スーパーGT第8戦もてぎは15日、53周の決勝レースが行われ、GT500クラスではKeePer TOM'S RC Fがポール・トゥ・ウイン。そして2位には、予選12番手から追い上げを見せたMOTUL AUTECH GT-Rが入り、逆転のシリーズ2連覇を決めることとなった。

 ランキング首位のカルソニックIMPUL GT-Rと2位のMOTUL GT-Rが2ポイント差と僅差で並ぶとともに、合計6台がタイトル獲得の権利を残して迎えた今シーズン最終戦。決勝に向けて天候の回復が予想され、決勝日のもてぎは朝から雨が降っていたものの、昼に向けて曇り空へと変わっていった。

 ドライコンディションを見据え、決勝前の8分間のウォームアップラップも18分間に延長される中、グリッド上でも、スリックかウエットかという各チームのタイヤ選択が焦点となっていたが、決勝まで30分を切ったタイミングで、コースに大粒の雨が降り始める。結局、10分ほどでやんだこの雨ではあったものの、各車はウエットタイヤでスタートを迎えた。

 13時40分より警察車両先導のもとでパレードラップが始まると、雲の切れ間からは青空も見えてくる。そんな気まぐれな天候のもと、53周の決勝レースが始まった。スタートでは、ポールシッターのKeePer RC Fがポジションをキープ。Epson NSX CONCEPT-GT、RAYBRIG NSX CONCEPT-GTと上位はグリッド通りに1コーナーを抜けていくが、4番手のPETRONAS TOM'S RC FとカルソニックGT-Rがヘアピンで接近。そこにZENT CERUMO RC Fも絡み、90度コーナーではZENT RC Fの立川祐路が前方の2台をパスして一気に4番手に。カルソニックGT-Rが5番手に続き、PETRONAS RC Fは6番手に後退する。

 まさかの予選Q1敗退を喫して12番手スタートとなったMOTUL GT-Rは、ロニー・クインタレッリがオープニングラップで10番手に浮上すると、オーバーテイクを繰り返して8周目には7番手に浮上。さらに11周目には、6番手を走っていたPETRONAS RC Fが11周目にスローダウンを喫してストップ。これにより、MOTUL GT-Rは7番手に浮上し、14秒ほど前方につける6番手のカルソニックGT-Rを追っていくこととなった。

 刻一刻と路面がドライに近づいていく中、15周目を終えたあたりから各チームのピットの動きも慌ただしくなり、スリックタイヤに変えるタイミングを窺い合うような展開となっていく。またMOTUL GT-Rは、前方よりも1秒前後速いペースで、徐々にギャップを削り取っていった。

 上位陣でまず動いたのは、4番手のZENT RC F。23周を終えたところでピットへと向かうと、翌周には首位のKeePe RC Fと3番手のRAYBRIG NSXもピットインし、給油とドライバー交代を行うとともに、タイヤはもちろんスリックを装着する。

 カルソニックGT-Rはその翌周、25周を終えたところで作業へ。ジョアオ-パオロ・デ・オリベイラからステアリングを引き継いだ安田裕信は、KeePer RC FとRAYBRIG NSXの間でコースへと復帰する。ただ、アウトラップの安田はヘアピンでRAYBRIG NSXの伊沢拓也の先行を許すこととなり、作業を終えた上位勢はKeePer RC F、RAYBRIG NSX、カルソニックGT-Rと並ぶこととなる。そして、130Rでコースアウトを喫してタイムロスしたZENT RC Fが、カルソニックGT-Rの後方に続いていった。

 26周目には、ウエットでも1分50秒台を切る好タイムで前方との差を10秒以下まで縮めていたMOTUL GT-Rがピットへ。クインタレッリから松田次生に交代するとともに、33秒と他チームと比較してかなり短時間のストップでコースへ向かい、KeePer RC Fの後方につける。

 松田は、アウトラップでRAYBRIG NSXとカルソニックGT-Rの攻勢を受けるが、必死のブロック。さらに、この3台がちょうど27周目に入ろうかというタイミングで、セーフティカーが導入される。これは、S Road MOLA GT-Rがリヤを大破する形でコース脇にストップするとともに、大きなデブリが2コーナーの先に落ちる形となったため。このSC導入にも助けられたか、MOTU GT-Rはひとまず窮地を凌ぐ形となった。

 一方、ピットストップを引っ張って首位につけていたEpson NSXはリードを失い、ピットレーンオープンとなった30周目の終わりにピットイン。順位を落とすこととなってしまった。

 これによりKeePer RC Fが首位、MOTUL GT-Rが2番手に並び、RAYBRIG NSX、カルソニックGT-R、ZENT RC Fと続く形で32周目にリスタートを迎えた。ここでは、周回遅れのマシンも絡む中で、KeePer RC Fの平川が1コーナーでややワイドに。この隙に松田が首位に浮上し、そのままフィニッシュすれば自力戴冠という状況で33周目を迎える。

 しかし、ペースとしてはKeePer RC Fの平川の方が速い状況。すでに戴冠の権利は失ってしまっているKeePerだが、ペースの上がらない松田の背後から、平川が意地の"大暴れ”を見せ、チャンピオン争いも絡む上位争いを大いに盛り上げた。トラフィックも交えた激しい攻防の末、43周目にV字への進入でGT300車両に詰まった松田を平川がパス。平川は続くヘアピンでもポジションを守り、首位を確保していく。

 その後、MOTUL GT-Rの後方からはRAYBRIG NSX、そして何としてもMOTUL GT-Rに先行したいカルソニックGT-Rが僅差で続いていくも、順位変動はなし。KeePer RC F駆る平川が最後までポジションをキープし、トップでチェッカー。ポール・トゥ・ウインで、開幕戦以来となる今季2勝目を飾った。

 そして、MOTUL GT-Rも2位をキープしてチェッカー。これにより、ポイントランキングでトップに躍り出ることとなり、松田とクインタレッリは逆転を果たして2年連続でドライバーズチャンピオン獲得を決めた。松田にとっては自身2度目のタイトルとなるとともに、クインタレッリはGT500で前人未到の“4タイムスチャンピオン”の称号を得ることとなった。

 マシンを降りた松田は、瞳を涙に濡らしながら「ロニー選手がファーストスティントで本当にがんばってくれましたし、ピット作業もがんばってもらった。タイヤも、テストがない中で不安もありましたが履いてみたらすごくよかったですし、こんなにうまくいくとは思っていませんでした。スタート前は、『今年は2勝できたからもういいかな』という気持ちもあったのですが、最後まで諦めないで走りました。本当に、モータースポーツは最後まで何があるか分かりませんね」と喜びを語った。

 またクインタレッリも「正直に言って実感はないよ。昨日の悔しさから、今日のチャンピオンは想像できなかったから、言葉にできないね」と声をつまらせた。

 3位にはRAYBRIG NSX CONCEPT-GTが入り、終盤はDENSO KOBELCO SARD RC Fの猛攻も受けつつポジションを守ったカルソニックIMPUL GT-Rが4位に。チャンピオンは逃したが、ランキング2位を確保することとなった。

 5位にはZENT RC Fが入り、6位はDENSO RC F、7位からドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT、KEIHIN NSX CONCEPT-GT、ENEOS SUSTINA RC F、WedsSport ADVAN RC Fと10位まで続いている。

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