5月25日〜26日に、韓国に新設されたサーキット、インジェ・スピーディウムで開催されたスーパー耐久第2戦。8月にはスーパーフォーミュラの開催も控えるこのコースだが、実際にS耐を戦った日韓のドライバーはどんな印象を抱いたのだろうか? 土曜のフリー走行/予選終了後、日曜の決勝後にそれぞれ聞いた。

 まずは、土曜のフリー走行後に聞いた“第一印象”から紹介しよう。

●吉本大樹(PETRONAS TWS GS350)
 かなり面白いコースですね。トリッキーだし複合コーナーも多いから、けっこう難しい。それにコーナーの立ち上がりが上っていくところが多いので、そのあたりが大事だと思いますね。まだ建設中みたいなので、必要なところに縁石が無かったり、不要に縁石があったり……。あとグラベルはそれなりに広いんですけど、「ここ危険かも」ってところでタイトになっていたりするので、リスキーではありますね。頭を使って走らないと、速く走れないコースって印象がいちばんかな。

●佐藤晋也(PETRONAS TWS GS350)
 ものすごくアップダウンがあって、路面のうねりだったりカントもあったりして、走っていてすごく楽しいんですけど、タイヤにはものすごくキツい感じ。タイヤの表面が消しゴムのように「今無くなっているな」というのが分かるぐらいですね。うちのクルマはタイヤに優しい方なんですけど、それでもキツくて。でも、それはみんなに同じ条件だし、45分のスプリントだからなんでもないと思いますけどね。走っていて楽しいのは事実ですよ。

●峰尾恭輔(ENDLESS・ADVAN・PORSCHE)
 アップダウンがとても激しいので、クルマのセットアップも走り方も「けっこう難しいな」って感じですね。ちょっとスピードが乗る割にはエスケープゾーンが狭いから、S耐みたいなレースで周回遅れを抜いていくとき、コースがちょっと足りなくなるような気がしました。何かあったら危ない感じがするので、乗っていていろいろ考えて運転しないといけないから、「緊張するなぁ」っていうのが第一印象でした。

●YUKE TANIGUCHI(谷口行規)(ENDLESS・ADVAN・PORSCHE)
 路面のアンジュレーションがけっこう激しいんですよ。イン側を近道しようとするとボワ〜ンとなってしまうし。縁石もなんか乗れるところ、乗れないところがあるようです。ポルシェ的には細かいところがしんどくて、特にシケインみたいなのが連続しているところが。あそこはちょっとストレスたまるかな。でも、ブラインドコーナーで「行けるかな、行けないかな、でもまだ余裕があった」って感じのチャレンジなコーナーが多いんで、面白いですね。

●浅野武夫(コスモソニック・FK・ings・FT86)
 ちょっとアップダウンがキツいので、どこをいかに抵抗なく走れるか、最初のうちは探りながら走っていたんですけど、実際走り込んでいると、そんなにクセのない、走っていて面白いコースですね。上りが多いだけにクルマ的にはパワーがあった方が楽なように感じました。FRの方がタイヤ的にもコーナー的にも有利じゃないかと思うんで、本命はS2000ですかね。86にももう少しパワーがあれば、もっと楽しくなるんじゃないかと思うんですけど。

●植田正幸(TRACY SPORTS IS350)
 なかなか面白い、すごくお金をかけたサーキットですし、ハイスピードとテクニカルがレイアウトに入り交じっています。ただ、パワーのないクルマだととにかくアンダーステアで、我慢するところはものすごく我慢して、行くところは勇気を持って行くコース。高低差もあるから、一瞬のミスでもう立ち上がっていかないし、アクセル踏むタイミングが遅れても、ボ〜っと失速しちゃう。この感じ、日本のサーキットでいうと仙台ハイランド。特にスプーンで進入は頑張って行くけど、途中は我慢よ、っていう感じでね。設備はまだまだですけど、サーキット自体はよくできていると思います。だからね、ちゃんとできた時にまた来たいと思わせるサーキットですね。タイヤは減りますけど、いいサーキット。

●奥村浩一(BRP☆HYPER ECU C72制動屋J'Sフィット)
 第一印象は跳ねる、汚い、面白い(笑)。走り始めはまだ砂がいっぱい乗っているので、これが取れてくれれば、かなり面白いと思うんですけどね。ただ、アスファルトが見た目は真っすぐなんですけど、全体的に波打っているんですよ、かまぼこのように。だからボンボン跳ねる感じ。なんか職人さんの腕が悪いような気がしますね(笑)。でもレイアウトは面白いですね。エスケープも広いんで安全ですし。あとアップダウンが激しいので、小排気量のクルマは失速しちゃうと、取り戻しが効かないから、そこは「えい!」って行かなきゃいけないんですけど、「えい!」って行っている間に跳ねちゃうのがね……。だけど「このまま飛んで行っちゃうの?」って思っていると、意外にコース幅広いから止まってくれちゃうんですよ。あと、今の段階では砂が乗っているせいでタイヤが溶けず、スリックなのに走り終わってもサラサラ。路面が良ければもっと面白いのにね。それがちょっと惜しいですよ。

 そんなフリー走行を終え、迎えた予選。タイヤが減る状況もあってか、上位カテゴリーのマシンではあまり予選アタックを繰り返さないチームもあった。

●太田侑弥(DIJON IS WAKO'S ED DC5)
 路面が悪いので、予選でもう1周(余計に)行こうって気にはならなかったですね。タイヤがもったいないんで。このコースは面白いけど、FFにはキツいですね。一発はインテグラでも出ますけど、決勝はS2000でしょうね。僕ら本当にタイヤ辛そうなんで。

●青木孝行(GTNET ADVAN NISSAN GT-R)
 日本のサーキットで考えるセットでは、まったく走れませんね。路面がすごくバンピーだったので。僕、ここは市販車で走ったことあるんですけど、その時は「ちょっと跳ねるね」ぐらいの印象だったんですけど、レーシングカーで走ると顕著に出ちゃう。ニュルブルクリンクを走るくらいのセットじゃないと、少なくてもGT3のGT-Rじゃダメですね。出て行った瞬間とにかく跳ねちゃって、「全然無理です〜」って感じでした。いちばん最初タイヤが宙に浮くような感じでした。1周で戻ってきたのは、そのせいです。

●峰尾恭輔(ENDLESS・ADVAN・PORSCHE)
 予選を本気で攻めていったら、上りのセクションが多いじゃないですか。すると思った以上にポルシェには合ってなくて、エンジンが後ろにある分フロントが浮いちゃうんです。そうすると頭が入っていかないので、死ぬ気で走っていっても2秒落ち。正直なんとも……。せめて13年のエアロだったらな、と思いました。あと、他にもポルシェが出ていたら、何か問題あって遅いのか分かったんですけどね。

●望月大地(SKR ENGINEERING S2000)
 完全に峠ですね! といっても、僕らの世代ではこんな感じの峠はもう閉鎖されていて、実際には走っていないんですけど(笑)。先輩たちが、こういうところをしょっちゅう走っていたのかと思うとうらやましく感じていましたが、今走れて最高です(笑)! 実は今回初めてスリックで走ったんですけど、思った以上にグリップするんで、ビックリしました。

 そして迎えた日曜の決勝。大きなアクシデントはなかったが、小さな接触やスピンも見られるレースとなった。

●星野一樹(GTNET ADVAN NISSAN GT-R)
 走れば走るほど、ラバーが乗って路面が良くなるかと思ったんですけど、この台数じゃ足りていなかったし、昼のイベントか何かで砂が出ちゃったのか(編集部注:ドリフトパフォーマンス等で砂が出ていた)、朝のフリー走行とも路面状態は違っていましたね。最後まで超ダスティで、グリップレベルも低いまま。砂も舞っていたし、もしこの状態で雨でも降ってきたらと思うと、ゾッとしましたね。

●吉本大樹(PETRONAS TWS GS350)
 コースコンディションが昨日から比べてもかなり変わっていて。先に走った(佐藤)晋也も言っていたんですが、かなりオーバーステアになっていて。対策しても全然で……。もともとμが低いからラバーも乗りにくいし、グラベルが砂だから、コースアウトしたマシンがあると、またすぐ汚くなるし。そういうので、タイヤには相当厳しいコースでしたから、やっぱり「これから」という印象でしたね。

●キム・ドンウン(INJESPEEDIUM Stock Car)
 韓国にはサーキットが少ないので、インジェ・スピーディウムという新しいコースができて、非常に嬉しく思います。僕は決してレース経験が豊富じゃないんですが、このコースを走ることで、他のドライバーとの経験の差を詰められると思いますし、何よりすごく勉強になりました。コーナリング中にもアップダウンが激しくて、アクセルワークが難しいから、そこをうまくできれば、もっと速く走れそうな気がします。またスーパー耐久が開催されたなら、もっともっと多くの日本のドライバーが来てくれると嬉しいですね。

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