開幕戦 セントピーターズバーグ(フロリダ州)
(予選:3月29日 決勝:3月30日)
決勝:スタートは好調だったが、バランスに苦しみ7位で完走
2014年3月30日、フロリダ州セントピーターズバーグ発。
今日は、ベライゾン・インディカー・シリーズ開幕戦ファイアストン・グランプリオブ・セントピーターズバーグでトップ10フィニッシュを果たしても、ABCサプライ・チームにとってはあまりいい1日とはいえず、むしろ落胆する気持ちだけが残りました。
昨日、べライゾンP1を制したポールシッターの佐藤琢磨は、No.14 ABCサプライ・ホンダを駆った本日のレースを7位で終えることとなりました。全長1.8マイル(約2.9km)の市街地コースにおいて、最初の2日間は琢磨が最速を誇っていました。そして琢磨にとってはキャリア4回目、チームにとっては44回目となるポールポジションの獲得に成功します。110周で行なわれた決勝レースのスタートでも琢磨は首位の座を守ったまま1コーナーに進入、最初のピットストップまでに2番手との差を6秒まで広げました。
琢磨のピットストップは順調でしたが、それまで履いていたファイアストンのオルタネート(レッド)タイアを硬めのブラック・タイアに履き替えると、マシーンのハンドリングに変化をきたし、ウィル・パワーにトップの座を奪われてしまいます。
チーム監督のラリー・フォイトは琢磨に対し、「思ったほど早くタイアの温度が上がらなかった」と説明。次のセットのタイアは、あらかじめこのズレを織り込んだ空気圧に設定します。琢磨はその後も2番手のポジションを守り続けました。58周目に行なったピットストップも順調に終了しましたが、燃料の戦略が異なっていることもあり、琢磨は5番手となってコースに復帰しました。
74ラップ目にフルコーションとなり、ピットロードがオープンになると多くのドライバーがピットに駆け込みました。このときはピットロケーション(16番ストール)の不利と2秒間のロスが重なり、1番ストールと9番ストールにピットを構えるチップ・ガナッシのふたりの先行を許すことになります。
ただし、レッド・タイアに履き替えた琢磨には、ブラック・タイア装着のチップ・ガナッシをオーバーテイクするチャンスが期待されました。ところがリスタートでは、トップのウィル・パワーがチームメイトのエリオ・カストロネヴェスとともに巧妙な頭脳プレーを繰り出したため、集団後方はブレーキングを強いられるという「アコーディオン現象」を巻き起こします。マシーンが密集して非常に危険な状況のなか、琢磨はなんとか危機を回避してレースを続行しました。
次のリスタートでは混乱は起きず、フィニッシュまで残り24ラップの戦いが始まります。トップ8のなかでは、3番手のドライバーだけが順位を上げることに成功しましたが、琢磨は6番手のドライバーを攻略できず、7位でフィニッシュしました。
今回の7位が、チームにとってはこのレースにおけるベストリザルトとなりました。ベライゾン・インディカー・シリーズは2週間後にカリフォルニア州ロングビーチを訪れます。いうまでもなく、ここは琢磨が1年前に初優勝を遂げた場所です。
佐藤琢磨のコメント
「終わってみれば、とても苦しい1日でした。スタート・ダッシュは好調で、最初のスティントではいいリズムに乗れましたが、2セット目と3セット目のタイアでは思ったほど速く走れませんでした。ハンドリングのバランスで苦しむようになったのです。僕たちはピットストップでも問題を抱え、いくつか順位を落としました。僕はハードに戦いましたが、今日はコース上での追い抜きが非常に難しい状況でした。昨日の素晴らしい予選のことを思うと、今日は落胆すべき結果に終わったと思います。ただし、少なくともチームは懸命に戦いましたし、結果的にポイントを獲得することにも成功しました」
(AJフォイト・レーシングのプレスリリースより)