スーパーGT300クラスの振興に向け、現在GTアソシエイションが進めているGT300マザーシャシー構想。現在のGT300クラスでは、国産車のスバルBRZ、ホンダCR-Z、トヨタ・プリウスの新規参戦はあるものの、FIA-GT3車両を使った参戦が安価かつ手軽な方法として人気を集めている。このマザーシャシーを使ったGT300クラス車両で、この現状を打破できるのだろうか? GTAの坂東正明代表に、この構想について聞いた。
現在、スーパーGTではヨーロッパで販売されているスーパースポーツをベースとして製作、販売されているレーシングカー=FIA-GT3車両がGT300クラスでも多くなっており、国産車をベースにしたJAF-GT車両が少なくなっている。JAF-GT車両は、3000万?4000万円で購入できるFIA-GT3車両と異なり、開発に自由度がある一方、製作には多くのコストがかかるほか、高度な技術力がなければ、勝てるJAF-GT300車両は作れない。
そんなコストの心配、また製作における技術力をカバーするのがマザーシャシー構想だ。共通したモノコックをベースに、製作する車両に合わせたロールケージを組み、エンジンとボディを組み合わせGT300マシンを作ることができる。坂東代表は、「モノコックだけなら500万円以下で作らなきゃいけない。車両自体は3000万くらいにして、FIA-GT3と同じくらいにしないといけない」と、FIA-GT3と同等の値段で、魅力的な国産GT300車両を作るのが理想と語る。
また、坂東代表は「市販車の販売促進に寄与できるモータースポーツとして、あまり市販車とかけ離れたものにならないようにしたい。だから、ベースとなる車両がFRならFRで車両を作って欲しいし、ミッドシップはミッドシップでやってほしい」と、マザーシャシーを投入した場合、エンジン搭載位置はベースとなる車両から変えないようにマシンを製作して欲しいと語る。
さらに坂東代表は、このマザーシャシー構想を含め、GT300にはしっかりとしたコンセプト作りが必要だと強調。「(市販車で)200万円強のクルマが、3000万円以上の(ヨーロッパのスーパースポーツ)と戦おうというんのだから、そういうコンセプトをちゃんと作らないと。元が200万円でも、日本の技術と知識と経験で、正常進化させたら3000万円のクルマと同等以上に戦えるんだと。それをみんなに認めてもらって、憧れのクルマになるようにしなければいけない。そのためのマザーシャシーを作ろうということ」と坂東代表。
マザーシャシー構想については、エンジンもリースで安価に手に入れられる環境を検討しているという坂東代表。現在、GTAとして「フロントにエンジンがあって、2ドアで市販している車両」というトヨタ86をボディとしたマシンを製作しているという。
「もちろん、違うボディでもいい。韓国車でもマレーシア車でも、エンジン搭載位置さえ決まっていれば構わない。他に作れる人がいれば、エンジンも違うものを積んでもいい」と坂東代表。もし、製作されたトヨタ86が十分戦えるマシンとなれば、安価で製作できるマザーシャシー使用のJAF-GTは、現在参戦しているチームはもちろん、今後GT300参戦を目論むアジアのチームにとっても、理想的な選択肢になるだろう。