東京オートサロン2016のブリヂストンブースで、星野一義監督と鈴木亜久里監督のトークショーが行われ、タイヤの話題もさることながら、ふたりのプライベートや昔話に話が及び、会場のファンを大いに盛り上げた。

 モータースポーツ界きってのレジェンド、そして、普段から歯に衣着せぬふたりのトークショーとあって、ブリヂストンのブースには多くのファンが押しかけた。まずはMCを務めるピストン西沢さんから、サーキットでのレースの魅力に話が及ぶと、冒頭からトークは脱線しはじめた。

亜久里「星野さんを見に行くだけでもレースは面白い。ピットの中では暴れるし、無線を飛ばすサインガードでも暴れるし、もう、そればっかりだから」

星野「もうホント、(周りが)見えなくなっちゃうの。だからヘルメットも投げるし、それでスポンサーにも謝りに行って、もうすっごい大変なのよ。ひどかったのは鈴鹿でトップを走っていてリタイアした時。ウチのパドックの部屋に行ってテレビをぶん投げちゃって、鈴鹿にテレビ代を払わされて大変だった。弁償ですよ。いろいろなもの弁償している」

亜久里「星野さんは僕にとっての神ですよ。僕も暴れたいことはいっぱいありますけど(苦笑)、やっぱり『今暴れたらマズイな』と思うじゃないですか。でも、星野さんはそれも関係ないんです。だから神なんです」

星野「今は大人しいよ。『仏の星野』って言うのに……」

亜久里「でも、さっきもゴルフの話をしていて、未だにクラブを叩き折っちゃうらしいですから」

星野「この前も2本、折っちゃったのよ。スタート前に。そうしたらキャディさんがものすごく恐い人を見るような目で見てた。だからすっごい謝ってチップを上げた。今ね、イップスという病気なのよ。ボールが打てない、ダウンスイングができない。それでさっき、亜久里からいいアドバイスをもらったから、家に帰って試そうと思っている。クラブを買ってね」

亜久里「やっぱり今の話を聞いて神だなと思うのが、ゴルフ場に行ってスタートする前に2本クラブ叩き折っちゃうって、何本必要なんですか?」

星野「だから一番最初のゴルフは3ホールくらいで帰って、次はスタート前に帰って。だからもう、遊んでもらえる友達がいなくなっちゃった」

ピストン西沢「レースも途中で帰っちゃったことありますよね?」

星野「それでライセンス剥奪されたこともあった。3レース出れなかった。もうね(周りが)見えなくなっちゃうの。だからイカレてるって言われるけど」

亜久里「でも、レースでも結構、イカレていましたよ。やっぱり星野さんは自分の世界に入っちゃうと、まったく周りが見えなくなる。もう僕とも何回も絡んだことあります」

星野「鈴鹿の130Rで絡んだこともある」

亜久里「恐いですよ〜。雨の中、130R全開ですよ。そこで横から俺をブレーキ代わりに使って曲がっていくんだから」

星野「(笑)」

亜久里「SUGOでもありましたよ。1コーナーでバックミラー見ていて、後ろから星野さんが来て、どう見ても『これは絶対止まれない』と思うスピードで1コーナーに入ってきて」

星野「亜久里、前を見て走れ。後ろ見て走っているんだもん」

亜久里「星野さんが後ろにいたら、ほとんど前を見て走っていないもん」

星野「もうね、『どけどけどけ』って。『俺のコースだ』って」

亜久里「僕なんかもう、スポンジバリア代わりですよ、走るブレーキ(笑)」

星野「なんで俺ばっかり悪者になるの!?」

ピストン西沢「それくらい星野さんは特別な存在ということですよ」

亜久里「この話、1mmも盛っていないからね(笑)」

ピストン西沢「その後、星野さんは謝りに来ることはあるの?」

亜久里「来るの。『ホントに悪い』って」

星野「あの、タイヤの話しない?」

 ブリヂストンのブースながら、その後もいかにふたりがバブル時代にお金を稼いだかなどなど、しばらくは暴露トークで会場は大盛り上がりを見せた。もちろん、トークの終盤にはクルマ、レースにとっていかにタイヤが大事か、そしてブリヂストンのエンジニアがドライバーにとってどれだけ耳を傾けてくれているのかを、レジェンドふたりは切々と語り、最後は星野監督が「ブリヂストンタイヤには感謝しかない。これまで開発にも関わらせてもらって、本当に世界一のタイヤだと思う」と言えば、亜久里監督の「もうね、細かいことはとにかくいいから、ブリヂストンを買っておけば間違いないですから」の締めで、トークは幕を閉じた。

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