10月16日(日)天候:晴れ 路面:ドライ 気温:27℃ 路面温度:34℃(決勝開始時)

 東日本大震災の影響から例年より一ヶ月遅れの開幕となったスーパーGT2011年シリーズは、いよいよ最後の決戦、第8戦の決勝をツインリンクもてぎで迎えた。

 GT500クラスのタイトルの行方は最終戦まで持ち越され、その権利は15台中2台にのみ残された。そのうちの1台が、トップと16ポイント差の2位につける23号車「MOTUL AUTECH GT-R」。最低でも優勝を果たさなければならないという条件に対し、抜きにくいもてぎのコースで5番手のポジションからどう戦っていくのか、これがこの日のレースのひとつの大きな見どころとなった。

 前日の雨は朝まで残り、午前中のフリー走行はウェットセッションとなったが、その後雨は上がり、午後2時のレース開始時点では路面はドライにまで回復。決勝のセッティングはすべてレース前の8分間のウォームアップ走行に委ねられるという、まさにチーム力が試される一戦となった。

 レースはこの時期としては異例の暑さの中、午後2時に開始。23号車のスタートドライバーはブノワ・トレルイエがつとめた。

「とにかくトップまで到達しなければならない」この使命に向かいまずは抜群のスタートダッシュを決めたブノワは、1コーナーで前方のマシンのインを刺すと、オープニングラップで早くも4位に浮上する。その後しばらくはペースをセーブしたためトップ3から徐々に離されることになるが、5周目あたりからペースアップを開始。3位に再び迫っていくと、9周目についに捉えることに成功する。

 さらに2位との差を周回毎にわずかずつ縮め、20周目に7秒差とすると、このあたりからタイヤの磨耗が進みライバルのペースが落ち始めたと見るや猛追を開始。一周あたり1秒ほど速いペースでプッシュし、25周目には3秒差まで詰め寄った。

 そして、2位にもう一歩まで詰め寄ったブノワの走りを見事に結果に結びつけたのはピットクルーであった。23号車はタイミングを見計らい30周目にピットイン。過去何度も逆転劇を演じてきた23号車のクルーは、この重要な局面でも完璧なピットワークを披露。後半を担当する本山哲を、トップと5秒差の2位でコースに送り出したのだった。

“あと一つ”トップ浮上という最後の使命を請け負った本山もまた、ブノワ同様に素晴らしい追い上げを見せる。トップのマシンも決してペースが悪いわけではなかったが、本山はさらにこれを上回るペースで迫ると、33周目には3.5秒差、34周目には1.9秒差、35周目には1秒差内に入れ、37周目にはついにテール・トゥ・ノーズに持ち込む。

 その後GT300クラスがからんできたためしばらくチャンスは訪れなかったが、迎える41周目、V字コーナーで果敢にインをつくと、とうとうトップに浮上する。そしてこれをチェッカーまでしっかり守りきり、23号車は今季3勝目を達成しシーズンを終えた。

 惜しくもタイトル奪回はならなかった23号車だが、土壇場からの2連勝で最後までファンの望みを繋いだ底力に、26000人の観衆は賞賛を送った。そして、2011年シーズンで年間3勝の金字塔は、“来季こそ”というファンの期待をシーズンオフの間繋いでくれることだろう。

本山 哲のコメント
「残念ながら逆転タイトルは果たせませんでしたが、この最終戦に勝ったことで、最後までタイトルを信じて応援してくれた皆さんに、せめてものプレゼントができたのではないかと思います。また年間2勝の目標に対し、3勝できたことには達成感を感じています。チャンピオン争いが厳しい状況になった中、チームが決して諦めることなく頑張った結果が最後の2連勝に繋がりました。ぶっつけ本番のドライセットも、ブノワの追い上げも、ピットも、すべて今日は完璧だったと思います。来年もタイトル奪回を目標に、チーム一丸となって戦います。皆さん、来年も応援よろしくお願いします!」

本日のレースクイーン

葉月美優はづきみう
2025年 / スーパーGT
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