7日、全日本選手権フォーミュラ・ニッポンの2011年発表会が行われたが、その中でも大きな注目を集めたのはF1帰りの中嶋一貴、そしてイギリスF3での修行を終えた中嶋大祐の“兄弟対決”。周囲からの盛り上がりを感じる中で、本人たちの今季の意気込みを聞いた。
日本人初のフルタイムF1ドライバーである中嶋悟NAKAJIMA RACING監督を父に持つ一貴と大祐は、それぞれ一貴はトヨタ、大祐はホンダからのサポートを経てステップアップ。一貴はウイリアムズ・トヨタからF1に2年間参戦し、一貴は全日本F3からイギリスF3を経て、今季ふたりはフォーミュラ・ニッポンという舞台で同じレースを戦うことになった。
発表会でも、父である中嶋悟監督は「今年は“ナカジマ”という名前が3人もサーキットにいることになりましたが、こういう時代が来てしまったんだな……と思いますね(笑)。変な感じはしますが、全力で戦ってくれれば」と照れながらも息子たちへの期待を語った。
PETRONAS TOM'Sからゼッケン37番のマシンで参戦する一貴は、“F1帰り”という立場から、「ルーキーですが、普通のルーキーとは違うと思っています。挑戦者としてレースに臨みます。ルーキーだからといってミスが許されるとは思っていません。そのあたりはルーキーらしからぬ結果なり、レースができるように頑張りたい」と意気込みを語る。
一方の大祐は、父が率いるNAKAJIMA RACINGからの参戦。「正直、今はまだ不安しかないです。フォーミュラ・ニッポンはF3から比べても体力的にすごく要求されるレベルが高い。テストの回数は少ないし、シーズンが始まってもレースは月に1回程度。もちろんトレーニングは自分のできる限りをやっていますが、実際に走ってみないと分からない所も多い」と不安を抱えつつ、「でもドライバーとしては早く乗りたいと思っています」と開幕が待ちきれない様子。
イギリス在住時もそれぞれ家を借りて別々に住んでいたというふたりは、日本に拠点を移すことになってもそれぞれが別に住んでいるという。「基本的に連絡はあまりとりませんね。何か一緒にやることがあれば(一貴)」という程度のやり取りだと言うが、ふたりは2011年に向けたシーズンオフ、一貴のGTセパンテストに合わせる形でマレーシアでトレーニング合宿を実施。とは言え、その時も会話の内容はレースのプロモーションに関することなど、レースの事ばかりだったという。
否が応でも注目が集まる兄弟対決だが、本人たちは「そういう形で注目して頂けるのは自分たちにとってもチャンスだと思います(一貴)としつつも、「他に気にしなければならないライバルがたくさんいますからね。兄弟対決はあまり気にせず、自分のことでいっぱいいっぱい(一貴)」「兄に勝つだけではダメですし、全体の中でできる限り上にいかなければいけない(大祐)」と兄弟よりも、全体の中でのトップを目指す姿勢をお互いに語ってくれた。
「ずっとヨーロッパでやっている頃からトヨタさんに御世話になって、今年環境が変わって日本でレースをやることになりますが、ファンの皆さんとの距離はかなり違うと思うので、今までヨーロッパで培ってきたものを皆さんにしっかりお見せして、喜んで頂けるように頑張りたい」とフォーミュラ・ニッポン参戦に向け、ファンにメッセージをくれた一貴。
大祐も「これまでホンダさんにずっと御世話になってレースをしてきましたが、純粋にホンダエンジンを搭載して戦ったのは、F3の1年目とスクールの時くらい。でも、フォーミュラ・ニッポンからは純粋にホンダの皆さんが手がけてくれたエンジンを使うことになる。ホンダエンジンを使うことはずっと憧れだったので、それに値するようなレースをしていきたいと思っています」と日本に戻って戦うにあたっての意気込みを語ってくれた。
お互いがいかに前に行くか……? というところで今年のフォーミュラ・ニッポンを盛り上げてくれそうな中嶋兄弟。まずは今週末の合同テストから注目だ。
