ちょっと毒舌なF1ジャーナリストがお届けするF1の裏話:マレーシアGP編。昨年、好評連載されていたこちらのコラム。今年も引き続き【携帯サイト限定】版としてお届けしていきます!

ああ、彼は一発屋だよ
 冷房の効いたメディアセンターでマレーシアGPを見ていた、海千山千のひねくれたジャーナリスト連中から、2度大きな拍手がどっと沸き起こった。1度目はウイリアムズのバルテリ・ボッタスがチームメイト、フェリペ・マッサ相手に見事なオーバーテイクを決めた時。2度目はセバスチャン・ベッテルがチェッカーフラッグを受けた後にピットウォールにぐいっとマシンを近づけた時だ。フェラーリに移籍してわずか2戦目、完全に予想外の勝利を彼はつかんだ。

 我々が拍手をしたのはベッテルの見事な走りを称えるためだったのは確かだが、同時に無敵メルセデスが敗れたことに対する安堵の拍手でもあったといっていいだろう。わずか2週間前のメルボルンでは、諦めムードが漂っていた。ああ、今年もルイス・ハミルトンが『この幸運に感謝している』とスピーチし、ニコ・ロズベルグが健気に微笑みながら『次は僕の番だよ』と言うのを毎戦毎戦、聞き続けることになるのか……と思っていたからだ。

 ベッテルのフェラーリ初優勝には面白い側面がある。昨年さんざん酷評されてきたベッテルが、今回の勝利で批判を払しょくして「男の世界」に戻ってきたのだ。

 2014年にベッテルがダニエル・リカルドにこてんぱんにやられ完敗した時、意地悪くそれを喜ぶムードがあったのは間違いない。ひとりのドライバーが4年連続チャンピオンに輝くなんてF1の興行的にどうなのか? と思うからね。そうはいっても、勝ち続けるドライバーを攻撃するのは理不尽だし、同時に、彼が不調に陥った時に「走り方を忘れた」などと責めるのもめちゃくちゃな話だ。
「ああ、セブね。成功したかもしれないけど完全に一発屋だよ。4回タイトルを取っただけじゃないか」

 バーニー・エクレストンですらベッテルを酷評したのだから嘆かわしい。去年の終わりごろにはベッテルはつまらないと言い、その後にもルイスと比較してベッテルの王者としての態度はなってないと苦言を呈したのだ。

 しかしセパンで勝利を飾ったことで、誰もがまたベッテルを称賛し、愛するようになった。でもそれって少し節操がないとは思わないか? 彼には最初から嫌われても仕方がないような面は全くなかった。話も面白いし、もちろん一度も走り方を忘れてなどいなかった。

 まぁそういう理性的な議論は忘れて、セブが復調した理由を考えてみよう。私が思うに、今年、だぶだぶのレーシングスーツに変えたのがよかったんじゃないかな。実は彼はイギリス好きで、“アンディ・パンディ”(BBCテレビの人気パペットキャラ)が着ているみたいなジャンプスーツが着たかったんだったりして。

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・トピックスその2:「バーニーに同意」

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