2002年F1日本グランプリのサポートで行われたフォーミュラ・ドリームで大クラッシュ、頚椎損傷のケガを負ったレーシングドライバーの長屋宏和が、8月12日に富士スピードウェイで行われるK4-GPに参戦することとなった。
2002年のクラッシュ以降、懸命のリハビリにより2004年には無限プレイングカートフェスティバルでカート走行を実現し、大きな感動を呼んだ長屋。以降は自身の経験に基づくファッションブランド、“Piro Racing”でも話題となった。
そんな長屋だが、これまでハンドドライブによる乗用車の運転はこなしていたものの、2008年には自分のオデッセイをドライブし富士スピードウェイ本コースを走行し、「自分の障がいと向き合い、限界がどこにあるのかを確認でき、レースを戦っていた頃の速く走らせるイメージに近付けるためにどこを修正すれば限界値をあげることが出来るかを走行で得ることが出来ました」という体験をし、その後レースへの参戦を目標にしていたという。
長屋が今回参戦を実現させるレースは、8月12日に富士スピードウェイで行われるK4-GP FUJI500kmレース。もともと軽自動車でのホビーレースとして人気があるK4-GPだが、今回長屋は同じ頚椎損傷C6の障がいを持ち、障がい者用に乗用車の改造を手がけるランプ・バンの代表、相川宏光さんとともにレース専用マシンを製作。ランプ・バンW/ピロレーシングとして、相川宏光/堀正宏/長屋宏和というトリオでGP-4クラスにエントリーする。
「真夏ですので暑さ対策も考え、多くの方のお力をお借りし参戦します。運転ができるかできないかの瀬戸際の頚椎損傷C6の障害でもレースを楽しむことができ、同じ障害の方々にも『できる』という勇気をお伝え出来たらと思っております」と長屋。
「2002年10月13日にクラッシュをし、多くの方にご心配をお掛けしてしまい、再度ご心配をお掛けしてしまうかもしれません。しかし、私はマシンに乗ることが当たり前のことであり、チェアウォーカーになってもその思いは変わりません」
「健常者のころのように身体も言うこともきかず、無理は応援して下さる皆様の不安につながり、してはいけないことと重々承知しており、安全面は最優先に考えております。チームも初参戦となり、レースは当然安全第一で望み、完走を目標としてチーム一丸となり頑張って挑戦します」と参戦の意気込みを語る長屋。最近は体調を崩し気味で、レースはぶっつけ本番となりそうだが、今までに何度も不可能を可能にしてきた長屋だけに、今回のテーマでもある『挑戦!』の結果が楽しみなところだ。