鈴鹿は2009年以降、レッドブル+ルノーが圧倒的な強さを誇ってきたサーキットだ。2011年こそ勝利をライバルに譲ったものの、2009、10、12、13とセバスチャン・ベッテルの手により4勝している(2011年もポール・ポジションはベッテルが獲得)。昨年はそれに加え、ロータスのロメイン・グロージャンがトップを走行するなど、ルノー製パワーユニットにとっては、非常に相性の良いサーキットだ。
今季ルノー製のパワーユニットを使うのは、前出のレッドブルに加えてロータス、トロロッソ、ケータハムの4チーム。ただし今季は、メルセデスAMG勢が圧倒的な強さを誇っているため、ルノーユーザー勢は苦戦を強いられている。とはいえ、ここまでレッドブルのダニエル・リカルドが3勝を挙げ、メルセデスAMG以外では唯一の勝者になるなど、勝負強さを発揮する。
迎えた今年の日本GP。初日のフリー走行の結果を見る限りではやはりメルセデス勢が速そうで、ルノー勢は苦戦を強いられている。その中でもっとも好調だったのは前出のベッテル。今季限りでの同チーム離脱を発表してしまったが、メルセデスAMG、ウイリアムズに次ぐパフォーマンスを発揮した。ベッテルチームメイト、ダニエル・リカルドはフリー走行2回目でクラッシュしてしまったものの、「メルセデスAMGに次ぐ3番グリッドを狙えるはず」と、土曜日以降への自信を示している。
他のルノーユーザーも、金曜日はまずまずの成果を残した。ロングランペースから判断すると、トロロッソのふたり、ダニエル・クビアトとジャン-エリック・ベルニュも非常に良いペースで走行。レッドブルに匹敵する好成績を残しても、決しておかしくはない。ちなみにフリー走行1回目では、来年デビューすることが決まっているマックス・フェルスタッペンが走行。17歳でのフリー走行出走は、F1公式セッション出走としては史上最年少記録である。
ロータスのロメイン・グロージャンも、「マシンは鈴鹿に合っている」と発言し、予選トップ10入りの可能性を示唆。パストール・マルドナドも「ここでは良いパフォーマンスを発揮できるはず」と自信を見せたが、エンジン交換(レギュレーションで定められた年間使用数を超える6基目のエンジンを投入)ペナルティにより10グリッド降格が決まってしまっているのが、残念なところだ。
日本期待の小林可夢偉が乗るケータハムも、ルノーユーザー。可夢偉はFP2でクラッシュしてしまったため、走行距離を稼ぐことができなかったが、マーカス・エリクソンが直近のライバルであるマルシャよりも高いパフォーマンスを発揮し、鈴鹿との相性の良さを感じさせた。
ルノーも、今季のパワーユニットの性能が劣っていることは認めている。しかし、エンジン開発の責任者であるロブ・ホワイトは「来季はメルセデスに間違いなく追いつく」と自信を見せる。なぜなら、パワーユニット開発が凍結されているとはいえ、かなりの範囲で開発が可能だから。この状況を最大限に活かし、来季はルノーのパワーユニットを搭載したマシンが、チャンピオン争いに加わってくることだろう。
とはいえ、まずは鈴鹿にご注目。レッドブルをはじめとしたルノーユーザー勢は、一体どんな活躍を見せてくれるのだろうか?