DENSO KOBELCO SARD RC F
第4戦SUGO、雨に翻弄されるも6位フィニッシュ
SUPER GT 第4戦SUGOレースレポート
2014 SUPER GT 第4戦「SUGO GT 300km RACE」(7/19-20)
スポーツランドSUGO(1周3.704km)
入場者数:予選9,000名、決勝28,000名 合計37,000名
7月20日(日)シリーズ前半戦の締め括りとなるSUPER GT第4戦「SUGO GT 300km RACE」の決勝が行われ、朝に行われた公式予選で決定した8番グリッドからスタートしたDENSO KOBELCO SARD RC Fは、スタート直前から降り出した雨への対応でフォーメーションラップ中に緊急ピットイン。タイヤをドライからウェットへ交換。しかし雨は降り続かず11周を終え、ウェットから再びドライタイヤへ変更。ここからトップペースでオリバーが巻き返しを図った。
一時5位争いの攻防を繰り広げ53周を終え6位で石浦と交代。ドライタイヤで出て行った石浦も小雨が降る厳しいコンディションの中でトップペースで追い上げた。しかし、路面は濡れていく一方となり、先にウェットタイヤに交換したクルマのペースが10秒以上も速く、65周に再度タイヤをドライからウェットへと変更。一旦9位までポジションダウンとなったが、石浦が走行しているクルマの中で最も速いペースで猛追。3つポジションを上げる勢いを見せ、最終的に6位フィニッシュをもぎ取った。
どのコンディションでも速さはあったが雨に翻弄されたDENSO KOBELCO SARD RC F。ドライバーポイントで5点(計18点)を獲得しランキング7位に、チームポイントでは7点(計28点)を獲得しランキング6位となった。次の第5戦は、8月9日(土)・10日(日)に富士スピードウェイで開催される。
■公式練習走行
今季3戦を終了し、現在シリーズランキング7位となったDENSO KOBELCO SARD RC F。シリーズ前半戦は艱難辛苦の戦いが続いており、これから夏の3連戦は後半戦へ向けての踏ん張りどころ。前半戦の締め括りとなる第3戦は杜の都仙台近郊のスポーツランドSUGOが舞台。夏山特有の天候が急変し易く、コースはトリッキーで幅も狭くアクシデントが起きやすい。高低差73mもあってウェイトエフェクトも大きいテクニカルなマウンテンコース。常にホイールトゥホイールの超接近戦で緊迫したバトルが続き、サバイバル戦が予想される難コース。公式予選はノックアウト方式(Q1、Q2)で、決勝は約2時間の300kmで争われ、ピットストップは1回。ウェイトハンディは現獲得ポイントの倍の数値となる26kgを搭載する。
5月初旬に当地で行われたGTA公式テストではGT500全車がコースレコードを上回り、上位陣は1分12秒台に突入。DENSO KOBELCO SARD RC Fも負けじと1分12秒599の4番手タイムをマークしてみせた。シリーズタイトルを争う上でも、ここでの大量得点が必須となる。良い形でシーズンを折り返すためにもチーム一同、不退転の決意で勝利を目指していった。
19日(土)午前中の公式練習走行は、気温21度/路面温度23度のウェットコンディション。霧雨の中で9時から混走セッションが始まった。まずは石浦が快調なスタートとなる上位タイムを連発し、7周目にその時点のトップタイム。次に9周目から別のウェットタイヤを装着して感触を確かめた。
クルマは調整を余り必要としないほど仕上がっている様子でドライバーも特に不満なく走行を続け、17周目からは石浦のチェックしたタイヤを装着してオリバーがドライブ。連続走行のペースもよく34周目にオリバーが1分20秒522の2番手タイムをマークして石浦に交代した。決勝への準備を行いながらクルマとタイヤの確認を再び石浦が実施。10分間のGT500単独セッションでも石浦が確認作業を続け、好感触で無事終えた。
■公式予選:変化するウェットコンディションで石浦が8番グリッド
19日(土)午後に行われる予定の公式予選は天候不良のためキャンセルされ、20日(日)朝9時30分から25分間の予選セッションが設けられた。10分遅れの9時40分から開始されたGT500クラス単独の公式予選は、気温20度/路面温度23度のウェットコンディション。どんよりとした曇り空で雨は上がっているものの路面はまだ濡れており、ウェットタイヤを装着してのアタックとなった。
セッション中、路面は刻々と変化していき、ラインは徐々に乾いていく状況で石浦が固めのタイヤで攻め続ける。タイヤに熱が入るのに時間がかかったがセクターベストを更新する勢いで一時3番手タイムを刻む。変化する路面状況であったが、チームは石浦と無線でやり取りし、このままのタイヤでアタックを続けることを決めた。
タイヤ交換を選択したチームとそのままのタイヤでアタックを続けるチームとタイムが入り乱れる状況の上、タイヤ交換した組の中でも選んだタイヤと交換したタイミングで明暗が分かれる複雑な状況に。最終的に2位から10位がコンマ5秒差程度に収まる僅差の争いとなった公式予選で、16周目にマークした1分19秒917が自己ベスト。決勝は8番グリッドからのスタートとなった。
■決勝スタート
第1スティント:オリバーが様々な路面状況でも速さを見せる
20日(日)14時決勝スタート時点は気温22度/路面温度25度。事前の8分間のウォームアップで路面はドライ方向へ変わり、全車がドライタイヤを装着してのフォーメーションラップスタート。だがフォーメーションラップが300クラスの隊列が整わないため2周追加された間に霧雨からパラパラと小雨に変わる。
チームはオリバーと無線でやり取りし、路面状況からウェットタイヤ変更を決断。ピットにオリバーを呼び戻した。タイヤをウェットへ交換し、混乱するピットロードの中で戦列に復帰。3周目からはドライタイヤでステイアウトしたクルマよりも7~8秒速いトップペースで追い上げるオリバー。しかし雨は降り続かず路面が乾いて行き、再びドライタイヤ組のペースが上がる。11周を終え、ウェットから再びドライタイヤへ変更せざるを終えない状況となった。
交換後9位となったところから、オリバーが驚異の巻き返しを図った。コースレコードをマークする速さで、前走車両をかわしていき、5位に浮上する挽回を見せた。激しい攻防の中で47周目最終コーナーで300クラスに詰まりコースオフを喫するも、最後まで諦めない走りを続けたオリバー。53周を終えて6位で石浦と交代した。
第2スティント:石浦がウェット路面で猛追の6位
ドライタイヤで出て行った石浦も小雨が降る厳しいコンディションの中でトップペースで追い上げた。しかし、路面は濡れていく一方で、62周を過ぎ頃に先にウェットタイヤに交換していたクルマのペースが10秒以上も速くなってきており、65周を終え再度タイヤをドライからウェットへ変更することとなった。
このピットインにより、一旦9位までポジションダウンとなったが、ウェット路面の中、石浦が現在走行しているクルマの中で最も速いペースで猛追していき、コース上で2台をバトルの末にオーバーテイク。3つポジションを上げる勢いを見せ、最終的に6位フィニッシュをもぎ取った。
どのコンディションでも速さはあったが雨に翻弄されたDENSO KOBELCO SARD RC F。ドライバーポイントで5点(計18点)を獲得しランキング7位に、チームポイントでは7点(計28点)を獲得しランキング6位となった。次の第5戦は、8月9日(土)・10日(日)に富士スピードウェイで開催される。
石浦宏明
「クルマが速かっただけに悔やまれる結果ですね。結果論は後から何とでも言えまずが、その局面の雨の状況から選んだ選択は、どちらに転がるかわからないほど、非常に微妙で難しいコンディションでした。トータル4回もピットインして6位は速さがあったから。ピットでブレーキ温度が上がり過ぎてアウトラップから数周ブレーキが抜けたり、雨が降ってきたり、コースアウトしかけたり何度かヒヤヒヤしましたが、最後に2台抜いたバトルは楽しめました。最近の不調からすると今回は速さがあったし、方向性が見えた感じがしてるので、次の富士が楽しみです。今回もたくさんの応援ありがとうございました!」
オリバー・ジャービス
「どちらに転がるか分からないルーレットのようなレースだった。少し運がなかったけどクルマは良くて雨でも気持ち良く走れたよ。何台かとのバトルもエキサイティングだったし、とにかく今回は勝ちたかったけど、次にお預けかな。今回は大事なポイントを取れたことを良しとして富士では大量得点といきたいね。たくさんの声援を送ってくれるファンためにも表彰台の一番高いところから感謝を伝えられるように頑張りたい。引き続き、熱い声援をヨロシクオネガイシマス」
大澤尚輔監督
「滑りやすくてタイトロープを渡るかのような難しいコンディションにもかかわらず、石浦もオリバーも最高の走りをしてくれました。クルマも改善されてよい方向に進んでいるのは確かなので、今回は運がありませんでしたが、次につながる底力を感じることができました。まだまだ課題はありますが、比較的相性のよい次の富士で巻き返しを図りたいと思います。引き続き、ご声援のほどよろしくお願いいたします」