2010年のシーズンに入ってDTM/スーパーGTの両者が技術規則統一に向けて話し合いをスタートし、BMWがDTM参戦に向け動き出したが、16日に決勝レースが行われるニュルブルクリンク24時間レースに訪れたBMW、アウディの両社首脳に、この件について話を聞いた。BMWモータースポーツ代表のマリオ・タイセンは、この件について来週来日するという。
■マリオ・タイセン(BMWモータースポーツ ディレクター)
(DTMとスーパーGTの間で話し合いが持たれているけれど)今は話し合いを持つのに、とても素晴らしい機会だと思っている。実際、今DTMとスーパーGT、両方のシリーズは同じ問題で苦しんでいるから。両方ともとてもハイクラスなシリーズではあるけれど、どちらのクルマもたったひとつのシリーズのためにしか使えない。
その点、同じレギュレーションの何とか作り上げることができて、ドイツのマニュファクチャラーにとって、クルマを見せることができるオープンな機会が得られれば、またそれとは逆に、日本のマニュファクチャラーがヨーロッパに来ることができれば、両方のシリーズに活気を与えることができると思う。
その一方、間違いなくコストを下げることもできる。現状ではそれがとても重要だ。スーパーGTについてはまだあまり多くのことを知らない。でも、私は近々ミスター・バンドウ(坂東正明GTA代表)に会う予定だ。それに間違いなく幾つかのデータは見ている。ITRとGTAの間でどのようなことが話し合われたかという情報も得ている。だから、私たちが、ともにひとつの物を作り上げられるっていう自信もあるんだ。
私は来週、日本に行く。まだミスター・バンドウとのミーティングの予定に関しては最終的な日時は決定していないけど、とにかく来週会いに行くんだ。今回は、お互いのことを知り合うだけになるかも知れないけどね。
■ドクター・ヴォルフガング・ウルリッヒ(アウディスポーツ代表)
マニュファクチャラーも含めて、DMSB(ドイツの自動車連盟)と日本自動車連盟の間で話が進められているのは知っている。このことはいいアイデアだと思う。DTMを走らせているマニュファクチャラーにとっても、日本で自分たちのクルマを走らせるチャンスが生まれるかも知れないし、前向きだと思うよ。
その一方、日本のマニュファクチャラーにとっても、日本のチャンピオンシップで走らせるだけでなく、ヨーロッパでも同じクルマを走らせることができれば、コストをシェアすることができていいんじゃないかな。一度の開発で複数のチャンピオンシップを戦うことができるんだからね。それは我々にとっても歓迎すべきアイデアだ。もちろん、すでに開発しているクルマを使うことができるならば、我々は日本でレースすることができる。そのために、我々は日本のインポーターとも話をしなければならないし、どのシリーズがいいかということをともに決定する努力が必要だ。そこに興味がある。
今年、アウディには、アンドレ(ロッテラー)とブノワ(トレルイエ)というスーパーGTのドライバーがいるが、彼らからGTについては多くのことを聞いている。彼らはスーパーGTがとても好きだし、とてもコンペティティブなシリーズだと言っているよ。その点では、DTMもとてもコンペティティブなシリーズなので、ふたつのシリーズを結合する方法を見つけられるんじゃないかと思う。私たち全員のためにもね。GTのクルマがDTMのクルマと違うコンセプトで作られているのは知っている。しかし、いずれのシリーズもコスト削減を考えているし、新しいレギュレーションを考えている。だからこそ、両方のシリーズを結合させるのにはいいチャンスだと思う。私たちは、すでにITRとDMSBというシリーズの代表者を日本に送っているし、彼らから私たちの提案を伝えてもらっている。彼らが日本に行く前に、話してもらいたいことを一緒に決めたからね。
BMWは今、DTMに戻ってこようとしているが、日本とヨーロッパ両方のシリーズに参戦することができる共通ルールに関心を持っている。その点をクリアにするために、マリオ・タイセンは日本に行くのだろう。私に関してはスケジュールの空いている週末がないので、今年日本にレースを見に行くのは難しいかも知れない。でも、シーズンの終わりには、中国でLMP1のレースやDTMのレースがあるし、日本を訪れるチャンスはあると思う。友人の郷和道さんにも会いたいと思うし、1戦ぐらい日本のレースを見られればいいね。
さっきも言ったように、スーパーGTの情報を知るなら、ブノワとアンドレから聞くのが一番の近道だし、彼らの話を聞いて、私もよりスーパーGTに対する興味は湧いたよ。今年の末には、アジアのどこかで合同でレースをすることができるんじゃないかと思っているんだけどね。まだDTMの上海戦に関しては、最終的な日程が決まっていないし、クルマを上海から日本に運ぶのには時間が掛かるから実現できるかどうかは分からないけど、できることなら富士のGTオールスター戦に我々のクルマを持って行きたいね。