ザウバーの小林可夢偉が、F1イタリアGPのレースウイークを振り返り、リタイアに終わった決勝レースの悔しさを語った。
可夢偉は、昨年のイタリアGPを1周も走ることなく終えているため、今年は最後までレースをしたかったと、自信のレポートに綴っている。
「僕たちのクルマは高速サーキットが得意じゃないんですけど、去年の予選はそこまで悪くはなかったんです。ただ、スタート前にグリッドに着こうとしたらギヤボックスが壊れて、レースをすることなくリタイアしていたので、今年はちゃんとレースをしたいなと思っていました」
「今回の空力はかなり低ダウンフォース仕様でした。エキゾーストの部分が強くない分、トラクションでは確実に勝てないから、直線で出来るだけ頑張って稼ごうっていうのがチームの狙いでした。金曜日に走ってみるとそれが意外と悪くなくてびっくりしたんです。ただ実際には土日にならないとわからないクルマのバランスも、もう少しまとめなければならないし、ストレートが長いのでギアの選択もしっかりすることが大切でした。DRSを使うときと使わないときでかなりブレーキングポイントが変わってくるので、それもけっこう難しかったですね。勘違いしちゃうんですよ。速度が違って、ブレーキングポイントが10メートル、20メートル簡単に変わってくる世界なので、そういう部分でも気をつける必要があったんですけどね」
土曜日に行われた予選でQ2に進みながら17番手タイムに終わった可夢偉は、完走を誓った決勝レースで今年もリタイアに終わってしまった。
「予選ではQ2のアタックラン中に、カートみたいに1コーナーに入ってそれでちょっとブリスターが出来たんです。リヤがロックするのは結構レアなんですけど、その時は空気の方が自分よりも早くて、スモークがもわ〜っと僕を追い抜くように流れてきて、不思議な感じでした(苦笑)。ともかく予選は残念でしたけど、タイヤの持ち自体はブリスターが出るというくらいで、それ以外はあんまり特別な感じはなかったですね。レースは出来るだけスタートでポジションを上げられれば楽だけど、無理しないことも大事だと思うのでとりあえず確実に1コーナーを超えることが目標でした」
「ただ、その1コーナーで多重クラッシュがあって、それを避けようとみんながブレーキを踏んで、僕もトロロッソに当たってフロントウイングが壊れたし、タイヤも削れてしまった。コース上に止まっているクルマを大回りして避けてなんとかピットに戻ってフロントウイングとタイヤを交換しました。もともと1ストップ戦略でプライムタイヤでスタートしたんですけど、タイヤも壊してしまったので、まず中古のオプションを履いて、その次に新品のオプションを履く変則の2ストップに替えました」
「セーフティーカーランの後はポンポンっと順位を上げることができましたが、やはり中古のオプションだったので、そのセットは厳しかったですけど、新品のオプションに替えてからはタイヤセーブモードでチェッカーまで走るつもりでした。その時のポジションを考えるとポイントは獲れるだろうと思っていたら、突然パワーが伝わらなくなった。どのギヤに入れてもクルマが進まなくてコース脇に止めました」
「去年もギヤボックストラブルで止まっているし、今回はチームメートも同じトラブルで止まったので、ちゃんと原因を究明しないといけないですね。すごく悔しいリタイアでしたが、気持ちを切り替えて次のシンガポールに向かいます」
(コメントは小林可夢偉公式サイト内「KAMUI'S REPORT」より引用)