2010年まで全日本F3選手権のNクラスに参戦していた黒田吉隆が、イタリアの名門ユーロノヴァ・レーシングからフォーミュラ・アバルト・チャンピオンシップ・イタリア・シリーズに参戦することとなった。
これは黒田のマネージメントをしているイージー・ハンド・マネジメントが29日明らかにしたもので、黒田は昨年末から、ユーロノヴァとテストを複数回実施。参戦契約を2月16日に締結したという。
このフォーミュラ・アバルトは、2010年にそれまでのフォーミュラ・アズーラがリニューアルしたシリーズ。、F3よりやや小さいシャシーに1.4リッターターボエンジンを搭載。2010年シーズンはイタリアを中心に開催され、1大会に30~40人ものドライバーが出場するなど、厳しい環境で腕を磨くには絶好のレースシリーズとして注目を集めているという。
また、フォーミュラ・アバルトではF1のスクーデリア・フェラーリと密接な関係を持っており、シリーズで優秀な成績を収めたドライバーには、フェラーリ・ドライバー・アカデミー(FDA)に採用されるチャンスもあるとのことだ。
「ここ数年、多くの皆さまのご支援を受けて日本国内でレース活動を行ってまいりました。しかし、フォーミュラカーレースの本場ヨーロッパで腕を磨き、F1という最高峰へ到達したいという夢は断ちがたく、海外でのレース活動を再び決断しました。フォーミュラ・アバルトは、世界中から成功を夢見て若いドライバーが集結する、ヨーロッパでも屈指で激戦のレースシリーズです。そうそう簡単に成績を残せるとは楽観してはいませんが、全力を尽くして立ち向かう覚悟です。ファンの皆さま、スポンサーの皆さま、そしてメディアの皆さまのご支援とご協力に感謝致します」と黒田は新天地での挑戦に意欲を燃やす。
一方、黒田を走らせることになったユーロノヴァは、F1への参戦経験もあるビンツェンツォ・ソスピリが率いるチーム。「2010年末にヨシタカが初めて我々のチームでテスト走行を行ったとき、日本人ドライバーとしてはなかなかやるじゃないかと私は感心した。ミスを冒さなかったことはもちろん、彼が持っている能力をあの場で遺憾なく発揮したからだ。しかも、テストの終盤にはかなり速いタイムを記録していた」とソスピリは黒田を評価する。
「2011年シーズン、彼と一緒に仕事ができることを楽しみにしている。このチームからはロバート・クビカやビタリー・ペトロフといったF1ドライバーが巣立っていったが、ヨシタカにも彼らと同じような道を歩んで欲しいと期待している」