2015年5月3日(日)・決勝
会場:富士スピードウェイ(4.563km)
天候:晴れ 気温:25℃(14:00時点)
路面温度:39℃(14:00時点)
コースコンディション:ドライ
観客:5万8000人(主催者発表)
5月3日(日)、静岡県駿東郡小山町にある富士スピードウェイにおいて、2015 オートバックス SUPER GT第2戦「FUJI GT 500km Race」の決勝レースが行われました。
予選に引き続き、本日も富士スピードウェイ周辺は清々しい青空に恵まれました。場内の駐車場にはオートキャンプを楽しむ家族連れなどの姿が数多く見られ、5万8000人のSUPER GTファンが富士のふもとに広がるサーキットを訪れました。今大会の入場者数は、2日間の合計で9万1500人となり、富士スピードウェイでのSUPER GTにおける新記録を打ち立てました。
昨日行われた予選の結果は、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GT(塚越広大/武藤英紀組)がHonda勢でトップとなる6番グリッドを獲得。以下、#15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT(小暮卓史/オリバー・ターベイ組)は8番グリッド、#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/伊沢拓也組)は11番グリッド、#64 Epson NSX CONCEPT-GT(中嶋大祐/ベルトラン・バゲット組)は12番グリッド、#8 ARTA NSX CONCEPT-GT(松浦孝亮/野尻智紀組)は13番グリッドとなりました。
500kmで繰り広げられる決勝レースでは途中2度のピットストップを行い、3スティントで走りきる戦略が基本となります。スタートドライバーは、#8 ARTA NSX CONCEPT-GTは松浦選手、#15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GTは小暮選手、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTは塚越選手、#64 Epson NSX CONCEPT-GTはバゲット選手、#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTは山本選手がそれぞれ務めます。
午後2時15分、ローリングスタートによって、110周・500kmの戦いは幕を開けました。スタート直後の1コーナーはアクシデントなく各マシンとも順調にクリア。しかし、#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTがダンロップコーナーで後続の車両に追突されてスピンを喫し、GT500クラスの最後尾まで後退します。審査委員会はアクシデントの原因が追突したマシンにあると判断し、このマシンにドライブスルーペナルティーを科しました。
オープニングラップを終えた段階で、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTは1つ順位を下げて7番手。そのすぐ後ろに#15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GTが迫り、#64 Epson NSX CONCEPT-GTが12番手、#8 ARTA NSX CONCEPT-GTが13番手、#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTが15番手となりました。
#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTに乗る塚越選手は序盤から積極的にペースを上げ、4周目には直前を走るライバルの攻略に成功して6番手に浮上。さらに7周目で別のライバルがピットインし、5番手まで上がります。
一方、#8 ARTA NSX CONCEPT-GTは序盤に起きたアクシデントの影響で、ボディーの一部が右フロントタイヤと接触するトラブルを抱えました。このため右フロントタイヤにダメージを負い、GT300クラスのアクシデントがきっかけでセーフティカーランとなった13周目にピットストップ。タイヤ交換と給油を行いました。しかし、セーフティカーランが終わった直後の17周目、左フロントタイヤにもトラブルが発生。再びピットストップを行い、#8 ARTA NSX CONCEPT-GTは大きく後れることとなりました。
21周目に#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTの塚越選手は、Aコーナーで直前を走るライバルの攻略に成功し、4番手に浮上します。22周目には、4番手の#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTがHonda勢の先頭に、#15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GTは6番手、#64 Epson NSX CONCEPT-GTが7番手、#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTは10番手、#8 ARTA NSX CONCEPT-GTが14番手となりました。
28周目、#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTが黄旗中の追い越しのため、ドライブスルーペナルティーを科せられます。そして、この直後にターボトラブルが発生したため、山本選手はマシンをガレージに運び込み、そこでリタイアを決めました。
30周目を過ぎると1度目のピットストップを行うチームが現れ始めます。Honda勢では#15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GTと、#64 Epson NSX CONCEPT-GTが33周目、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTは40周目にピットストップを行いました。その後、タイヤにダメージを与えるトラブルを抱えていた#8 ARTA NSX CONCEPT-GTはガレージに戻り、補修作業を実施しました。
レースの折り返し地点となる55周目、Honda勢のトップは引き続き4番手の#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTで、#64 Epson NSX CONCEPT-GTが7番手、#15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GTは9番手につけ、後半での巻き返しを期していました。
62周目に、#64 Epson NSX CONCEPT-GTの左リアタイヤがパンク。このため中嶋選手は慎重にマシンをコントロールしながらピットに戻ります。これで#64 Epson NSX CONCEPT-GTは12番手まで後退しました。
#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTと#15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT、#64 Epson NSX CONCEPT-GTの3台はその後も力走を続けましたが、順位を上げることができず、ポジションを守って周回を重ねていくこととなります。
レースが終盤に入ると2度目のピットストップが始まります。Honda勢では#15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GTが73周目、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTは80周目にそれぞれピット作業を行いました。さらにアクシデントの影響で後れていた#8 ARTA NSX CONCEPT-GTと#64 Epson NSX CONCEPT-GTも90周目までに最後のピットストップを終え、レース終盤戦の追い上げを図るため、力走を続けていました。しかし、厳しいコンディションの中でポジションを上げることはかなわず、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTは4位、#15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GTが8位、#64 Epson NSX CONCEPT-GTは12位、#8 ARTA NSX CONCEPT-GTは13位でフィニッシュしました。優勝はMOTUL AUTECH GT-Rでした。
GT300クラスは、#55 ARTA CR-Z GT(高木真一/小林崇志組)がレース中盤に4番手まで浮上する健闘をみせましたが、75周目を終えたところでピットイン。ここでターボチャージャーにトラブルが起きていることが判明したために走行を打ちきりました。ただし規定周回はクリアしているため、17位完走という結果となりました。
SUPER GTの第3戦は6月20日(土)〜6月21日(日)にタイ・ブリーラムのチャーン・インターナショナル・サーキットで開催されます。
コメント
松本雅彦 | Honda GTプロジェクトリーダー
「フラストレーションのたまるレースでした。NSX CONCEPT-GTの速さを十分に引き出すことができなかったほか、マシンのパフォーマンスをさらに向上させる必要を感じました。現状では、NSX CONCEPT-GTは決して富士スピードウェイを得意にしているとは言えませんが、3カ月後には再びここでレースを戦うことになるので、それまでに今日の問題点を洗い出し、対策を施すことが必要だと考えています。また、信頼性についても引き続き改善する必要があります。そうした中、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTがミスなく最後まで走りきってくれたことは大きな収穫でした。ここで得られたデータを解析し、今後の開発に役立てるつもりです」
塚越広大(4位 #17 KEIHIN NSX CONCEPT-GT)
「序盤でポジションを上げることができたし、表彰台を目指してプッシュしました。武藤選手のペースもよかったので、現状でのベストは出せたかと思いますが、今日は前の3台に追いつけるペースではありませんでした。次戦のタイはサーキットとの相性がいいですし、昨年も来てくれたKEIHINの大応援団がいるので、いい結果を出したいです」
武藤英紀(4位 #17 KEIHIN NSX CONCEPT-GT)
「前を走る3台のペースが速かったため、僕たちのベストを引き出して最善を尽くしましたが及びませんでした。ただ、500kmの長丁場でミスなく、接触などのトラブルもなく、タイヤもいいチョイスができたので、いいレースができたと思います。次戦のタイは、昨年走っているデータがありますし、今日のレースでの蓄積があるので、それを基にさらにマシンを仕上げていきたいです」
小暮卓史(8位 #15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT)
「(担当した)第1スティントの後半からブレーキトラブルが発生してしまい、フラストレーションがたまるレースでした。今回出たトラブルが、次戦以降では出ないようにしたいです。厳しいレースが続いていますが、チャンピオンシップを獲得するために、8月の第5戦鈴鹿までには優勝圏内にいるくらいのポイントを重ねていたいです。鈴鹿以降はHonda勢が得意なサーキットが続くので、次戦のタイをうまく乗りきり、今日のレースをベースに、さらに進化させて8月の富士を戦いたいです」
オリバー・ターベイ(8位 #15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT)
「スタートドライバーを受け持った小暮選手に続き、僕はレース中盤を担当しました。今日のコンディションはリアタイヤがオーバーヒートしやすく、そうなるとハンドリングがオーバーステアになってしまうので、この点に気をつけながらプッシュし続けました。その意味ではトリッキーなスティントでしたが、終盤にはブレーキがオーバーヒートして十分な制動力が得られなくなりました。この結果、直前を走るライバルを攻略できませんでした。今日はポイントを獲得するだけで精一杯だったと思います。第3戦が行われるタイのブリーラムは訪れたことがありませんが、シミュレーションでしっかりと準備をしてからレースに臨むつもりです」
