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スーパーGTニュース

投稿日: 2015.11.26 00:00
更新日: 2018.02.17 11:48

apr金曽監督「プリウスは実力以上に頑張った」


2015 AUTOBACS SUPER GT ROUND 8

開催地:ツインリンクもてぎ(栃木県)/4.801km

11月14日(予選)天候:雨
コースコンディション:ウェット 観客数:17,000人

11月15日(決勝)天候:雨のち曇り
コースコンディション:ウェット~ドライ 観客数:33,000人

コンディション変化をものとせず、ポール・トゥ・ウィンで2勝目。有終の美を飾る!

 早いものでスーパーGTも、最終戦を迎えることとなった。全8戦の総決算ともなるレースが栃木県のツインリンクもてぎを舞台に、11月14~15日に開催された。すでにGT300ではドライバー、チームともにチャンピオンが決まっているものの、「TOYOTA PRIUS apr GT」を駆る、嵯峨宏紀選手と中山雄一選手はひとつでも上のランキングを、そして何より開幕戦以来となる2勝目を目指す。

 この最終戦はご存知のとおり、全戦出場しているチームであれば、それまで積んで来たすべてのウエイトハンデを下ろすことが可能。素のポテンシャルが重視されるノーハンデという条件は、先にも述べた勝った開幕戦に共通する。最速の称号を得るにはまたとない機会でもあり、気持ち良くシーズンを終えるためにも、必勝体制で臨んでいたのは言うまでもない。

公式練習 11月14日(土)8:50~10:26
 搬入が行われた金曜日までは好天に恵まれていたものの、天気予報で告げられていたとおり、土曜日は早朝から雨模様。今季最後の戦いに水を差さないことを祈るばかりであったが、そんな心配はこと「TOYOTA PRIUS apr GT」に関しては無用でもあった。最初にステアリングを握った嵯峨選手は、誰よりも早く1分57秒台に入れてトップに浮上。その後、ピットでセットアップが進められる間にトップの座を明け渡したものの、またコースに戻るとやはり1分56秒台への突入も一番乗り。1分56秒257をベストタイムに、ほぼ折り返しのところで嵯峨選手から中山選手に交代する。

 中山選手は決勝のセットを詰めるべく、いったんは連続周回をこなしていったが、再度ピットに戻った後はアタックモードにも突入。すると1分56秒165をマークして、またしてもタイムアップを果たしたばかりか、1周のクールダウンの後、1分55秒954を叩き出す。この後、誰も1分55秒台に入れることはできず、ぶっちぎりのトップとなる。混走のセッションが間もなく終了となる頃、90度コーナー先のアンダーブリッジでクラッシュした車両があり、いったん計測は中断。そのころ、すでに中山選手はピットに戻っており、単独のセッションを走るべく嵯峨選手が準備中だった。

 そして、1分だけ延長されて計測は再開。順調に周回をこなしていた嵯峨選手ではあったが、終了間際に3コーナーでコースアウトしているではないか! 足まわりにトラブルが発生し、コントロールを失っていたのが原因だ。

公式予選 Q1 10月31日(土)14:00~14:15
 公式練習の後に行われたサーキットサファリに「TOYOTA PRIUS apr GT」は出走せず、その間メカニックによる懸命の修復が行われていた。予想していたより遥かに時間がかかり、ようやく動き出したのはQ1が始まって4分経過したところ! ということは、アタックのチャンスは10分強しか残されていないとも言えた。いかに雨は弱くなっているとはいえ、低めの温度を思えば、タイヤを十分温めるまでには至らず、ということも考えられたが、中山選手は果敢にコースを攻め立て、条件を整える。

 その結果、最初のアタックからその時点でのトップとなる1分58秒264を出し、1周のクールダウンを経て、56秒223をマークする。もちろん、これはトップタイム。その後も破る者は現れず、Q2に控える嵯峨選手にバトンをつなぐこととなった。

公式予選 Q2 11月14日(土)14:45~15:57
 中山選手からのインフォメーションを受け、意気揚々とコースに挑んでいった嵯峨選手。しかし、走り始めてすぐ、あまりもの雨の勢いにタイヤがマッチしないことに気づき、2コーナーを立ち上がってすぐピットに無線を入れる。その後、ピットに戻ってタイヤを交換。ただでさえ、Q2の計測はQ1より短い12分間、下手を討てばアタックする前にチェッカーが振られてしまう。

 最終のビクトリーコーナー手前は、とりわけ水の量が多く、ライバルにコースアウトが相次いだものの、交換したソフトタイプのタイヤは、しっかりと路面をつかんだ。貴重な1周の機会に、嵯峨選手は2番手をほぼ2秒も引き離す、2分0秒602をマークしてトップに。その結果、「TOYOTA PRIUS apr GT」は第2戦・富士以来、今季2回目のポールポジションから決勝に挑むこととなった。

嵯峨宏紀選手
 途中でピットに入ったのは、最初にQ1と同じタイヤをチョイスしていましたが、出てすぐ、もう2コーナーを曲がった時点で、これはヤバいなと感じたので、「もうひとつ柔らかいタイヤを用意して」と無線を入れました。でも、できるだけアタックの時間を伸ばしたかったので、危ない中もアウトラップは全開で走って何とかピットに帰って来て、すぐにタイヤを換えて。計測1周目は雨がさらに強くなり、しっかりアタックする前にいいタイムが出るコンディションは終わっちゃったかな、という感じだったんですが、そういう中でもうまくタイヤを温めることができて、ポール獲れたのはすごく嬉しかったです。決勝の雨が強くても弱くても自信はありますし、仮にドライになったとしても、先日の合同テストで好タイムは出せていたので、勝つ自信はあります!

中山雄一選手
 僕が走ったQ1は、まだ天候は安定していましたし、朝のフリー走行でも好タイムだったので、通過することは問題なくできるだろうと、落ち着いて走れました。ただ、朝のフリー走行の最後にトラブルが出てしまって、その修復に時間がかかって、予選が始まって4分ぐらい経ってから出たので、タイヤが温まるか不安がないわけではありませんでしたが、いいタイムが出せたので満足しています。明日は朝のうちに雨がやんで、どんどん乾いていくと思うんですけど、今日も刻々と変わる中でコンディションに対して、いいタイヤをチョイスできたのが、この結果の要因だと思うので、明日もコンディションに合わせた、いいチョイスができるかどうかが決勝の鍵を握ると思います。

金曽裕人監督
 朝のフリー走行でサスペンショントラブルは思いのほか重症な状況でありQ1に間に合わない可能性も十分あった。順調な仕上がりのプリウスと強烈なパフォーマンスを発揮するBSタイヤを用いれば最終戦はポール獲得できると信じていた。その気持ちはSTAFF全員の思いであり、懸命な修復にて何とかコースインができた。一時は運にも見放され意気消沈してしまったが、ドライバーもメカニックも関係する皆様全員の諦めない気持ちがポールポジションという成果につながったと思う。明日も同じ気持ちで悔いなきRACEを行い優勝のみを狙い、有終の美を飾りたい。