熱戦続くGAZOO Racing 86/BRZ Raceの第4戦が、スポーツランドSUGOを舞台に7月11〜12日に開催され、プロフェッショナルシリーズでは谷口信輝(KTMS 86)が、クラブマンシリーズでは小野田貴俊(N東埼玉T埼玉KND2和光86)が優勝した。

 全8戦で争われる86/BRZ Raceは今回が4戦目で、今シーズンの折り返し地点に到達した。土曜日の東北地方は好天に恵まれ、爽やかな青空の下で予選が行われた。何度もトップが入れ替わったクラブマンシリーズでは、ラスト5分の時点で橋本洋平(カーウォッチ86ポテンザED)がトップに立っていたが、その2分後に1分42秒419をマークしてポールポジションを奪ったのが遠藤浩二(CG ROBOTかえる君BS86)。「けっこうミスもしているんですが、最後に何とかまとめられたという感じです。決勝ではぶつけられないようにしたいですね」と、暗に独走の宣言も飛び出した。2番手には橋本が、そして3番手には小野田がつけた。

 続けて行われたプロフェッショナルシリーズの予選では、再びパドックがざわめくことになった。ブリヂストンが新たに投じた『RE-05D』の評価が高く、中には「何もせず、履いただけでコンマ5秒上がった」と語るドライバーもいたほど。阪口良平(AREA86 倉敷)、佐々木雅弘(asset・テクノBS86)、山田英二(CUSCO BS 86)、そして再び阪口とトップが入れ替わっていくが、いずれもブリヂストンユーザーだ。唯一、谷口だけがヨコハマユーザーとして上位につけるも、100分の4秒遅れでの4番手となっていた。しかし、ラストアタックでその谷口が魅せた。阪口の1分40秒569をコンマ1秒以上も上回る、1分40秒437をマークして今季2回目のポールポジションを獲得する。

「今回は完璧な仕事ができた。まわり誰も更新できていなかった最後の最後に出してきたから、相当カッコよかったんじゃない(笑)。ただ、BSはロングも効くみたいだから、決勝は面白くなるっていうか、僕がみんなにいじめられる様子がねぇ? そういうレースになるんじゃない」と、苦戦は承知の上と、まるで自分に言い聞かせるように語った谷口。

 2番手は阪口で、「最後にやられるとは、役者が違う(苦笑)。まぁ、決勝では」と、逆襲を誓う。3番手は山田、4番手は佐々木、5番手に大西隆生(オートバックスG7 86ポテンザ)、6番手に井口卓人(CG ROBOT BRZ BS)と続いて、トップ10のうちヨコハマユーザーは谷口のほか、7番手の近藤翼(神奈川トヨタ☆DTEC86R)のみ。また前回のウイナーである服部尚貴(OTG GY 86)がグッドイヤーユーザーとして10番手に食い込んだ以外は、ブリヂストンユーザーが占めた。

 決勝レースの行われる日曜日も、サーキット上空には青空が広がり、むしろ暑ささえ感じられる中での戦いになった。まずクラブマンシリーズだが、好スタートを切ったポールシッターの遠藤の後方では、橋本と小野田による激しい2番手争いが展開。2周目のストレートで小野田が前に出るが、その間に遠藤は1秒2までリードを広げ、そのまま逃げ切るかと思われた。

 ところが、その差は広がるどころか、橋本を振り切った小野田が遠藤に接近。加えて、11周目の最終コーナーで遠藤がリヤを滑らせてしまったため、小野田の接近をさらに許すことに。そして、「ブレーキを酷使し過ぎました」という遠藤を、小野田が最終ラップのヘアピンで捉えた。

「最後まで諦めていませんでしたよ。どこで行くか、ずっと考えていたんですが、チャンスが訪れたからには、あそこで行くしかないと。ちゃんと1車身分開けてくれて、遠藤さんだから安心していけました。これでポイントリーダー!」と優勝した小野田は大喜び。3位は橋本が獲得し、表彰台の顔ぶれは、前回と同様のものになった。

 続けて行われたプロフェッショナルシリーズでも、ポールシッターの谷口が好スタート。後方で阪口、山田、そして佐々木が激しく争っていたこともあり、オープニングラップだけで1秒2のリードを奪う。しかし、差を広げられたのは2周目まで。その後は後続の3台が競いながらじわりじわりと近づいて来たのだ。

 5周目には4台が1秒半の中に連なり、8周目には1秒にまで縮小。一瞬即発とは、まさにこの状態のことを指すかのよう。ただ、それぞれ手も届きそうな距離にいたものの、阪口以下、誰もアクションを起こそうとしない。もし動いて抜き切れなかった場合、容赦なく後ろのクルマに襲いかかられてしまうためだ。

 一方で、上位の動きを待っていた感があったのは、5番手につける大西。やや間隔は開いていたものの、何か起これば間違いなく迫っていったはずだ。だが、「ブレーキでは間違いなく僕の方が行けていた。実際、終盤には(谷口のクルマから)スキール音が聞こえていたし」と語りながらも阪口が動けなかったのは、まだ4戦を残していることから、1ポイントでも多く稼いでシリーズ後半戦に逆襲をかけるためなのかもしれない。

 結局、トップグループに順位の変動はなく、辛くも逃げ切り果たした谷口が今季3勝目をマーク。「あ〜、しんどかった! 良平より速かったのは、SPとレインボーだけで、あとは全部負けていた。もう、いっぱいいっぱい。でも、去年のSUGO戦のデータをもとに、チームがしっかりクルマを作り上げていたから勝てたんで、今回は僕の勝利というより、チームの勝利」と、苦しい戦いを凌ぎきり、チームへの感謝も忘れない谷口だった。

 2位は阪口で、2戦ぶりの表彰台返り咲きを果たした。3位の山田は86/BRZ Raceで初の表彰台を獲得。また、あと一歩のところで表彰台を逃した佐々木だったが、ファステストラップを記録し、さらに1ポイントを稼ぐこととなった。

 ブリヂストンユーザーはほかにも大西が5位、井口が6位、そして今村大輔(Profi 86T-MAN oil)が10位につけてトップ10に6台が入った。ヨコハマユーザーは谷口のほかに近藤がポジションキープで7位に入り、織戸学(モルフォ頭文字DサミーK186)が予選11番手から8位まで追い上げた。グッドイヤーユーザーの服部はひとつ順位を上げて9位でのフィニッシュとなった。

 シリーズ後半戦もブリヂストンユーザーの優位性は続くのか? それいかんによっては、まだまだタイトルの行方は分からない。

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