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スーパーGTニュース

投稿日: 2010.07.26 00:00
更新日: 2018.02.15 21:22

DENSO DUNLOP SARD SC430、平手が10位を奪い返す


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LEXUS TEAM SARD RACE REPORT

DENSO DUNLOP SARD SC430
第5戦SUGO、平手が10位フィニッシュを奪い返す

2010 SUPER GT 第5戦「SUGO GT 300km RACE」(7/24-25)
スポーツランドSUGO(1周3.704km)
観客動員:予選11,500名、決勝27,000名 合計38,500名

 7月25日(日)、シーズン折り返しとなるSUPER GT第5戦「SUGO GT 300km RACE」の決勝が行われ、13番グリッドからスタートしたDENSO DUNLOP SARD SC430は、アンドレのチャージで8位にポジションアップ。だがルーティンピットインを目前に接触されコースオフし、ピットでの修復作業と給油作業で大きくロス。またこの給油の問題によりその後2回も緊急ピットインを余儀なくされ11位に。しかし、最後まで諦めない平手の猛プッシュにより最終ラップのフィニッシュ直前のコントロールラインへの攻防で、わずか約0.2秒差で10位フィニッシュを奪い返した。ドライバーポイントでは1点を獲得しランキング11位(計9点)、チームポイントでは2点を獲得し11位(計18点)となった。次の第6戦は8月21日(土)・22日(日)に鈴鹿サーキットで真夏の長丁場となる700kmレースとして開催される。

■公式練習走行
 2010年シーズンも4戦を終え、第5戦SUGOは後半戦への折り返しとなるターニングポイント。セパンでは粘りの走りで10位フィニッシュとなったDENSO DUNLOP SARD SC430であるが、予選・決勝ともあと少しの差で下位に甘んじている。きっかけがあれば急浮上する可能性を秘めているが苦境が続いている。

 今回DENSO DUNLOP SARD SC430は、16kgのウェイトハンディを搭載。重量増によるタイムの落ちは50kgで0.7秒弱と他のサーキットよりも影響が大きい。高低差70mもあるテクニカルなマウンテンコースは、幅が狭くトリッキーで1列縦隊になりやすくオーバーテイクポイントは限られている。常に接近戦が展開されドライバーにとって息の抜けないコースであるが、ここSUGOでは近年毎年好成績を残しており昨年は2位。アンドレは子供の病状が快方に向かっており、また一方の平手は先日のフォーミュラニッポン優勝&表彰台プロポーズと公私ともに勢いにのっている。巻き返しを図りたいDENSO DUNLOP SARD SC430にとっては相性のよいコースで、シリーズ後半戦の出だしで良い流れを引き寄せたいところ。ここで奮起し逆襲を狙うチームは、SUGOでの2年連続表彰台を目指して臨んだ。

 24日(土)の天候は夏本番真っ盛りの快晴となり、路気温ともにぐんぐんと上昇した。9時からの公式練習走行開始時は気温33度/路面温度47度で朝から容赦なく日が照りつけた。まずアンドレが2周ほどクルマのチェックを行った。クルマは縁石に乗るとコントロールが難しいという全体的にナーバスな状態。サスペンションセットや前後バランスを調整して再度コースイン。トラフィックにひっかかりながらも1分19秒535。さらにリアウイングを調整するなどセットアップを進めていった。20周走行した後にタイヤを交換。1分19秒480とタイムを縮めたが、まだドライバーの満足いくフィーリングとはならずに苦戦。その後、27周目から今勢いに乗る平手と交代。平手もアンドレと同様のフィーリングで、タイムは伸び悩んだ。続いて平手は別のユーズドタイヤでロングランの感触を確かめた。公式練習走行はトータル45周を走行し、アンドレのマークした1分19秒480の13番手タイムとなった。

■公式予選
 24日(土)12時45分からの公式予選1回目には気温34度/路面温度49度とさらに上昇。最初の混走セッション30分間でまずは両ドライバーとも基準タイムをクリア。インターバルのセット変更でクルマは改善方向に進んだと平手がコメント。アタックを担当するアンドレはまだ満足のいくセットではなくナーバスなクルマをねじ伏せてタイムを更新。このセッションのベストは1分18秒863の10番手と気迫を見せた。

■公式予選1回目GT500単独セッション:
懸命なドライビングも艱難辛苦が続く予選タイムは13番手
 予定より遅れて13時40分からGT500クラス10分間の単独セッションが、気温35度/路面温度53度とこの日最高温度となったコンディションの中で、スーパーラップ進出をかけた戦いが始まった。コースオープン最初からコースインしたアンドレは、真っ先にアタックラップに入っていった。最初のテクニカルセクションで自己ベストをマークしながらも丁寧にクルマを前に進めていくドライビング。横方向のグリップに不満が残っているアンドレは、とにかくクルマを縦方向に進めるべく懸命にステアリングを操作した。コースイン3周目に1分18秒621の9番手タイム。アンドレは、続く4周目もアタックを続けたがウォームアップ中のクルマに引っかかりタイムアップは果たせず。アンドレは練習走行からタイムアップして見せたが、DENSO DUNLOP SARD SC430はスーパーラップ進出を逃す公式予選13番手となった。

■決勝
■フリー走行
 25日(日)決勝前のフリー走行開始時点は、気温29度/路面温度36度の曇り空ともあって幾分暑さが和らいだ感となった。予定通り9時10分にコースイン開始。途中、20分以上の赤旗中断もあったが、スタートを担当するアンドレは決勝への感触を確かめることに集中し周回を重ねた。ユーズドタイヤで19周走行したアンドレは、14周目に1分19秒421をマーク。続いて20周目から平手がドライブ。平手もクリアな状態では判を押したようにコンスタントにラップを重ねて決勝前の最後の調整を行った。フリー走行ではトータル33周を走行。アンドレがマークした1分19秒421の11番手同タイムとなった。決勝は、厳しいポジションからのスタートとなるが諦めずに表彰台を目指して臨む。

■決勝スタート
 25日(日)14時スタート時点は雲が広がり降雨の予感さえする天候となり、気温32度/路面温度41度に。一歩も引かない激しい接近戦が予想される戦いを前に緊張感が漂うグリッドへ、DENSO DUNLOP SARD SC430はスタートを担当するアンドレが13番グリッドにつけた。

果敢な走りのアンドレがポジションアップも失意の接触で大きくロス
 スタート1周目こそ整然とした展開であったが、その2周目からは接触が増え激しい戦況に。序盤19秒台で前に追いすがるアンドレは果敢にチャージを続け3周目に1号車をパス、また接触で遅れた車両を抜くなどして8位までポジションアップを果たした。その後も攻防は絶え間なく続いていき順位が変わっていった。30周目頃になると上位車がルーティンのピットイン。半数近くピットインをした38周目頃には雨粒が落ち始め、激しく降るのか降らないのかといった緊迫した雰囲気に。濡れた路面でスピンするクルマも出始めるコンディションにアンドレは耐え、安定したラップタイムを刻んでいることから、タイヤ交換のタイミングを図りながらピットインを延ばす作戦に。だが、その後路面を大きく濡らすほどに至らずドライのまま。

 そしてルーティンピットを目前にした47周目の4コーナー(ヘアピン)にて、アウト側に居た300クラスの74号車とインに飛び込んできた32号車にサンドイッチ状態で激しく接触を受けたアンドレは行き場を失い、74号車とともに弾き出されコースオフ。ボディとホイールにダメージを負ってしまい、左リアタイヤもパンクしてしまうアクシデント。ここで緊急ピットインを余儀なくされ、大きくタイムロスとなるスロー走行ながらも何とかピットに辿り着いた。

逆境にも諦めない平手が最後に順位を奪い返す
 修復作業および給油時の問題もあってピット作業でも時間がかかった。破損の程度はその後の走行に大きな影響はなかったものの、ピットアウトしたDENSO DUNLOP SARD SC430は、前との差が大きく離れた10位となっていた。それでも諦めない平手は差を縮めるべくプッシュを続けていった。僅かに最高速が伸びず、また左右のバランスが若干崩れたクルマを懸命に操る平手。通常であれば乱れるタイムを見事に安定させながら巻き返しを狙っていった。だが追い討ちをかけられるかのように給油の問題が残っていることのが判明。ガソリンがフィニッシュまでの量が十分に給油されず、その後2回も緊急ピットインを余儀なくされて11位に陥る逆境に。しかし、最後まで諦めない平手は、気迫の猛プッシュにより最終ラップのフィニッシュ直前のコントロールラインへの32号車との攻防で、わずか約0.2秒差で10位フィニッシュを奪い返した。

 ドライバーポイントで1点を獲得しランキング11位(計9点)、チームポイントで2点を獲得しランキング11位(計18点)。次の第6戦は約1ヶ月後の8月21日(土)・22日(日)に鈴鹿サーキットで真夏の長丁場となる700kmレースとして開催される。

アンドレ・クート
「序盤は周りと遜色なくバトルを展開でき順位を上げることができていたのに、あの接触で失ってしまった。タイヤがもっていたので、できるだけ引っ張る作戦で上位を狙えたのに台無しになってしまった。何とかピットに戻ったけど大きく遅れをとって非常に厳しいレースになってしまった。決勝は自信があったのに残念でならない。最後にコウヘイが1ポイントを奪い返してくれたのはうれしかった。次の鈴鹿では良い戦いをみせられるように頑張りたい」

平手晃平
「乗った時から大きなハンディがありましたけど、レースは何が起こるかわからないので諦めずにプッシュしました。クルマはトーが狂った感じでしたが、ひどい状況ではなく何とかドライブできました。その後、まさかの給油トラブルで11位となってしまって憤慨しながら猛プッシュでしたよ。最後はギリギリで32号車を抜けてポイントを獲得できたのは良かったです。このあと来週の富士タイヤテストで改善を進めて、絶対に次の鈴鹿では表彰台を獲りたいです」

菅野純博監督
「今回こそはと臨んだレースでしたが、最初からの悪い流れを立て直すことができず無力感と無念さでいっぱいです。最終ラップの平手の頑張りで何とか今回も1ポイントを獲得できました。頑張ってくれているドライバーによいクルマを提供できるように、来週の富士タイヤテストのプログラムをしっかりと練り、次の鈴鹿に万全の準備をすることが責務であると感じています」


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