PRESS RELEASE
2011年7月25日
桜井孝太郎選手、ユーロF3オープン第7、8戦に急遽、スポット参戦。
デビューレースで見事ルーキー3位表彰台を獲得!
各位
F1で活躍する小林可夢偉選手に続き、ヨーロッパを戦いの場に選んだ若きサムライ、日本人最年少BMWスカラシップドライバー、桜井孝太郎選手(17歳)が、7月22~24日にイギリス、ブランズハッチ・サーキットで開催されたユーロF3オープン選手権(第7~8戦)に、トップチームのひとつ、チーム・ウェスト・テックからスポット参戦しました。第7戦ではルーキークラス3位表彰台を獲得し、チームにとって嬉しいポイントフィニッシュを果たしました。
ユーロF3オープンシリーズは、ヨーロッパを転戦するF3選手権のひとつで、ヨーロッパ全土で全戦テレビ生中継されることもあって、注目度は高く、参加台数も平均25台を数える激戦区となっています。
レースウィークの水曜日に、同シリーズのトップチーム、ウェスト・テックのジョン・ミラー監督から突然連絡を頂き、同チームでルーキークラス・ランキング3位につけるルカ・オランディ選手が病気欠場になりそうなので、参戦してみないかという打診をいただきました。フランス、ポールリカールで3連勝を挙げて、月曜日にイギリスに戻ったばかりの桜井孝太郎選手でしたが、突然のオファーを断る理由もなく、所属するハイテック・レーシングのライアン・シャープ監督の理解と協力もあって、急遽、ユーロF3オープンクラスへのスポット参戦が決まりました。
同じF3ルーキークラスという呼び名ではありますが、ユーロF3オープンのマシンと、イギリスF3で使用しているマシンとは、エンジンもパワーがあり、サスペンションも、タイヤもすべて違う、まったく別のマシンです。限られた時間の中でマシンの特性を把握し、自分の走りをアジャストするしかありません。条件的には非常に厳しい戦いです。
しかしブランズハッチ・サーキットは桜井孝太郎選手がイギリスF3で2勝を挙げているサーキットです。木曜日にチームと初顔合わせをし、シート合わせを済ませ、新しいエンジニアと入念なコースウォークをすませた段階で、より多くの発見がありました。
やはり2度目のサーキットは、初めての時とは違うと実感し、自信を持って挑んだ桜井孝太郎選手は、周囲の期待と不安をよそに、金曜日のフリー走行の最初のセッションから、いきなりルーキークラスのトップタイム、総合でもトップに0.06秒差の2番手タイムをマークし、一躍パドックの各チームから注目を集める存在になりました。
チーム内にはルーキークラスでシリーズをリードするファビオ・ガンベリーニ選手、2番手につけるサム・デジョーン選手、そしてチャンピオンクラスで4番手につけるビクター・コレッラ選手も所属しており、いきなり登場した17歳のルーキーにチーム内のトップタイムを奪われたことで、ムードが一変。一気にチームに緊張が走りました。
イギリスF3選手権ではルーキークラスのマシンは年式落ちのうえに、馬力制限とウェイトハンディを背負っての戦いですが、ユーロF3オープンでは、エンジンは同じで、年式落ちによるダウンフォースの差がハンディとなるレースです。
タイム差とデータから推測するに、セットアップ次第ではオーバーオールでの優勝も夢ではないと考えた桜井孝太郎選手は、大きな期待とともに予選を迎えました。
予選ではチームメイトのファビオ選手と熾烈なトップ争いを展開した挙げ句、桜井孝太郎選手が逆転トップタイムをマークした直後の2コーナーでコースアウト。赤旗中断となりましたが、再スタートまでに気温と路面コンディションが良くなったせいもあり、一気に多くのマシンがタイムアップを果たし、桜井孝太郎選手は悔しい13番手に沈んでしまいました。オーバーテイクの難しいブランズハッチでは、厳しい予選結果です。
決勝レースでは、スタートをうまく決めてポジションをアップし、粘り強い走りを見せて、ユーロF3オープンのデビュー戦でルーキークラス3位表彰台を獲得しました。
続く第8戦までに、データ分析から5速、6速のギヤレシオの変更をし、ダウンフォースの調整と、リヤのスタビの調整を施して、万全の体制でスターティンググリッドに臨んだはずでした。しかし、抜群のスタートを見せてトップグループで争うものの、わずか3周目に左リヤ・ホィールのナットの緩みが原因で6速全開の高速コーナーでコースアウトし、激しくクラッシュしてレースを終えました。その後、レースは同チームのビクター選手がAクラス優勝、ファビオ選手、サム選手がルーキークラスで1-2フィニッシュという結果で、チームにとっては嬉しい反面、複雑な思いが残るレースとなりました。
幸い桜井孝太郎選手に怪我はなく、ジョン・ミラー監督からもメカニカルトラブルが原因のアクシデントに対して、丁寧なお詫びの言葉をいただきました。
突然の参戦で、準備もままならない中、イギリスF3で磨いた速さを証明できたことで、今回のユーロF3オープン挑戦の意味はあったと思います。チャンスがあれば、また参戦することを約束して、知り合ったばかりのチーム全員と、笑顔と握手で別れました。
●桜井孝太郎選手のコメント
「予選開始直後に雲行きが怪しくなり、雨が降る前にタイムを出そうと考えていたのでハードコンパウンドのタイヤでも序盤からプッシュせざるを得なくなり、普段なら誤魔化せるミスが、今回は大きなミスへとつながってしまいました。総合優勝も可能だったと感じていますが、まだ細かい部分が足らなかったのだと思います。でもこの半年イギリスF3で学んだことは生きていると確信できたし、自分の速さをアピールできた。なによりもマシンの違いや違うチームのくせ、イギリスF3と違いに瞬間的に自分自身をスイッチできたのは大きな自信になりました。次週のイギリスF3選手権、スパ・フランコルシャンではマカオを走るトップチームも加えた30台でのレースなので、もっと高い限界に自分自身を持って行き、チャレンジしていきたいと思っています。」