2009年に注目を集めたニュースをピックアップするこのコーナー。大事件の連続だった2009年のF1。事件の裏側で、また大事件とは離れたところで、たくさんの珍ハプニングがありました。今回は2009年F1シーズンに起こったさまざまなハプニングを振り返ります。

 フェラーリの空きシートをめぐるドラマ、ドライバーたちの怒りに我を忘れた行動、重鎮たちの問題発言、荒れた天候、ピットやコース上でのデジャブなアクシデント……。「あー、そんなこともあったね」という、さまざまなハプニングをランダムに挙げてみました。

フェラーリ、『乗車待ちリスト』を公開。琢磨、ロッテラー……候補は21人?
[マッサ代役探しが引き起こした悲喜こもごものドラマ]
 フェリペ・マッサの欠場で急きょあいたフェラーリのシート。そこから悲喜こもごものドラマが始まりました。大勢の候補者リスト、まさかのシューマッハー復帰、と思いきや取り止めで肩透かし、ブランク10年のルカ・バドエルの起用、見ているこっちが悲しくなるようなバドエルの低迷、フィジケラが夢のフェラーリ入り、ところがフィジケラも活躍できず……。結局この問題は、レギュラーであるマッサとキミ・ライコネンの能力の高さを証明することになりました。
(関連ニュース)
シューマッハー、F1復帰をキャンセル! 首の怪我が治らず
マッサの代役はバドエルに決定
ピットレーンは速い−−バドエル、速度違反で4回の処分、罰金額トータル73万円
バドエル「シートを失った理由はメディアとテスト禁止のせい」
フィジケラ「これ以上ないぐらい幸せ」

ピケ「ブリアトーレは死刑執行人」と激しく非難。ルノーを離脱し、新たなスタートを切ると宣言
[全部人のせい——ピケ親子のうんざり発言]
 シーズン途中で解雇された腹いせに、自らが実行した08年のシンガポールゲートを暴露したネルソン・ピケJr。フラビオ・ブリアトーレに対する恨みつらみを連ねた声明には、自己憐憫、被害者意識ばかりが目につき、同情を感じる余地なし。ピケSrも親バカ全開で、ねちねちといつまでもルノー批判を繰り返しました。たぶんこのふたりにとって大事なのは自分だけで、F1を愛する心などないのでしょう。
(関連ニュース)
ピケJr「F1でやり直すチャンスが欲しい」。審議終了に安堵も、ブリアトーレへの恨みは消えず
ピケJr「シンガポール・ゲートで一番大きな罰を受けたのは自分」
ピケSr、息子を擁護。「プレッシャーが大きすぎて断れる状況ではなかった」
ピケSr、今度は「ルノーチーム“全員”が知っていた」と発言

FOTA新シリーズの2010年暫定カレンダーが明らかに。モナコ、鈴鹿など全17戦
[数日で消えた幻の新シリーズカレンダー]
 FIAとの対立の中で、FOTAは独自シリーズ立ち上げでプレッシャーをかけ、6月には2010年の暫定カレンダーまで発表しました。カレンダーには、アルゼンチン、メキシコ、ポルトガル、イモラ、インディアナポリス、フィンランドなど、現在F1にはない開催地が含まれていたほか、F1には欠かせないモナコも押さえられていました。本気度の高さに、シリーズ分裂の危機をひしひしと感じましたが、結局はわずか数日後にFIAとFOTAは和解、心配は杞憂に終わることに。分裂を避けられたのはめでたいことでしたが、このカレンダーはいったいなんだったのでしょうか。
(関連ニュース)
モズレー「気に入らなければ自分たちの選手権を作ればいい」
FOTA、新シリーズ立ち上げを宣言

エクレストンの過激発言がイギリスで話題に
[エクレストン、79歳にして発言に見境なし]
 ヒットラー発言、セナ発言など、今年いくつかの発言が批判を集めたバーニー・エクレストン。79歳、言っていいこととマズイことの境界線を見極める力が身についていてもいい年齢では……。今年は長女タマラさんも問題発言。これは、何か他に気に入らないことがあったのかな、とも想像されます。
(関連ニュース)
エクレストン「セナの死はF1の役に立った」
「殺人犯でも終身刑にはならないのに……」。エクレストン、ブリアトーレへの厳罰にいまだ批判的
エクレストン「バトンの独走はF1にとっては極めてよくないこと」
エクレストンの娘も問題発言。「バトンがタイトルを獲れたのはマシンがよかったから」

ラウダ「これ以上は時間のムダ」。フェラーリにフィジケラ起用を求める
[F1のご意見番、ラウダのストレートな発言の数々]
 偉大なる元チャンピオン、ニキ・ラウダさんはそのストレートな物言いで、今やF1のご意見番的立ち位置に。フェリペ・マッサの代役選びの際には、セバスチャン・ブルデーを乗せるのは時間のムダ、テストドライバーは使い物にならない、とバッサリ。結局「使いものにならない」と言われたルカ・バドエルが乗ったわけですが、ラウダさんの予想どおり惨憺たるありさまだったものですから、“さっさとフィジケラと交代させろ”と言い放ちました。でもきちんと評価する時は評価しており、タイトルを獲ったジェンソン・バトンには温かい言葉を贈り、ミハエル・シューマッハーの復帰も心から応援しています。
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ラウダ、バジェットキャップ論争を批判「これでもF1を見る人間がいたら奇跡」
ラウダ「マッサの代役はシューマッハーしかいない」。テストドライバー&ブルデーを完全否定
「マノーを選んだグロックの判断は誤り」とラウダ
「若手からは“おっさん”扱いされるだろうがミハエルならやれる」とラウダ

皮肉をもってモンテゼモロ「ミハエルにはメルセデスで走りたいという兄弟がいる」
[モンテゼモロの笑えない冗談]
 フェラーリ会長ルカ・ディ・モンテゼモロさんは、「友達」とか「そっくりさん」とか「双子」とかいうキーワードを使った、本人いわくジョーク(?)がお好きなようです。1年ほど前には、2008年シーズンに不調の時期があったキミ・ライコネンに関し、「キミは忙しかったから、友達に頼んで走ってもらっていた」とかいうジョーク(??)を飛ばしていましたが、2009年にはミハエル・シューマッハーには双子の兄弟がいるという冗談(???)を言っていました……。ルカ・バドエルも何かこの手の“ジョーク”をモンテゼモロさんから言われてしまったのではと心配です。

バリチェロ「チームのせいで負けた」と激しく非難
[「言い訳なんて聞きたくない!!!」。バリチェロ、チームにキレる]
 チームメイトのジェンソン・バトンが快進撃を続ける一方で、どうしても勝つことができず、差を広げられていく一方だったルーベンス・バリチェロが、ドイツGPで優勝を逃した後、チームに激しくキレました。チームがぐだぐだ言う言い訳(「blah blah blah」)なんて聞きたくない」という、通称「ブラブラ発言」は、物議をかもすことに。現役最年長にして、全く丸くないところがある意味ステキでした。すぐに騒ぎは終結したものの、これでバリチェロとチームとの間に亀裂が生じたとの見方も。それでも、シーズン後半はバトンを上回るパフォーマンスを見せており、ブラジルGPでタイトルの可能性を失った後の態度も男らしくてとても立派でした。
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ブラウン、バリチェロの「明日にも辞める」発言をフォロー
「バリチェロの発言はレッドカードもの」とウイリアムズ

トゥルーリとスーティルが記者会見で大ゲンカ。ブラジルのクラッシュへの怒りがいまだ収まらず
[トゥルーリvsスーティル。2週間たっても怒りのテンション下がらず]
 同じく年長者のヤルノ・トゥルーリも熱い男です。ブラジルGPスタート直後にエイドリアン・スーティルと接触し、共にコースアウト、リタイアとなった後、トゥルーリは怒りを露にしました。その態度に対してペナルティがとられたにもかかわらず、2週間後のアブダビGPの木曜記者会見でスーティル相手に議論を始め(記者も蒸し返す質問をしなければよかったですね)、ふたりはしばし激しい言い争いに。同席していたフェルナンド・アロンソは途中から苦笑しっぱなしで、ついには隣のキミ・ライコネンに「僕らは失礼しようか」と冗談を言い、ふたりで笑っていました。アロンソはあのアクシデントの巻き添えを食ってリタイアしてしまっており、実は一番の被害者でした。

F1ブラジルGP:“ライコネン炎上”のコバライネンに25秒加算のペナルティ。トゥルーリは罰金
[まるでデジャブ……。走行中の珍アクシデントいろいろ]
 2008年シンガポールGPで、フェリペ・マッサが給油ホースを引きずってピットを走行したシーンは衝撃的でしたが、2009年のブラジルGPで同じアクシデントがヘイキ・コバライネンに起きました。クルーがロリポップを誤って早く上げてしまい、コバライネンは発進、ピット出口前でマシンをとめましたが、飛び散ったガソリンが後ろから来たキミ・ライコネンのマシンに引火するというぞっとする映像。幸いコバライネンもライコネンも問題なくレースを続行できました。ブラウンGPのクルーが親切にも、コバライネンのホースを迅速に外し、「Go! Go!」と合図していたのも珍しいシーン。シンガポールでは、前の年にネルソン・ピケがクラッシュした場所でロメイン・グロージャンがクラッシュするという(こっちは本気で)、残念なシーンも見られました。アブダビではハイミ・アルグエルスアリがレース中にレッドブルのボックスに入ってしまうというミス。兄弟チームのピットを邪魔することにはならなくてよかったです。
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F1マレーシアGP決勝、降雨赤旗中断でバトンが開幕2連勝を達成
[大雨で走行できず、アイスを食べる人や舟を流す人……]
 2009年シーズンは、天候に翻弄されたグランプリが多数見られました。マレーシアは大雨のために赤旗終了となり、18年ぶりのハーフポイントに。赤旗中断中にアイスを食べるキミ・ライコネンの姿に大勢の女子ファンが萌えました。日本GPの金曜プラクティスも大雨に。洪水のような雨に、誰かが浮かべた折り紙の舟がピットを流れていくシーンも。翌日は、雨のため満足にドライ走行の準備ができなかったルーキーたちを中心に、予選でクラッシュが多発しました。ブラジルGP予選も大雨のために途中中断。なんと2時間41分のセッションとなりましたが、なんとか無事に順位を決定することができました。
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