レーシングカーコンストラクターの童夢と東レ株式会社は18日、童夢グループ内の株式会社童夢カーボンマジックを東レ株式会社に売却、また株式会社童夢コンポジット・タイランドの75%株式を東レが取得し、東レが子会社化すると明らかにした。
童夢カーボンマジック(DCM)は、長年レーシングカーや童夢-零などのスーパーカーを手がけてきた童夢が2001年に設立した企業で、レースカーなど車両製作で培ってきた軽量化設計技術、“カーボン”と呼ばれるCFRP(炭素繊維強化プラスチック)の製作や、設計・解析、量産を手がけており、DCMのCFRPは自動車はもちろん航空機にも使用され、世界的に高い評価を得ている。
また、タイに2005年に製作された童夢コンポジット・タイランド(DCT)では、より廉価なカーボン・コンポジット製品が生み出されてきたほか、童夢の技術をタイ人技術スタッフが習得することにより、海外との技術交流も実現してきた。
今回、東レがカーボンマジック社は子会社化するにあたって、新社名を『東レ・カーボンマジック』に変更。東レでは名古屋、ドイツにあるCFRP開発拠点とともに、今回のDCM、DCTの子会社化により「CFRP部品の設計技術力が飛躍的に拡充され、当社の保有する各種CFRP成形技術との相乗効果により、お客様の要望に迅速に対応できる体制が強化されます」としている。
「さらに、アセアン地域の自動車産業の中心であり、政府が航空機関連産業の誘致を計画するタイに同地域で当社にとって初となる炭素繊維複合材料関連の生産拠点を確保することで、同地域の経済成長を取り込むと同時に、お客様に競争力のあるグローバルサプライチェーンを提案できる体制が整います」と東レではプレスリリースに掲載した。
今回の童夢カーボンマジック、童夢コンポジット・タイランドの株式売却について、童夢グループの林みのるオーナーは、童夢ホームページ(http://www.dome.co.jp)内で売却の理由を語っている。
その理由として、童夢は2015年度の完成を目指し、公道走行が可能なスポーツカーの開発をスタートさせたことを挙げており、このスポーツカープロジェクトに童夢カーボンマジック/コンポジット・タイランドの売却益を充てるようだ。
このスポーツカーはナンバーを取得し公道可能なものになるが、販売は考えていないとのこと。現段階での仕様はカーボンモノコックでFR、V6エンジンを搭載した2シーターで車重900kg。林オーナーがデザインしたベアシャシーに、「やんちゃなクルマ」というデザインを林オーナーが施した1台、そして“華麗”をテーマにデザインされた1台と、計3台が発表されるという。
そして、林オーナーはこのクルマに使用されるモノコックが、現在スーパーGT300クラスで進められている“マザーシャシー”に転用されると明らかにした。こちらはスーパーGTファンにとっては気になる内容だ。