今週末の1月10日(土)に、フォーミュラE第4戦ブエノスアイレスePrix(アルゼンチン)が行われる。想像以上に激しい接近バトル、そして高度な戦略と、見どころの多さが注目されている、EVフォーミュラ初の選手権。第3戦終了後、テレビ朝日のフォーミュラE中継で解説を務める片山右京が、第4戦そして今後のフォーミュラEの注目ポイントを語った。
ーー第3戦を振り返って
「ジャン-エリック・ベルニュ(アンドレッティ)が、初参戦・初ポールということで、その勢いのまま初優勝も期待されたが、まさかのアクシデントでリタイアとなり、フォーミュラEの難しさ、奥深さを感じる結果になりました。そんな中、チャンピオンシップを争っているサム・バード(ヴァージン)が、予選・決勝とアクシデントにあってチャンピオンシップから後退する一方で、ルーカス・ディ・グラッシ(アウディ・アプト)が3戦連続で表彰台に登り、他を圧倒する安定感を見せています」
ーー“安定感”が今後もフォーミュラEの重要なポイントになってくる?
「ゴールに着かないと結果としては全く残らないので、限られたバッテリー容量の中で、エネルギースケジュールを崩さないで走り続けることが重要です。ファンブーストは、オーバーテイクするための新しい武器ではあるけれども、それを使える状況というのをちゃんと把握していなければいけません。(レースの)マネジメントというのが単純ではないということが、見ている方からもはっきりと分かります。
ベルニュなどは、今回のレースで沢山のことを学んだと思いますし、速さは間違いなくあるということが証明できましたから、今後のトップ争いが楽しみですね」
「“速さ”だけではなく“安定感”が必要だということは確かなんですけれども、やっぱりエンジンではなくモーターであっても、“速さ”というのは重要で、まずポールポジションを取ることが非常に重要です。ポールポジションを獲れれば、前を走ることによって落ち着いてペースコントロールできるので、バッテリーをセーブすることで戦い方に幅が出ると思います」
ーー第4戦のポイントは?
「最初は全員手探りでやっていましたが、徐々にチームのベースとなるレースペースが出来てきました。今後は、ドライバーによる勝つための戦略的なマネジメントが重要になります。各ドライバーがレースを振り返ってデータを解析していきながら、どんどん洗練されていって、ドライビングもブラッシュアップされて、戦い方も出来上がってくるので、よりレベルの高い戦いになっていくと思います」
ーー第4戦のコースのポイントは?
「フォーミュラEは全戦市街地で行われるのがひとつの大きな特徴ですが、第4戦ブエノスアイレスのコースは、第1コーナーのヘアピンカーブから、第2コーナーにかけての細かな複合コーナーなど、一般的なサーキットに近い印象です。公道を使った市街地レースでは直角のレイアウトが多くなると思いますが、そんな中でも通常のサーキットに近いコーナーがあったり、それからコースの幅が4車線もある。その分ライン取りが大きくなることで、普通なら中速コーナーのところが高速で走れたり、今までと違うレース展開になると思うので、楽しみですね」
ーー1月の南米での開催は平均気温25度と、絶好のコンディションと言えると思うが?
「とにかく気候は一番良い時期ですので、雨などの心配はなく荒れたレースにはならないと思います。ただ、ウルグアイのレースでもそうでしたが、意外と湿度が高かったりと、ちょっと自分たちの予想と違うところもあります。そのあたりがドライバーに与える影響は大きいと思います」
ーー注目のドライバーは?
「シーズンが進むにつれて、チャンピオンシップ争いが見所になっていくので、ディ・グラッシを中心に、第3戦で上位に入ったネルソン・ピケJr、第3戦はリタイアに終わったサム・バードが今後どう修正して上位争いに絡んでくるかも注目です。また、ベルニュのように、シーズン途中参戦してきていきなり速さを見せつけたドライバーもいますから、そういう新たなドライバーがどういう結果を出していくかにも注目したいですね」
ーー第3戦まで終了したが、当初のイメージと違ったことは?
「限られたバッテリーの中で争うエコレースかと思っていたので、これほど激しいバトルになるとは思っていませんでした。もっとエコ優先で、エネルギーをセーブする方向に行くかと思ったけれども、すぐに各チームがデータを解析して、ある程度レースのペースが作られている。そこからもう一歩進んで、セーブしながらも、何度もセーフティカーが入ったり、クラッシュがあったり、アクシデントがあったりと、想像以上に激しいバトルが展開されています」
ーーここまでの3戦を振り返って、印象に残っているシーンは?
「やはり開幕戦の最終ラップ、最終コーナーのニコラス・プロスト(eダムス・ルノー)とニック・ハイドフェルド(ヴェンチュリ)のクラッシュが挙げられるけれども、それ以外でも第2戦のサム・バードの完璧な勝利や、第3戦のベルニュの突然のストップなども印象的です。フォーミュラEというものをみんなが学びながらやっている段階なので、まだまだ何が起きるか分からない。そういう意味では本当に新しい、未来のモータースポーツだということを感じますね」
【フォーミュラE第4戦ブエノスアイレスePrix放送スケジュール】
■2015年1月10日(土)独占生中継!
「テスト走行」:よる10時15分/CSテレ朝チャンネル2
「予選」:よる11時45分/CSテレ朝チャンネル2
「決勝」:深夜3時30分/BS朝日
■2015年1月11日(日)
「フォーミュラE第4戦ハイライト」:よる11時30分/BS朝日
■2014年1月17日(土)
「フォーミュラE第4戦ハイライト」:深夜3時50分/テレビ朝日系地上波(一部地域を除く)