2012年2月にオープンし、レーシングドライバーがブログなどで盛んに紹介している日本初の本格レーシングシミュレーター、“Tokyo Virtual Circuit”。実際にシミュレーターとはどんなものなのか、そしてどこまで実車に近いのかを知るべく、現役トップドライバーを伴って体験してみることにした。
このTokyo Virtual Circuitは、2月に東京・赤坂にオープンした日本初の本格レーシングシミュレーター。現代のモータースポーツ界では、特にF1を中心に限りなく実車を再現したシミュレーターが導入されており、ドライバーは初体験のコースでもこのシミュレーターを使うことで習熟を終えてレースウイークを迎えることができる。
とは言え、現在では家庭用ゲーム機でもリアルなグラフィックが楽しめたり、大型のゲームセンターに行けば素人でも楽しめるレースゲームが多数ある。このシミュレーターとは、そういったゲームとはどう違うのか、そしてレーシングドライバーが通い詰める理由とはどんなものなのか……。それを解き明かすべく、実際にTokyo Virtual Circuitに取材をお願いすることにした。
●せっかくなので現役バリバリのプロを呼んでみました
当然、今回取材にあたった編集担当はスポーツカートを5〜6回乗った程度。2シーターフォーミュラ・ニッポンの後ろに乗ったことがあるとは言え、本格的なレーシングカーに乗ったことなどない。そこで、2009年全日本F3のNクラス王者で、フォーミュラ・ニッポンの現役ドライバーである山本尚貴を招聘。体験してもらうことにした。
山本とともに入ったTokyo Virtual Circuitは、赤坂の大通りから少し入ったところにある、ビルの一室。動画でも見たことがあるフォーミュラカーの筐体に、180度見渡すようなスクリーンが設置されている。筐体はレッドブルF1から型をとったFRP製で、シミュレーションソフトもレッドブルで使用されているものなのだとか。
まずはこのTokyo Virtual Circuitのインストラクターを務める砂子塾長に挨拶。すると、「まぁまずは乗ってみようよ」ということで、山本がコクピットに座ることになった。ステアリングは近年の最新フォーミュラに搭載されているものと同様の形状で、ピットレーンリミッターのボタンや、ブレーキバランスも走行中に操作できる。「正直言うと、ゲームセンターの延長くらいに思ってたんですよね」という山本(ちなみにシミュレーターは初挑戦)も感心しきり。なお、ドライブにはレーシンググローブが必須。レンタル用もあるが、今回は山本に自分のグローブを持ってきてもらっていた。
コクピットに座った山本に、まずは3日前にフォーミュラ・ニッポンで走ったばかりのツインリンクもてぎをGP2マシンで走ってもらうことにした。ガレージから出てコースイン、まずは1コーナーがやって来る様は実車のオンボードを見ているようだ。
●「ずっと乗っちゃいますよ(笑)」プロもハマった!?
実車同様、タイヤが冷えている状況も再現されているため、まずは慎重にアクセルを踏む山本(それでも見ている側から見ると結構速い)。「おおっ! これヤバい……。面白い」とだんだん山本の表情が笑顔になってくる。1周タイヤを温めるとペースアップ。慣れた手つきでステアリングを左右に操作し、パドルシフトでギヤを操作しはじめた。後で聞くと、Fニッポンもてぎとほぼ同じ感覚でシフトチェンジもしていたのだとか。
「あの〜……コレ放っとくとずっと乗っちゃいますよ(笑)」と山本が言うので、まずはもてぎの走行をいったん中断。「いろんなドライバーが挑戦する」というので、次にGP2マシンを使って鈴鹿サーキットを走ってもらうことにした。
鈴鹿ではFニッポンのポールポジションも獲得したことがある山本は、こちらも慣れた手つきでコースイン。しかし、先ほどまで走っていたもてぎの感覚で入ってしまったせいか、タイヤが冷えているのを忘れていきなりスピンしてしまった。「ですよね〜(笑)」と気を取り直して再度1周。鈴鹿を黙々と走り始めた。
ちなみに、後ろで見ていた編集部デナシはその走行を見ながら完全にビビっていた。「コレ、素人が乗れるもんじゃねーぞ」と。FニッポンやF1の鈴鹿の車載映像は見たことがあるが、このTokyo Virtual Circuitで見ると全然速い。それに、「ふだんドライバーはこんな凄まじいことやってるのか!?」という程の操作を、間近でじっくり見られるからだ。Tokyo Virtual Circuitの室内には、スピーカーからのエキゾーストノートと山本がブレーキをガンと踏む音、シフトを操作するカチカチという音が響く。これはこれで貴重な体験ではあったが。
Tokyo Virtual Circuitの詳しい料金・アクセス等はホームページまで!
http://tokyovirtualcircuit.jp/