昨年までスクーデリア・フェラーリで、ビークル&タイヤインタラクション・デベロップメントとして活躍した浜島裕英。その浜島さんのコラムがF1速報サイトで連載中です。題して、「浜島裕英のグランプリ人事査定」。今回、F1速報サイトでしか読めない第20回コラムの一部をお届けします。
第二十回査定「喜色満面」
アブダビGP。最終戦のアブダビは、黄昏時(トワイライト)のFP2(フリー走行2回目)、QF(予選)そしてレースであったため、ドライバーが捨てバイザーに工夫を凝らし、はじめの数枚は色の濃いモノで、めくっていくとクリアなものになるようにしていたので、そのしぐさが映像で随分流れていましたね。
レースの方は、ニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)が6戦連続ポールポジションを獲得し、メキシコ、ブラジルGP同様2位にルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)を従えて3連勝し、今季6勝目を飾りました。キミ・ライコネン(フェラーリ)は3位表彰台を仕留めましたので、バルテリ・ボッタス(ウイリアムズ)、フェリペ・マッサ(ウイリアムズ)と争っていたチャンピオンシップ4位の座を獲得しました。4位には、Q1で敗退したセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)が入りました。
さて、ブラジルGPの時のマッサに下された、タイヤ温度の規定違反による失格処分の件ですが、ウイリアムズはチームのチャンピオンシップ上の順位への影響がないとして、控訴しないことにしましたが、FIAの判定が正しかったとは認めていません。チーム側は、「車載のタイヤ温度を測るIR(Infrared:赤外線)センサーは、ブランケット(タイヤウォーマー)を外した瞬間、104℃を示していた」と主張しており、さらにブラジルGPの後に試したことだとして「ブランケット自身の下(タイヤと接している)側の温度を測り、そしてそれを外したタイヤが露出した部分の温度を測ってみると、ブランケット下側の温度は135℃で、タイヤ表面の温度は110℃だった」と述べています。
FIAの処分の文章には、「右リヤタイヤの温度が137℃で、規定より27℃高かった」と記載されていましたから、ウイリアムズが規定違反をしていなかったとすれば、FIAの技術員が赤外線温度計で測った温度が、135℃≒137℃ですから、開けたブランケットのものであった可能性を否定できません。というのも、FIAのタイヤ温度測定の規定では、決められた赤外線温度計によって15~35cmの距離から測るように決められていましたが、タイヤウォーマーの開け方に関してはどうも規定がなかった模様。FIAの技術員がタイヤの温度が下がらないようチームに配慮して、タイヤウォーマーを少しだけ開けた狭い隙間からタイヤの温度を測り、誤ってタイヤウォーマーの温度を測ってしまったのではないかという、心配点もあります。
アブダビGPからタイヤの温度の測定を変更
ロズベルグとハミルトンのギャップ差
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