F1第13戦シンガポールGPの決勝レースでトップ10入りを果たしたドライバーたちが、決勝の戦いを振り返った。
セバスチャン・ベッテル 決勝=1位
「ただただ最高の週末だった。スタートでは接近戦になったが、その後、僕らは強力なレースペースを発揮し、特にセーフティカーの後、とても速かった。必死にプッシュして、ギャップを築こうとした。何が起こるのか、予想できない。最後の10周は、マシンに乗っている僕にとっては永遠のように感じられた。ここではどれだけ簡単にミスが出る可能性があるかを自分に思い出させ、集中力を保ち続けた。ウォールが近いから、注意力が足りないとあっという間にミスにつながってしまうんだ。適切なブレーキングをし、タイヤをセーブすることに集中した。自分たちがこれほど強いとは思っていなかった。これはチームの努力の結果だ。全員が懸命に仕事に取り組んでいるからだ。強さの秘密がもしあるとすれば、それは僕らは自分たちの仕事を愛しており、強い情熱を持っているということだ。ここはとても暑くて、コンディションがいいとはいえないけれど、チームは常に仕事に励み、それが向上につながっているのだと思う。皆が作ってくれたマシンで走るのは光栄なことだと、チームで働いているスタッフ全員に言いたい」
フェルナンド・アロンソ 決勝=2位
「今日は速さがないことは分かっていたから、戦う方法を考えなければならなかった。最初のチャンスはスタート、その後は他とは違う戦略で、それが功を奏し、表彰台という素晴らしい結果に結びついた。僕らにとっては勝利のように感じる。スタートで4台を抜いたが、過去のここでのレースのスタートを見直したことが役に立った。(タイヤ戦略で)リスクを冒したが、ランキングにおけるポジションを考えると、僕らには失うものはない。5位でフィニッシュしたとしても大差はないんだ。ロズベルグがセーフティカー出動時にピットインしなかったので、僕らはピットに入って別のことをしようと決めた。それによって最終スティントでペースをコントロールすることができた。そのタイヤで最後まで走るのは簡単なことではなかったけどね。ライコネンとウエーバーに対してギャップがあったから、終盤まで状況をコントロールすることができた。ひとつのグループで走っていたら、ホラー映画のエンディングのようになっていたと思うよ! 今回、ポイントリーダーとのギャップが拡大した。彼らはその位置にふさわしいから、祝福するよ。僕らは現実的に考える必要がある。タイトルを取るにはたくさんの幸運が必要だ。もちろん、今の時点で諦めることは考えられない。もし幸運が訪れたら、それをつかめる位置にいるつもりだ」
キミ・ライコネン 決勝=3位
「決勝中には背中の痛みはあまり感じなかった。昨日は理想的とはいえなかった。ほとんど走れる状態じゃなかったんだ。次のレースまでには問題を解決できるよ。背中に痛みが出たのはこれが初めてではない。冬の間にしっかり解決しなければならないから、何ができるか考える。今も100パーセントの状態ではないが、2週間の間に休んで治すことができるだろう。3位フィニッシュには満足すべきだと思う。今日は最大限の仕事をした。これ以上の結果を出すことはできなかった」
ニコ・ロズベルグ 決勝=4位
「今日はいろいろな細かい出来事が積み重なって、最大限のパフォーマンスを発揮することができなかった。セーフティカーが出動した時、リスクを冒してステイアウトするべきだったとは思わない。うまくやれた可能性があったのか? 僕には分からない。ピットストップには時間がかかり、(マーク・)ウエーバーに前に出られてしまった。その後、フロントウイングにラバーが引っ掛かり、しばらくの間、パフォーマンスが低下した。通常よりもタイヤに負担がかかってしまい、レースに影響した。セーフティカー後、難しいレースになってしまった。今日はさまざまな戦略が採られていた。僕らはもっとうまくやれたはずだ。本来ならもっとずっといい結果を出せたのか、あと少しだけ上のポジションがつかめたのか、そのへんは分からない。でも理想的な展開ではなかったのは確かだ。僕らはここから学び、向上しなければならない」
ルイス・ハミルトン 決勝=5位
「ベストを尽くしたし、マシンのフィーリングもよかったが、残念ながら昨日の予選結果があまりよくなったことの代償を払うことになった。スタートはうまくいかず、ターン1ではマーク(・ウエーバー)を避けるためにワイドなラインを取らなければならなかった。その後はレースの状況と自分の真のポジションを把握するのが難しかった。セーフティカーのタイミングは僕らにとっては不利に働いた。自分たちの戦略について振り返ってその時の状況でどういう戦略を採ればうまくいったのかを調べる必要がある。でも、フェルナンド(・アロンソ)やキミ(・ライコネン)と同じように、そのタイヤであれほど長く走るということが僕らにできたかどうかは分からない。もちろん5位どまりというのは少し残念だけど、僕は全力を尽くした。次はもっと強くなって戻ってくるよ。もうドライバーズタイトルには届かないと思う。これからはフェルナンドに何とかして追いつき、チームがフェラーリに勝てるよう努力するだけだ」
フェリペ・マッサ 決勝=6位
「今日起こったさまざまなことを考えれば、6位はとてもいい結果だと思う。最高のスタートを決めたけれど、1コーナーに到達すると、アーリーブレーキングするマシンの中でスタックしてしまい、ポジションを上げるどころか大幅に順位を失ってしまった。その後は常に他のマシンのすぐ後ろを走ることになった。このサーキットではオーバーテイクがどれだけ難しいか、誰もが知っていることだ。セーフティカーが出動した時、選択肢がふたつあった。ひとつはミディアムタイヤを履くことだったが、最後まで走り切れるかどうか確信が持てなかった。もうひとつはスーパーソフトを装着して、ポジションを上げるためにプッシュしていくことだった。僕らは後者の選択肢を選んだ。でも同じタイヤのディ・レスタが前を走っていて、彼の後ろを走り続けることになった。3回目のピットストップの後の最終スティントで、大勢のドライバーたちがタイヤに苦しんでいたため、その状況をうまく利用して6位を取り戻した。最初から最後まで本当にきついレースだった。たくさんのポイントを持ち帰ることができてとても満足だ」
ジェンソン・バトン 決勝=7位
「表彰台のチャンスがあるかもしれないと考えたが、結局はペースが足りず、後ろから近づいてくる他のマシンを押さえ切ることができなかった。でも、試してみて楽しかった。今年僕らが表彰台を狙うにはリスクを冒す必要があるんだ。レースの大半をオプションタイヤで走るつもりだったので、それを想定してマシンをセットアップした。だからプライムタイヤではあまりうまくいかなかった。長時間キミ(・ライコネン)を押さえて走ったためにリヤタイヤがダメージを受け、とても難しい状態に陥った。終盤にはペースが足りず、彼に抜かれてしまった。でも試してみたのはいいことだし、7位という結果は悪くない。別の戦略を採ったとしても、これより上に行くことはできなかった。それは確かだよ。だからチームのためにポイントを取れたことを喜んでいる」
セルジオ・ペレス 決勝=8位
「今日の結果には満足すべきだと思う。ジェンソンが言うように、7位と8位は今日僕らに可能なベストの結果だったんじゃないかな。セーフティカーが出たタイミングは僕らには不利だったと思う。それで2回ピットストップで最後まで走り切るというリスクを冒さざるをえなかった。バリアに接触しないよう、マシンを走らせ続けるのは本当に大変だった。クラッシュしないよう慎重に、同時にラップタイムにそれほどロスがないように走ったんだ。でもこれは正しい選択だったと思う。7位と8位は素晴らしい結果とはいえないけれど、僕らが望めるベストの結果だった。これは大事なことだ。これによって母国メキシコの人々に笑顔をもたらせることを心から願っている。彼らは困難な時期にあり、何か笑顔になれるようなことを必要としているんだ」
ニコ・ヒュルケンベルグ 決勝=9位
「全体的に今回のレースには満足していいと思う。2ポイントを持ち帰ることができた。正直な話、これ以上の結果を予想してはいなかった。毎週末、モンツァのような結果を期待することはできないけれど、僕らは大きく前進したよ。きついレースだった。すごくいいスタートを決めて、その後、セルジオ・ペレスとの一件があった。まだビデオを見ていないから、見てみる必要があるが、(彼にポジションを返すよう指示されたことには)全く納得いかない。あの時、前にパストール(・マルドナド)がいて、僕はアウト側のラインをとった。セルジオがインに飛び込んでくると分かったので、彼のためにスペースを残した。そうしなければ接触しただろう。僕は押し出される形で外側の縁石に乗ってしまった。運悪くマシンがボトミングして飛び出してしまった。確かに(コース外に出たというのは)事実だが、僕はコーナーに入る時点で彼の前に立っていた。コース外に出ることでアドバンテージを得たわけじゃない。レース終盤はサバイバルのための戦いになった。タイヤがほぼ終わっていたんだ。ニコ・ロズベルグ、ルイス・ハミルトン、マーク・ウエーバーはフレッシュタイヤを履いていたから、僕はただただコース上にとどまり完走することに集中するだけだった」
エイドリアン・スーティル 決勝=10位
「きついレースだった。終盤はくたくただったよ。だから1ポイント取ることができてすごく嬉しい。チーム全体にとってささやかなモチベーションにつながるよ。レース終盤、ペレス、バトン、ヒュルケンベルグからなる前の隊列に追いついてきた。少なくとも1台は抜けるかと思ったけれど、“トレイン”の後方に追いついたと思ったら、タイヤがだめになってしまった。全員がタイヤに苦労していたよ。氷の上を走っているみたいで、アタックすることはできなかった。だから1ポイントでも満足だし、チームの努力が報われたと思う」