マクラーレンはシンガポールGPと日本GPの連戦に、新しいフロントウイングを持ち込んでいた。フラップ形状はそのままで、翼端板の外側(写真:赤の矢印)と内側(写真:水色の矢印)にフィンを追加。ただし、すでに他チームは昨年から採用しているアイデアで後追い感は否めない。
「サイズ・ゼロ」というコンセプトのもと、ホンダはパフォーマンス不足に苦しみながらもコンパクトなパワーユニットづくりに取り組んでいるが、車体がコンセプトを活かしきれないとなれば、パワーユニットを小型化した意味がなくなってしまう。
日本GPでは苦闘するマクラーレン・ホンダのマシンが何度も映し出された。印象的だったのは、S字の進入でテールランプが点滅していたこと。燃費をセーブするためブレーキング前に「リフト&コースト」する場合があるため、後方へアクセルを戻したことを知らせるためのものだ。
鈴鹿名物のセクター1は、2コーナーでブレーキングしたあと、デグナーヘ向けて車速をできるだけ落とすことなく、リズム良く切り返さなければならない連続コーナーだ。S字でブレーキを踏んだり、アクセルをオフするようでは、速く走ることができない。マクラーレンMP4-30は鈴鹿でデプロイだけでなく、ダウンフォースも十分ではなかったと考えられる。
チーフエンジニアのピーター・プロドロモウによる空力コンセプトに問題があるのか、ホンダのパワー不足を補うためにダウンフォースを削っていたのかは定かではない。いずれにしても、ストレートで抜かれて「GP2エンジン!!」と叫んだフェルナンド・アロンソですらS字でアクセルを戻すほど、ダウンフォースが足りていなかったことは事実である。