Audi Team Racing Tech プレスリリース
2015年6月22日
酷暑の中、予想以上に苦戦した第3戦「BURIRAM SUPER GT 300km RACE」、
細川慎弥&加藤将正の新コンビで、執念の完走、16位フィニッシュを飾る
今シーズン、新たにSUPER GT 300クラスに参戦を開始した「Audi Team Racing Tech」は、ドイツの名門自動車メーカーのひとつである、Audi社からのサポートを受けて誕生した、新たなレーシングチームです。
Audi社の高い技術をもって完成したマシン、「Audi R8 LMS Ultra」を武器に、日本最高峰のツーリングカーレースであるSUPER GT 選手権GT300クラスに、ゼッケン86番をまとって2015年から参戦を開始しました。
注目のドライバーには、Audi社のワークスドライバーのひとりであるクリスチャン・マメロウと、速さと安定感に定評がある細川慎弥(ほそかわ しんや)を起用。デビュー戦となった岡山国際サーキットでの開幕戦では、悪天候の中、いきなり4位完走を果たし、大きな注目を集めました。
続く第2戦では、予選でのトラブルによってピットスタートとなったにも関わらず、最後尾から見事な追い上げを見せて10位まで浮上。見事2戦連続ポイントフィニッシュを成し遂げたのです。
しかし6月20日(土)~21日(日)にタイ、チャーン・インターナショナルサーキットで開催される第3戦を前に、チームにとって不運な出来事が起こりました。Audiドライバーのクリスチャン・マメロウが、2連覇を狙って参戦した伝統のニュルブルクリンク24時間耐久レースで大クラッシュを起こし、入院。順調な回復を見せてはいたのですが、Audi社として大事を取って、今回のレース欠場を決めたのです。
それを受けて、Audi Team Racing Techは、今回の第3戦にリザーブドライバーのひとりである加藤正将(かとう まさのぶ)を起用。加藤にとっては約2年ぶりのSUPER GT参戦となりました。
6月19日、金曜日にチャーン・インターナショナル・サーキットに集ったふたりのドライバーは、エンジニアとのミーティングを済ませると、チーム代表でもある野本壮見監督とともに灼熱の太陽が照りつける中、コースウォークを実施。各コーナーの縁石の状態やランオフエリアの状態をチェックしながら、新たなチームメイトとのコミュニケーションを深めました。
土曜日朝のフリー走行では、細川慎弥がマシンのセットアップを担当し、加藤正将は与えられた時間の中でマシンに慣れ、そしてコースに慣れることに集中しました。細川いわく、ややシャープさに欠けるハンドリングだということで、午後に向けての課題を残したまま予選を迎えることとなりました。
午後の予選では、細川慎弥がアタッカーとしてQ1突破を目指しましたが、やはりマシンの挙動にいまひとつ冴えがなく、路面温度の急上昇も相まって、GT300クラス19番手と厳しい結果に終わりました。
日曜日、朝のウォームアップ走行で、加藤正将は前日の限られた周回数にも関わらず、予選後に細川慎弥と自分の走行データを比較し、研究したことによって、きちんとマシンのイメージを掴み取り、Audi R8 LMS Ultraのドライビングに自分のドライビングをアジャストしてきました。タイム的にも細川と遜色ないタイムをマークし、チームとしても決勝に向けて明るい雰囲気が戻ってきました。
決勝レースがスタートする午後3時には、気温も34度℃を超え、路面温度も45度℃近くとなっていました。スターティング・ドライバーは細川が務めます。レースは暑さとの闘いになり、いかに集中力を保つかが勝負の鍵を握ります。細川はスタート直後、1周目を19番手で戻ってきました。そこから細川の追い上げが開始されます。
3周目には18番手、16周目には17番手と、着々と順位はを上げながら、タイヤとマシンを労わるドライビングで周回を重ねます。野本監督から「経験の少ない加藤の為に、細川ができるだけ引っ張る」という指示が出ていたからです。路面温度が60度℃を越える過酷な状況の中、ひとつのミスも犯さず周回を重ねた86号車は、32周目には4位まで浮上。最終的にレギュレーションで許されるギリギリまで引っ張って、GT300クラスの中では最後にピットインし、ドライバー交代を行いました。
しかし残念なことに、加藤正将が乗り込み、再スタートを切ろうとした時に、原因不明のスターター・トラブルが発生。エンジンが再始動するまでに大きくタイムロスをしてしまい、ポジションもダウン。気を取り直してレースに復帰した加藤はそこから粘り強い走りを見せて、ミスすることなく最後まで走り切り、最終的にクラス16位でチェッカーを受けました。
■Audi Team Racing Tech 代表・監督 野本壮見のコメント
「今回のレースは、クリスチャン・マメロウの欠場が本当に痛かったですね。細川慎弥も良くやってくれましたが、やはり時間がない中でのセットアップに関しては、マメロウのマシンに対する豊富な知識と経験がいかに大きいかを改めて認識させられました。レースは細川に最大周回数まで引っ張ってもらい、アウディA8の経験が少ない加藤のカバーをしてもらう作戦でしたが、細川は完璧な仕事をしてくれたと思います。再スタートでのトラブルは熱害によるものだと報告をうけましたが、とても残念ですね。バトンを受けた加藤の走りが良かっただけに、その悔しさもひとしおです。今回の教訓を次のレースに生かし、富士の第4戦は表彰台を狙います」
■細川慎弥のコメント
「今回のレースは、全体的にスピードが足りませんでした。すべてが後手、後手にまわってしまい、厳しい週末になってしまったと思います。マシンのバランスは悪くなかったのですが、まだ満足いくレベルではなく、タイム差が縮めきれませんでした。レースでは、作戦どおり精一杯引っ張りましたが特にタイヤにも不安感はなく、まだまだいけそうな感触でしたから、その意味では自分に自信が持てました。次のレースではマメロウも復帰すると聞いていますので、しっかりとマシンを煮詰めて勝ちに行くレースがしたいです」
■加藤正将のコメント
「最初のフリー走行でAudi R8 Ultraに初めて乗ったのですが、これまで乗っていたマシンとは根本的に違うので、考え方を変えて走らなければいけませんでした。予選後に細川選手のデータと自分のデータを比較し、日曜日のフリー走行ではブレーキングの精度を上げていき、いいイメージで走りの修正ができたと思います。細川選手のセットアップに、多少自分の希望を入れてもらった決勝レースでは、誰もが条件は同じなんですが、タイヤかすが多くて第1コーナーでは1本しかラインが取れない状況でした。GT500のマシンにラインを譲るとタイヤかすを踏んでしまい、そのピックアップを上手く落とす工夫をして走りました。今回のレースでは、完走することでデータ収集できたことが一番の収穫だったと思います。車両へのフィードバックができれば、また一歩前に進めることができるからです。これからも今回のチャンスを与えてくださった野本監督の期待に応えるような走りができるように頑張りますし、チームの皆さんに感謝しています」
