キミ・ライコネンは、モナコで2009年初の表彰台を獲得したことでフェラーリのプレッシャーはいくぶん軽くなったと認めたものの、フェラーリには優勝できるだけの速さはまだないと語った。
フェラーリは今年、開幕3戦をノーポイントで終え、この30年の中で最も不調なシーズンスタートを切ったが、モナコでライコネンが3位に入り、ついに復活の兆しが見え始めた。
モナコのレースでライコネンにとって唯一悔やまれるのは、スタートの滑り出しが悪かったことで、2番グリッドからKERSを使用したにもかかわらず3番手に落ち、これによって2位フィニッシュの可能性を失ったといえるだろう。
「ホイールスピンがすぐに起きてしまっては、(KERSなど)ほとんど役に立たない」とライコネンは言う。
「それで僕らはスタート(での優位)を失ったんだ。他のコースなら2位をキープできただろう。長いストレートがあればKERSのアドバンテージは大きいけれど、モナコではあまり役に立たない。最初の滑り出しの方が肝心だ。彼ら(ブラウン)はソフトタイヤを履いていたので、それが確実にアドバンテージになった。僕らはハード側のタイヤだったし、スタートはコースの右側の方が少しよかった。左側はすごく滑りやすかった。2番グリッドからポジションをひとつ落としたのは、これが初めてじゃない。(グリッドで)トップを獲れていれば、僕らにもっとチャンスがあったかもしれないね」
「ルーベンス(・バリチェロ)は序盤タイヤで苦しんでいたから、僕らの方が速かったが、抜くことはできなかった。ジェンソン(・バトン)についていく唯一のチャンスがあったのはその時だけだったのに、時間を大きくロスした。後ろがどんどん追いついてきたから、ピットストップを少し早めなければならなくなり、セカンドスティントは(バリチェロより)少し長めにとった。でも彼ら(ブラウン)はピットストップが速くて、僕らは大幅に時間を失った。彼らがどうやったのか知らないけれど、僕がピットから出てきたら、彼らより大きく遅れをとっていたんだ」
「その後のレースは楽ではなかった。ずっとプッシュし続けなければならなかったんだ。ピットストップでルーベンスの前に出ようとプッシュしたが、うまくいかなかった。フェリペ(・マッサ)が僕より何周多く走るのか知らなかった。かなりきわどい差になると思ったけれど、最終的にはそれほど接近しなかった。その後、僕らはペースを落とし、ブレーキとタイヤをいたわった。終盤レッドブルが近づいてきたから、少しペースを上げたけどね。それ以外は、最初のピットストップの後は順調だった」
確かにフェラーリにとって心強い結果ではあったが、優勝を手にするために、今後のレースでもこの進歩を継続させていく必要があると、ライコネンは言う。
「スタートで3位になっていなければ、2位でフィニッシュできたと思う」とライコネン。
「でもそうだったとしてもそれは僕らが本当に望んでいるポジションではない。全体的に僕らは優勝を狙えるだけの速さは持ち合わせていないと思う。今シーズンはとても厳しい序盤戦を送ってきたので、現状では(モナコで)自分たちが達成したことに満足すべきだろう。今季これまでのレースに比べると、いい結果を挙げられたんだからね。(でも)僕は3位には本当にがっかりしている。3位や4位ではハッピーになれないよ。それでもチームとしてはいい結果だった。ポイントを上げられて、チームとしては前より満足しているのは確かだよ」
「皆が少しはほっとできるだろう。僕らは復活しつつある。本当に望むポジションに到達するにはまだ時間はかかるだろうが、この数カ月で僕らはとても大きく進歩した。僕らはポジティブでいなければならない。ファクトリーでもサーキットでも皆懸命に働いている。ようやく結果が出始めたので、皆の士気が高まり、さらに皆プッシュしていくだろう。次のレースではまた新たなパッケージを導入するはずだし、それも役に立つと思う。3位と4位は悪くはないけれど、自分たちが本当に望んでいる場所に到達し、優勝を狙うには、まだやるべきことが残っている」