2011年SUPER GT 第8戦
「D'STATION KeePer SC430
不運の事故で順位を大きく落とす!」
早いもので・・・・2011年のSUPER GTシリーズも今回が最終戦。11月にエキジビションとして開催されるJAF-GP戦を残しているものの、実質的には今回が今年最後の公式戦。
舞台は3月の震災の影響を受け、コースの80%にも及ぶ部分に改修工事を受けた栃木県はツインリンクもてぎ。今シーズン、思う様な成績を残す事が出来ず、苦しいシーズンを送っている「LEXUS TEAM KRAFT」としては、この最終戦を有終の美で飾り、来期に向けて弾みを着けたい所。
もてぎは事前テストも無く、データも少ないサーキットではあるが、終盤に来て「D'STATION KeePer SC430 」の調子は上り調子。チームは自信を持って金曜日からサーキットへと入ったが・・・・驚く事に今回も何故か天候は崩れる方向。
今年のSUPER GTシリーズはことごとく雨の影響を受けており、搬入日である金曜日から土曜に掛けて雨が振り、日曜の決勝前には雨が上がるという嫌なパターンがすっかりと定着。結果として予選から決勝に向けてのマシンセットアップに翻弄される事となりその中で成績を残す事は非常に難しくなっている。
新体制となった「LEXUS TEAM KRAFT」まさにこれに苦しめられた1年であり最終戦くらいはなんとか完全ドライな状況で戦いたかったが・・どうやら今回も雨の予選からドライの決勝となりそうな気配。まずは雨方向へセット変更を行い、土曜朝のフリー走行に備える事となった。
公式練習
10月15日(土) 9:45~11:30
迎えた土曜日。願わくばハズレる事を期待した天気予報は無情にも的中し、ツインリンクもてぎ上空は朝から雨模様。シトシトと降っては時折激しくなるという不安定な雨の中、「D'STATIONKeePer SC430」は脇阪がステアリングを握りコースイン。
予報では「決勝晴れ」の可能性が高い為、ドライセッティングも考慮しつつ、ウェット路面にも適応するマシン作りを念頭に、足回り中心にセットアップを詰め、総合10番手前後のタイムを出した所で残り25分、ドライバーをクートへと交代。変わったクートも新舗装となったコースコンディションとマシンの状態を確認しつつ走行を続け、最終的には総合8番手程のタイムとした所で走行を終了。午後の予選に向け路面コンディションに若干の不安は残るものの、マシンの方向性もほぼ固まり、後は予選を待つばかりの「D'STATIONKeePer SC430」となった。
公式予選13:05~15:55
公式予選。今回の予選は久しぶりとなるノックダウン方式の予選。まずは500クラス、300クラス混走の時間帯に2名のドライバーが基準タイムをクリア、その後各クラス別にQ1、Q2 、Q3と絞られて行くF1スタイルの予選。「D'STATION KeePer SC430」は今回、脇阪→脇阪→クートの順でこの予選を戦う作戦。
まずはQ1、脇阪がステアリングを握り、開始1分程経った所でコースイン!セッション開始前に雨は小振りとなり、インターミディエイト(溝の浅いレインタイヤ)で行ける路面コンディション。脇阪もインターミディエイトをチョイスして慎重にタイヤに熱を入れ迎えた計測ラップ、セクター1でベストを更新しピットは一気に期待に包まれるが・・・・なんとその半周程前に、第5コーナーでコースアウトしグラベルに止まっている車両が発生!
不運な事にこのタイミングで第5コーナーに差し掛かった脇阪はまさに渾身のアタックラップ中であり、イエローフラッグを確認しすぐさま減速を試みるが・・・そこは・・・今回。80%にも及ぶ路面補修の関係で最も滑りやすく飛び出す車両が多いと言われている鬼門の第5コーナー。
さすがの脇阪でもウェットコンディションの中、フルアタックからの減速では間に合わず僅かにオーバーラン。危険な状態とはならなかったが、レギュレーション上黄旗区間でのオーバーランは重大なペナルティとなってしまう事からQ1のタイムが全て抹消となり、この時点でQ1敗退、予選最下位が確定となってしまった。なんとも不運な予選となってしまったが、その結果は受け入れるしか無く、チームは気持ちを切り替え決勝での追い上げを誓う予選となった。
フリー走行
10月16日(日) 9:00~9:45
迎えた決勝日。午後からは晴れると言われているものの・・決勝日の朝はやはり雨。雨脚は弱くなったり、時折強くなったりと不安定な中、フリー走行が開始。まずは脇阪がコースインし計測4周でタイヤの評価を行い、総合10番手程のタイムとした所でクートへと交代。セッション残り時間15分程を今度はクートが走り切り、そのままサーキットサファリの前半10分もクートが担当。そして再び残り10分を脇阪がドライブし路面コンディションはウェットながらもマシンのバランスをチェックして全ての走行を終了した。
決勝レース(53Laps) 14:09 スタート
もてぎの空はまるで朝の雨が嘘のように・・・正午頃からはまさに天気予報通りの快晴となり、絶好のレース日和。10月中旬とは思えない時折汗ばむ程の暑さの中、ここまで一度もドライで走らないまま迎えたドライコンディションの決勝。本当に今年のGTはこのパターンが多く、ぶっつけ本番とも言える状態で決勝を走るという大博打のレース。
それでも「D‘STATION KeePer SC430」は、ここまでレインコンディションながらも「決勝はドライになる」という事を信じ、マシンの方向性をドライ向けのセットアップとして来た事で、むしろこの天候変化はウェルカム。決勝前のウォームアップで今一度セッティング方向の正しさを確認し、いざ決勝へという流れだったが・・・・・なんと!
今回スタートドライバーを務めるクートが、この数周のウォームアップでマシンの乗りにくさを指摘、急遽スタートまでの限られた時間の中でセット変更を行い、なんとか無事にグリッドへと付ける。
迎えた決勝スタート! 今回最後尾スタートとなるクートは落ち着いてスタートを決め、1周目の混乱にも巻き込まれる事なく、ストレート前を4つもポジションを上げ11位で通過、幸先の良いレーススタートを見せる。
その後も速く安定したタイムで周回を重ねるクートは、ついにトップ10圏内を目指す展開となり、前を行く#24をチェイス! 続く3周目には早くも#24を捉えるがオーバーテイクの際に接触をされ軽くスピン!すぐに再スタートは切るものの順位は大きく14位迄ダウン! しかしながらクートはタイヤを労わりつつコンスタントなタイムで周回を重ね、8周目には13位、続く9周目には12位、そして更に21周目には10位とついにトップ圏内へと再浮上!
そして28周目、ポジションも8位とした所で満を持して脇阪へとドライバーチェンジ。代わった脇阪もすぐにタイヤに熱を入れ、区間ベストを更新する走りで追撃を開始。各車ルーティンのピットストップを終えたタイミンクで総合の13位、しかしながら早いタイミンクでタイヤ交換に入ったチームもあり、それらが1回多いピットストップを行うとすれば実質的には8位前後か?脇阪は平均1分48秒台~49秒台前半という速いラップタイムを連発!
徐々に前を走るマシンとの間隔を詰め始め・・・・35周を超えたあたりからは10位争いの集団に追いつく展開。ここまでタイヤを温存し、後半に掛ける作戦を取って来た脇阪はにわかにチャージを開始! 1周あたり3秒も早いラップタイムでじわじわと全車をチェイス!そしてついにラストラップ、前を行く#19と#8をバックストレートで捉え、2台まとめてオーバーテイクを行うが・・・・なんとオーバーテイクが完了した直後に後ろから#8に激しく追突され12コーナー手前でストップ!
ドライバーに怪我は無かったものの・・・マシンはかなりの影響を受け、走れる状態では無くなってしまった事からやむなくマシンを降りる脇阪。最終戦をチェッカーを受ける事無く終了するという大変後味の悪い結果となってしまった。
チーム監督飯田章(代行チーム代表:橋本祥之)
非常に残念な終わり方でした。今回もぶっつけドライのレースとなってしまいましたが、グリッド上で高田エンジニアの判断で変更したセッティング功を奏し、二人のドライバーから運転しやすかったとのコメントが出ていました。レースなのでたらればは言いたくありませんが、敢えて言うなら2回のアクシデントが無ければ・・・トップ10確実だったと思います。最終戦までも・・・結果を残す事が出来なかったですが、この悔しさをバネにJAF-GPの際に最後の花を咲かせたいと思います。
脇阪寿一
今回、ブレーキが少しだけ片効きする感じはあったものの、マシンの状態は今年一番の乗りやすさで、自分なりの目標であった48秒~49秒台というタイムゾーンをキープする事も出来ました。後半各車が厳しくなって来た所でタイムを上げ追撃する作戦だったので#19、#8を連続でオーバーテイクしましたが、抜き終わった後、#8からリアにまさかのボディーアタックを受け、堪らずコースアウトしてしまいました。経験値もあるでしょうが、若いドライバーにはもう少しジェントルに運転して貰えると良いなと思いました。クルマの状態はとても良いので・・富士頑張ります!
Andre Couto (アンドレ・クート)
今回、今年一番のマシンの仕上がり具合だったので・・・上位が狙えるなぁ~と楽しみにしていたのですが・・僕のスティントでは#24と、脇阪選手のスティントでは#8と、2回の貰い事故で大きく順位を落としてしまいました。せっかく良い状態だったのにとても残念に思います。ただ・・・ここに来てマシンはとても調子良いので・・・来月のJAF-GPに向けては大変期待が持てる内容だったと思います。最後の富士でのレースは絶対に勝ちたいと思います。
