全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第2戦オートポリスは5日、54周の決勝レースが行われ、予選13番手からスタートした中嶋一貴(PETRONAS TOM'S)が戦略と速さを両立させ初優勝を飾った。2位は大嶋和也(Team LeMans)、3位はポールスタートの塚越広大(DOCOMO DANDELION)となった。
朝から雨となったオートポリス。しかし、昼前から雨は降ったり止んだりというコンディションとなり、フォーミュラ・ニッポンがグリッドに着く頃には、ひょっとするとスリックで行けるか……!? という微妙なコンディションに。しかし、スタート直前にまたパラッと雨が降り、結局グリッドは全車ウエットタイヤを装着。一方、小林崇志(HP REAL RACING)、国本雄資(Projectμ/cerumo-INGING)、嵯峨宏紀(Le Beausset)の3台がピットスタートとなった。
今回は給油でのピット作業とタイヤ交換が同時にはできないレース。「無給油で54周を走りきるのは厳しいのでは?」という声がある中、各陣営がどういった戦略を採るか注目が集まる中、54周のスタートが切られた。スタートでは滑りやすい路面に各車苦労しながらも、PPの塚越がトップをキープ。大嶋、小暮、オリベイラと続いていく。一方、ピットスタート組では嵯峨がスリックを履いて出るが、すぐにコースアウトを喫してしまった。
1周目の終わり、早くも大嶋、一貴、国本、中嶋大祐(NAKAJIMA RACING)がピットストップ義務をこなし、翌周には石浦宏明(KYGNUS SUNOCO)、井口卓人(PETRONAS TOM'S F308)、アンドレア・カルダレッリ(KONDO RACING)がピットへ。4周を終えるまでにほとんどのマシンがピットに向かいタイヤ交換を済ませるが、そんな中、ピットに入っていなかった平手晃平(TEAM IMPUL)と小暮卓史(NAKAJIMA RACING)がヘアピンで接触があったかストップ。平手はすぐにコースに戻るが、小暮はグリーンにマシンが乗ってしまい、マシンを降りることとなってしまった。
5周を終えようやくレースは落ち着くが、この時点でトップは大嶋。次いで一貴、石浦と続く。一方、その後方では大祐と井口が競り合い、その後方から塚越が迫るが、直後の7周目1コーナーで大祐はコースオフ。一方の井口は足回りにトラブルが発生し後退してしまった。
中盤、路面が少しずつ乾いていき、スリックタイヤでの走行にはまったく支障がない状態に。そんな中、レースの中間あたりでピットに入り燃料給油を行う組と、無給油組に分かれていく。トップを走る大嶋は順調に周回をこなしていくが、2番手一貴はペースが良く、少しずつ接近。その後方は塚越という順位となっていた。
快調なペースで走る一貴は、42周目の1コーナーで大嶋のインを突きトップへ! これで、果たして序盤にピットインした際に義務をこなした一貴、そして大嶋が無給油でレースをこなしてしまうのか、一方で、給油をこなしハイペースで追う塚越、さらにタイヤ交換と給油を行い2ストップとなったオリベイラらが上位にどれほど迫ることができるのかに注目が集まった。
しかし、54周のレースを一貴は常に安定したペースで刻み続け、大嶋や後続の追随を許さず、なんとフォーミュラ・ニッポン参戦2戦目で中嶋一貴が初優勝! 2位は大嶋が塚越のアタックを防ぐ結果となった。無給油組はアレキサンドレ・インペラトーリ(SGC by KCMG)、オリベイラとの攻防を強いられた山本尚貴(TEAM無限)がチェッカー後にスローダウン。厳しい戦いを証明することとなった。
これにより、PETRONAS TOM'Sはフォーミュラ・ニッポンで開幕2連勝。3位、優勝と終えた一貴はランキングリーダーとなっている。
