピードとダウンフォースを持っているから、異なるものだと見なされるべきだと思う」
またクルサードは、まだスタートしていないF2がポイントシステム上での優遇を受けている現状についても疑問を呈している。
「(ポイントシステムでは)まだ存在していないフォーミュラ2が現存のフォーミュラシリーズよりも重点が置かれている。僕とすれば、運営が成功していてプロフェッショナルなその他のシリーズを本当にバカにしていると思うし、FIAはF2が何を象徴しているのかというビジョンをもつ必要がある」
「それによって世界で準備のできているドライバーを見定めることはできるだろう。才能は才能だからね。ドライビングが上手いということは、肉体的にマシンをドライブすることができるという点では十分に優れているということだ」
「ただし、それはストーリーの一部にすぎない。レースでの技術について、そしてどのように組織の中で働いていくかということを学ぶ必要があるんだ」