8日、ドイツGPでのチームオーダー問題についてFIA世界モータースポーツ評議会の公聴会が行われ、フェラーリがさらなる処罰を受けるのかどうかが決定する。
ドイツGP決勝でトップ走行中のフェリペ・マッサに、2位のフェルナンド・アロンソを前に出すよう暗に指示したとして、フェラーリはスチュワードから10万ドルの罰金を科され、さらにWMSCがこの件について公聴会を行うことが決定した。当日はチームプリンシパルのステファノ・ドメニカリと弁護士が出席、アロンソとマッサは、必要な際には電話かビデオ会議システムを通して参加するということだ。
レース中、マッサのレースエンジニア、ロブ・スメドレーはマッサに対して無線で「フェルナンドの方が君より速い。このメッセージを理解したということを示してほしい」と述べた。マッサがペースを落としてアロンソにリードを譲った後、スメドレーは「いい子だ。頑張っていけ。すまない」と述べた。
フェラーリは、明白な形でマッサに指示をしたわけではなく、従ってレギュレーションに違反してはいないと主張するものと予想されている。
レース直後、ドメニカリはメディアに対して次のようにコメントしたとautosport.comは伝えている。
「フェリペには状況を伝えただけだ。ある状況がチームにとってベストの結果をもたらさない事態が過去にあったからだ」
「情報を与え、チームがベストの結果を出すために、ドライバーたちにそれを受け止め、理解してもらう」
ドメニカリは、フェラーリはオーストラリアGPで、アロンソの前を走るマッサに、アロンソの方が速いと伝えたものの、マッサはポジションを譲っていないという事実を持ち出し、チームはドライバーたちに状況を教えているだけであり、決断を下すのはドライバーだと主張している。
また、ドメニカリは、スメドレーの謝罪は順位を譲ったことに対するものではなく、マッサのマシンがアロンソのマシンより遅かったことに関するものであると説明している。
WMSCがフェラーリに処罰を下す場合、執行猶予つきの処罰、さらなる罰金、ポイント剥奪、ドイツGPからの除外、世界選手権からの除外と、さまざまな可能性が考えられる。元FIA会長マックス・モズレーは、フェラーリにはコンストラクターズ、ドライバーズ両選手権ポイントを剥奪するペナルティが下されるべきだと主張している。そうなった場合、フェラーリはこの件を法廷に持ち込むつもりだと言われている。
一方で、FIAはフェラーリの行為は“チームオーダー”ではなく“戦略”だとみなし、放免するのではとの意見もある。FIAはこのふたつの違いを明確に示すか、あるいはチームオーダーを防ぐのは不可能だとしてチームオーダー禁止の規則を撤廃するかもしれないとも言われている。
BBC Sportは、他のF1チームたちにおいては、フェラーリにもアロンソとマッサにもこれ以上のペナルティを科すべきではないという考えが大勢を占めていると伝えている。さらに、多くのチームがチームオーダーを禁ずる規則を廃止することを望んでいるという。
公聴会は8日現地時間午後3時に始まり、裁定はその日のうちに発表される見込みだ。